ゴッドファーザーは、議会を操り、民主主義を支配する。

TED TIMES 2020-27「ゴッドファーザー3」 5/12 編集長 大沢達男

 

ゴッドファーザーは、議会を操り、民主主義を支配する。

 

6)上院特別委員会(Part II)

映画『ゴッドファザー』は、単なる物語ではない、現実を描いた重大なドキュメントである、と思わせるプロットがあります。それが連邦議会上院の犯罪組織に関する特別委員会の公聴会です。

「ニューヨークの5大ファミリーの頭首殺害計画を立て実行したか?」「ラスベガスの3大ホテルを支配しているか?」「ニューヨークの賭博と麻薬取引の権利を持っているか?」

質問されたマイケルは、全てに「NO!」と答えます。そればかりでなく、「自分は海軍に入り国のために戦った、マフィアやコーザノーストラとは関係がない」、と証言します。

それに輪をかけ、証人のイタリア系のマフィア、フランク・ペンタンジェリは、兄が人質としてマイケルの隣に座っているのを見て、FBIの調書とは正反対の証言をします。「ドン・コルネオーレなんて知らない。ゴッドファーザーも知らない」、「調書にあるのは、FBIの要求通り、話をでっちあげただけ、デタラメだ」。

委員会は大混乱になり、マイケルの勝利で閉会します。

カメラワークがうまい。会議場は大きなホール、20人ほどの委員会席、その前に100人ほどの聴衆、最前列に証人たちがいます。人物のアップを写しません。基本は短ダマ、広角レンズです。そして時折長ダマ、望遠レンズで、アップを撮ります。それも会議のジャマにならないように、俯瞰(ふかん)のアングルです。つまりホールの周りから撮影して雰囲気を出しています。テレビの国会中継です。映画の観客は、時代のオブザーバーとして、客席に座らされることになります。

 

7)叙勲パーティー(Part III)

マイケルの慈善事業に対する法王庁からの叙勲のお祝いパーティーがホテルで開かれます。10名ほどの楽団、来客は50名ほど、部屋のドアは開け放たれ、次の部屋にも、その次の部屋にも、客がいます。

マイケルが紹介します。パンパカパーン!「ビト・コルネオーレ財団の名誉会長、私の娘、メアリー・コルネオーレです」。なんと、コッポラ監督の娘であるソフィア・コッポラがメアリー役で登場します。黒のベルベットのジャケット、金のサテンのフレアースカート。かっこいい。夢のまた夢。ソフィア(メアリー)がスピーチします。「1億ドルをシチリアの恵まれない子のために寄付します」。

そしてさらなる驚き。スペシャル・ゲストとして、「Part I」の冒頭コニーの結婚式で歌った、ジョニー・フォンティーン(アル・マルティーノ)が呼び出されます。ジョニーが歌おうとすると、マイケルが打ち合わせのために部屋を出ようとします。「マイケル、どこへ?」。「台所でトニー・ベネットの歌を聴こうと思って」。みんな笑います。「歌っていてくれ。すぐ戻るから」と、マイケル。To each his own ジョニーの甘い声が響きます。こんなオシャレな会話をするために生まれてきたんだ。このワンシーンだけで映画を見ていてよかったと思います。ジョニーのイメージはフランク・シナトラ。そのシナトラは「おれの考えでは、トニー・ベネットは音楽業界最高の歌手だ」と言っていたと伝えられています。もちろんシナトラがダントツのナンバーワンであることが、前提ですが・・・。

 

8)イタリアのアンソニー(PART III)

「カバレリア・ルスティカーナ」公演を控えたある日、シチリアでコルレオーネ・ファミリーの小さなパーティーがあります。6人ほどバンドが入り、十数人の人が飲んだり食べたりしています。

マイケルが言います。「息子がオペラデビューをする。みんなを招待する」。

実はマイケルと息子のアンソニーには将来の選択で確執がありました。マイケルは法律の勉強をして欲しかった。アンソニーはオペラ歌手の道を選びたい。それを母ケイのアシストを得て、アンソニーは歌手を目指していたのです。このシーケンスは叙勲パーティーの中に挿入されています。

シチリアのパーティーのシーケンスに話を戻します。しばらくしてアンソニーが現れ、バンドのギターを借りて、「父のこの歌を捧げます」、「シチリア コルネオーレ村の古い歌です」、そしてアンソニーゴッドファーザーのテーマソングを歌います。これがいーい。泣けます。聴いていたマイケルには走馬灯のように過去の思い出がよみがえってきます。わけもなく涙が流れます。