「私語」の本質は、米国製の教育基本法にあります。

クリエーティブ・ビジネス塾49「私語」(2014.11.26)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、遠慮のない私語
社会人や研究者が、大学や専門学校で講義を経験すると、信じられないことに、出くわします。「私語」の多さが必ず話題になります。「『うるさい!』『話したいんだったら、外に出ていろ!』。そしたら、みんな出て行って、教室には誰もいなくなってしまってね・・・」。
「私語」とは「ささやき」や「ひそひそ話」のことです。今の教室は違います。堂々としたおしゃべりです。いや「おしゃべり」とは「口かずの多いこと」。今の状況はそれも超えています。話している者の無視、コミュニケーションの拒否、教師への侮蔑(ぶべつ=あなどってさげすむこと)です。今の小中学校の教師は生徒のご機嫌を取ることはあっても、叱らない、注意しない、指導していません。
2、中国人、韓国人
東京・新宿のコンピュータ専門学校で、講師をしていた時の経験があります。授業に遅れてきて、しかも授業中に教室の後ろでおしゃべりをする日本人学生を、中国人と韓国人の留学生が、振り向き激しい視線でにらみつけ、黙らせたのです。注意をしなかった自分のふがいなさを感じるとともに、日本人学生の異常さに改めて気づかされました。恥ずかしい。躾(しつけ)ができていない。マナーが悪い。なぜ日本人学生だけが、「遠慮のない私語」をするようになったのでしょうか。
日本の教育と中国・韓国のそれとの違いがあります。「日本人」の誇り、「日本国」へに忠誠、そして社会に尽くすことを、教えていないところです。中国では、「中華民族愛国主義の光栄ある伝統に富んだ偉大な民族である」(愛国主義教育実施要項)、「国家は教育を受ける者に愛国主義集団主義社会主義教育を行う」(教育法6条)。韓国の教育の目的は弘益人間。弘益(ほんいく)人間とは人のため社会のために生きる人間のことで、韓国伝統の思想です。
3、日本国憲法教育基本法
日本国憲法は、民主的で平和国家の建設を宣言しています。そして教育基本法では、それを達成するために、個人の尊厳を大切にし、真理と平和を求める人間を育てる、とあります。日本の教育には日本民族、国のための人間がありません。なぜでしょう。それは日本国憲法教育基本法も占領軍のアメリカ人が発案し書いたものだからです(『日本国憲法の問題点』小室直樹 集英社インターナショナル、『1946憲法江藤淳 文芸春秋)。占領軍は、二度と闘えないように、日本人の精神が滅びるように、憲法教育基本法を作りました。そして天皇、戦前を封印し、軍国主義、占領軍批判(日本国憲法を起草した事実)への徹底した言論弾圧、検閲を行いました。1万人の日本の知識人が言論弾圧に協力しました(『閉された言語空間』江藤淳 文芸春秋)。この研究は衝撃的でしたが、発表が遅過ぎました(1981年)。戦後教育の教師が登場し、無責任な「個人の尊厳」教育、民主・平和主義教育が世に行き渡り、「遠慮ない私語」が教室の常識になっていました。
日本人は民主主義の本場、米国の愛国教育を知りません。「私はアメリカ国旗とアメリカに忠誠を誓います」(Pledge of Allegiance=忠誠の誓い)。この言葉だけのために教育が行われています。
戦前の日本人も同じです。日本資本主義の父、渋沢栄一(1840~1931)は「私利を追わず公益を図る」。トヨタの創業者、豊田佐吉(1867~1930)は「産業報国」、仕事で国に尽くす。さらに現代の稲森和夫(1932~)は「自利利他」、自らの利益を他人に還元する企業活動をしています。
日本人は、個人、民主、平和のもとに、国旗、国歌、皇室を無視するようになりました。「遠慮のない私語」が学校に蔓延し、人口激減で、日本は世界からの消滅へのカウントダウンを始めています。
「喫煙」と「私語」は似ています。欧米で売れないタバコは、馬鹿な東洋人に売りつけられ、日本人の健康を奪っています。国家と社会を破壊する「個人の尊厳」は、敗戦の日本に法律として押し付けられ、日本人の心を奪っています。「喫煙」が、あなたと回りの人々の健康を蝕んでいくように、「遠慮のない私語」は、あなたとクラスメートの精神をじわりじわりと堕落させていきます。
先日、史上最多の優勝を達成した横綱白鵬は、初優勝のときに父母への感謝を口にし、そして32回目の優勝では国歌の斉唱で涙し、天皇陛下への感謝を語りました。そのとき、私たちはだれもが素直な日本の心を失っている、ことに気づかされました。