勝者は誰か、予測できない、自動車の未来。

クリエーティブ・ビジネス塾48「自動車の未来」(2019.12.2)塾長・大沢達男

 

勝者は誰か、予測できない、自動車の未来。

 

1、白タク

道路運送法 第4条>一般旅客自動車運送事業を経営しようとするものは、国土交通大臣の許可を受けなければならない。<道路運送法 第96条>3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

白タクとは送迎サービスを提供し、対価としてお金を徴収することを、事業として行うことです。

中国人ドライバーは成田や羽田で、大量の中国人観光客を送迎しています。高齢者ドライバーは夜の銀座で遠距離利用客を探しい、い小遣いを稼いでいます。白タクはアプリで客を集めアプリで料金の授受を行っています。営業の現場を取り締まり摘発することはむずかしくなっています。

世界ではUber(ウーバー)という白タクが堂々と営業しています。しかし日本では違法です。

2、CASE

自動車の未来は、CASE、と定義されています。C=コネクテッド(つながる)、A=オートノマス、S=シェアリング(共有)、E=エレクトリシティ(電動化)。自動車は、所有から共有になり、電気モーターで動き、センサー、レーダーなどをIT(情報技術)でコントロールし、ロボットが運転するようになります。

かつての自動車メーカーは、自動車レースで技術開発をし、ショウでコンセプトを提示し、そして新しいモデルのクルマを発売してきました。しかしCASEの時代を迎え、自動車の商品としてのライフサイクルは根本的に変わってきました。電気自動車、自動運転の研究には金がかかります。「自前CASE」が重荷になっています(日経11/9)。

たとえば自動運転装置に限って言えば、ふたつのシナリオの主導権争いがあります。ひとつはトヨタなどの完成車メーカーがけん引するもの、もうひとつはクルマを作らず自動運転装置を提供する専業メーカーがリーダーシップをとるものです。

かつて1970年代、工作機械を自動制御するコンピュータ数値制御装置(CNC)の開発で、ファナックなどの専業メーカーが主導し、日本は80年代に世界の先頭に躍り出ています(「革新を迫られる自動車業界上」柴田友厚東北大学教授 日経10/28)。なぜ成功したか。特定車種の最適化より、転用性に優れた標準的な装置を分業開発したからです。「共進化サイクル」が決め手になりました。

CASEとは自動車産業が、モビリティ産業に変化することです。

漸進的な技術変化なのか。破壊的なイノベーションなのか。あるいは予想もつかない革命的なのか。

いずれにせよ結論は、自動車産業は米シリコンバレーの協力が不可欠であることです(「革新を迫られる自動車業界下」桑島浩彰カリフォルニア大 バークレー校客員研究員 スヴェン・ベイカスタンフォード大学講師)日経10/29)。

それにはまずシリコンバレー展開の戦略目的を明確にすること、つぎに戦略目的達成するための十分なリソース(資源)を確保しているかを検証すること、そしてパートナーは業界への理解と質の高い人間関係を持っているかを確かめること、以上がパートナー選択のチェックポイントなります。さらには米スタンフォード大学、米カリフォルニア大学の活用が必要です。むずかしい経営判断が必要になります。

3、MaaS

マースとはMaaS(Mobility as a Service)、移動としてサービスです。バス、電車、タクシー、ライドシェア、シェアサイクル、あらゆる公共交通機関をITを使ってシームレスに結びつけ、効率よく、便利に使えるようにするシステムのことです。CASEもMaaSのためのものと言うことができます。

CASEの夢は大きいけれど、日本は少子高齢化社会です。路線バスは赤字、廃止・減便が続き、高齢者の免許返納も増えています。移動サービスは高齢者の足を確保することです。

たとえば、京都市舞鶴市オムロン、日本交通はマイカー送迎、バス、タクシーを組み合わせたマースの実証実験を来春から始めます。たとえば、ソフトバンクトヨタ自動車が共同出資した移動サービス会社「モネ・テクノロジー」(東京・港)は、全国の自治体と連携しています。たとえば観光地ではJRグループ小田急電鉄東京急行電鉄がMaaSアプリによる観光開発を始めています。マースは交通弱者支援です。

空には空飛ぶタクシー、地上には2人乗りEV、さらには電動スケートボード・・・移動への技術革新は多様です。

曲がり角の自動車業界で、奇跡の会社があります。トヨタです。VWGM、ファードが販売台数を減らすなかで、ひとりトヨタだけが18年から19年にかけて、販売台数を3%伸ばしました。しかも純利益3%増、1.2兆円を記録しました。そのトヨタでさえ、CASEは重荷で、カイゼンも試練に立たされています。

ことし7月に訪れたマンハッタンでは、タクシーはプリウスに独占されていました。米国では白タクもプリウスなのでしょうか。