分譲マンジョンに住んだら、管理組合でがんばるしかない。

TED TIMES 2021-8「管理組合」 2/26 編集長 大沢達男

 

分譲マンジョンに住んだら、管理組合でがんばるしかない。

 

1、もし、理事や理事長になったら、どうしましょう。

仕事が忙しい、近所との付き合いは面倒だ、第一に自分は管理組合運営の知識なんてもっていない。さまざま言い訳で理事就任を拒否したくなります。

たしかに、理事・役員の輪番制は廃止すべき(『マンション管理のトリセツ』 増永久二郎 幻冬舎スネッサンス新書 p.30 以下「トリセツ」)です。組合員のライフスタイル、ライフステージに応じたマンション管理運営がなされるべきです。

しかしちょっと考えてみると、輪番制は不合理、だからといって理事・理事長を避けるのは、無理だとわかります。マンション管理には、丸投げする、外部管理者をおく、・・・さまざまな方法はありますが、管理組合自立化方式しかない。つまりだれもが、理事長になり、理事をやる方法しかないことがわかります。それでも嫌なら、戸建てか、賃貸に移るしかありません。覚悟はできましたか。

管理組合の自立化への道(p.91)は、1)理事・幹事に任命されたら、区分所有法、管理規約を読む、マンション管理の本を読む、セミナーに参加する、専門機関をたずねて学ぶ(p.87)。2)マンション管理の専門家のアドバイスを受けることです。良い管理組合になるための方法(p.81)は、住民の多様性の重視する、評価は人物本位、地域と交わる、他人に助けを求められる環境、穏(おだ)やかに繋がることです。

2、「ばか者、よそ者、わか者」

「トリセツ」は、おもしろい結論を提出します。理事、理事長は、「ばか者、よそ者、わか者」に頼るしかない、といいます。「ばか者、よそ者、わか者」とは、積極的なボランティア精神で、マンションマネジメントを勉強し、実践する稀有な人です。その夢と理想が、頭が固い理事を説得し、マンション管理士の支援で、管理組合は活性化します(p.62)。

現在のマンション管理は、平成13年施行「マンション管理適正化法」(p.66~7)から始まっています。マンション管理士の創設し、管理会社を登録制にし、マンション管理の適正化指針を定めました。

管理組合の使命とは、)長期修繕計画 2)管理組合による管理会社への業務委託の把握 3)区分所有者の管理組合への積極的参加 4)マンション管理士をうまく活用することです。

つまり「ばか者、よそ者、わか者」を活用すること、あるいは自らをそのような立場に置くことです。

3、大規模修繕

管理会社がなければ、管理組合は運営できません。ところが「トリセツ」は、管理会社の9割がバックマージンやリベートにまみれている(p.64)、管理会社や設計事務所の90%は商道徳がマヒしている(p.183)、利益違反行為は、管理会社と設計事務所が仕組んだケースが多い(p.85)、マンション管理業界は今日の日本の残された恥部(p.122)と、管理会社をズタズタに批判しています。

原因は「大規模修繕工事」。毎年の定期点検で劣化診断はいらない。修繕工事が改修工事に化けていないか。1級建築士設計事務所コンサルタント業務を依頼する必要がない(p.145)。国交省の推奨する「設計管理方式」が、管理会社や設計事務所のブラック産業の温床と化してい(p.97)、とさらに警告を発します。そして、管理組合がやるべきことは、大規模修繕工事を直接施工する業者を長年かけて探すこと(p.147)、大規模修繕工事を選ぶ際に直接業者を訪問する(p.183)こととアドバイスします。

私たちが住んでいるマンションの管理会社は、日本ハウズイング(旧富士建物工業)、昭和33年12月創業(p.99~100)です。受託44万戸以上、受託組合数8000以上で、大京アステージ、東急コミュニティ、三菱地所コミュティを抑えて、トップ企業です。たった1割しか存在しない、襟を正した、崇高な理念をもった企業であることを信じ、期待しています。

かといって、なんでも規則、ルールのコンプライアンス重視のマンション管理は(中略)共産圏の国々のような息の詰まるマンションになります(p.197)。マンション管理の適正化とは、「管理組合良し」、「管理会社良し」、「マンション管理士良し」の三方良しです(p.125)。向こう三軒両隣が支え合う助け合う、ただし人は人自分は自分、同調圧力村八分はいらない、しかしいざとなれば人のためにひと肌脱ぐ義侠心がある、それがコミュニティです。勇気をもって理事や理事長を引き受けましょう。