困ったね。トランプの勝敗は11月にはわからい。

TED TIMES 2020-53「トランプの勝敗」 9/20 編集長大沢達男

 

困ったね。トランプの勝敗は11月にはわからい。

 

1、有権者登録

アメリカ大統領は間接選挙であることは知られています。選挙民が直接大統領を選ぶのではなく、選挙人を選びます。しかもその選挙人は週ごとに総取りです。例えばカリフォルニア州の選挙人は55人、勝てば全ての選挙人を獲得できます。では18歳になれば、誰でも選挙人を選ぶ投票に参加できるか?それが日本と違います。居住する州でに有権者登録が必要です。

投票率へのハードルは高い。つまり、有権者登録率と投票率を見なければなりません。有権者登録率が50%で、投票率が50%ならば、その選挙には民意の25%しか、反映されていないことになります。

1)ミレニアル世代・・・アメリカの中心は7210万人のミレニアル世代、インターネットで育った24~39歳の人々です。これまでの中心のテレビで育ったベビーブーマー世代(54~74歳)を上回りました。

ミレニアル世代は新型コロナの影響で最大480万人が職を失いました。ミレニアルのバイデン支持率はトランプを22ポイント上回っています。しかし問題は投票率です。有権者登録です(日経8/13)。

2)ブラック・・・白人有権者は過去最低の66%、ヒスパニック13%、黒人12%、アジア系5%です。黒人比率33%のジョージア州があります。しかし前回トランプを選出した「赤い州共和党)」でした。そこでいま地殻変動が起きています。黒人の民主党支持者は8割を超えています(日経8/20)。

でもむずかしい。ほとんどの黒人は、リベラルではない穏健派保守派です。黒人を民主党から解放しろ、と主張する活動家もいます。生活保護、福祉政策は黒人の自立の妨げになります。

3)ブルーカラー・・・ブルーカラーはどうなのか。自動車産業のミシガンで前回28年ぶりに共和党に勝利をもたらしました。全米製造業従業員の8割は白人で、白人・非大卒に絞ると56%がトランプ支持です。

トランプは、好調だった米経済を「ブルーカラー・ブーム」と名付けました。しかし新型コロナで白人労働者のトランプ離れが起きてます。(日経8/21)。

2、民主党

民主党大統領候補のバイデンは、世論調査の支持率で何ヶ月もトランプを上回っています。でも、負ける。

2016年ではクリントン候補は世論調査で勝つと予想され、負けました。なぜ民主党候補は負けるのでしょう。

1)隠れトランプ支持者・・・ある調査でバイデンが支持率で7ポイント上回り、「隣人は誰を支持するか」ではトランプが5ポイント上回る。またある調査では、「自分の信念を口に出せない」が62%、共和党員では77%。さらにある調査では「(トランプに)ひそかに投票する人が自分の周囲にいる」に、57%が「いる」。

2)「ブラック・ライブズ・マター」ではなく「ブルー・ライブズ・マター」(青い制服の警官を支持する標語)・・・白人家庭に生まれただけで、人種差別主義者で奴隷制への責任がある特権階級だ、とレッテルを張られることへの抗議です。

3)間抜けな民主党員・・・トランプに投票する人は人種差別主義者か精神的な問題を抱えている人に違いない。民主党員はトランプに投票する人を共感できない、理解できない。これが民主党の最大の弱点です(ギデオン・ラックマン FTコメンテイター 日経8/28)。

3、訴訟

もしトランプが僅差で敗れたら、共和党支持者の87%の圧倒的な支持率を力に、民主党は不正をした、とトランプは敗北を認めないことが想定されます。

1)米国では選挙管理委員会が選挙を管理していません。有権者名簿、投票用紙のデザイン、投票所、期日前投票、郵便投票、すべては共和党民主党かの党員に権限が委ねられています。接戦、即、訴訟です。

2)接戦で投票の集計が遅れれば、トランプは選挙結果が出る前に、勝利宣言をします。また郵便投票の集計でバイデンが有利になれば、両候補が勝利宣言をする異常事態になります。抗議デモ、暴動、連邦軍の投入もあります。

3)16年と同じようにトランプが得票数で負け選挙人獲得数で勝った場合には、民主党支持者選挙のやり直しを求める可能性があります。逆にトランプは郵便投票で民主党の不正が横行すると、主張しています(The Economist 日経9/8)。

どうなっても、米国の民主主義は危機に陥ります。困った11月がやってきます。