エルビスを聞けば、国境は越えられる。

クリエーティブ・ビジネス塾3「エルビス」(2015.1.14)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、日本にこもる男子
外国から日本を訪れる観光客が史上最高年間1300万人(予測)を超えるというのに、2013年に出国した(1700万人)日本男性のうち20~24歳はわずか14%、同世代の日本人女性の28%に比べても半分以下(日経12/14)、日本男子は内にこもっています。なぜ外国に出ないか。いろいろとありますが、一番の理由は、日本人として誇りを持っていないから、日本人として自信を持ってない、からだと思います。日本と日本人を教えなかったのは、戦後教育の一番大きな欠陥です。
日本は貿易で生きています。外国で学び外国で営業しないと食っていけません。世界雄飛(せかいゆうひ)という言葉があります。大きな志を抱いて世界で活躍することです。英語できないし、金もないし。言い訳は要りません。日本にいながら、世界雄飛をできる方法があります。ロックを聞くこと、エルビス・プレスリー(1935~1977)を聞くことです。1月8日はエルビス・プレスリー生誕80周年の記念日でした。
2、ロックの創始者
エルビス・プレスリーは、アメリカ人歌手ですが、ロック・ミュージックの創始者といわれています。ビートルズローリングストーンズも、マドンナもマイケル・ジャクソンも、ロックの源にはエルビスがあります。大変なことです。作曲家でもアレンジャーでもないのに、ロックの創始者といわれるのですから。
まずエルビスは、黒人のように歌う白人でした。それまでの白人歌手は、フランク・シナトラビング・クロスビーのような美声でした。対して黒人はルイ・アームストロングのようにしわぶき声(しゃがれた)で歌っていました。エルビスは、ささやき口説くかと思えば、叫びあえぎました。お前が好きだ、抱かせてくれ、今夜こそヤりたい、音楽はエロになり、若者の本当の声になりました。
第2に、エルビスはアクションで歌いました。それまでのマイクに前に紳士然と立つ歌手と、エルビスはまるで違いました。手招きし、抱きしめ、腰をくねらせ、歌いました。テレビカメラはエルビスの腰の動きを映すことを禁じられました。エルビスはペルビス(Pelvis=骨盤)・プレスリーとからかわれました。
第3に、エルビスは桁外れの業績を残しています。エルビスは、1955年以降米国ビルボード誌のポップス・チャート、トップ40に114曲を送り込んでいますが、第2位のエルトン・ジョンはたったの59曲、第3位のビートルズでさえ52曲です。トップ10に入った曲数、連続1位獲得数、1位獲得週数もすべてエルビスのものです(『アメリ音楽史』大和田俊之p.156 講談社選書メチエ)。
以上は聞いて見て調べて分かるエスビスのすごさですが、音楽の革命という点でもエルビスには新しさがありました。エルビスはブルース(黒人音楽)、カントリー(米国音楽)、賛美歌(教会音楽)を統合し、新しいアメリカ音楽とし、世界のロック・ミュージックの流れを作りました。ビートルズジョン・レノンエルビスがあったから僕らの音楽が生まれたと振り返っています。
3、グローバル・コミュニケーション
世界雄飛のためにエルビスを聞け。まさしくその通りです。エルビスを知っていれば、世界のどこに行っても話題に困りません。たとえば、ロス・アンゼルス・インターナショナル・エアポートのバーでで飛行機を待っているきみに、香港女性が話しかけてきます。
"Music?"(きみは多分日本人。クールなきみと友達になりたい。どんな音楽を聞いているのかしら)
"Elvis!"(ぼくはロックが好きなんだ。ジャズやクラッシックに関心はあるけど、まだまだ若いからそこまでは手が回らない。ひと言でいえば、最近聞き始めたエルビス・プレスリーなんだ)
"Blue Hawaii?"(私、中国人だけど実はスコットランドで生まれたの。寒かったわ。暖かい所にあこがれているの。たしかハワイを舞台にしたエルビスの映画あったわね。ブルー・ハワイ!行ってみたいな)
”♫Night and you 〜and Blue Hawaii~♫”(友達になろうよ。一緒にハワイに行かないか、なんてね)
アメリカ人と日本人の結婚式でエルビスの”Crying in the chapel"を歌ったことがあります。参列者は大喜びしました。ドイツ・ミュンヘンのビア祭り「オクトーバーフェスト」でエルビスの”さらばふるさと”を、ビールをがんがん飲みながら、合唱しました。イタリアのボローニャではエルビスの”It's now never”を歌いました。エルビスの人気はオペラ歌手ルチアーノ・パパロッディの負けていません。
エルビスで、グローバル・コミュニケーションができます。エルビスを聞きましょう。世界雄飛をしましょう。