資生堂さん、レディ・ガガに負けないように。

クリエーティブ・ビジネス塾4「元旦広告」(2015.1.21)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、元旦広告
新聞の社説は不振でしたが、広告は元気でした。いやー?元気とはいえないな。まず資生堂、次にトヨタ、そしてサザン・オール・スターズだけが、印象に残りました。元旦の新聞広告は、クリエーターが腕をふるう、イベントだったのに・・・。そんな活気はありません。やっぱり「新聞は終わり」の始まりなのでしょうか。
2、資生堂トヨタ、サザン・オール・スターズ。
1)資生堂・・・全ページ広告、スマホで撮ったような女性の大きな顔写真。キャッチコピー「あなたはあなたでいて。それが、あなたの美しさだから。SHISEIDO with you」
写真は、米国の歌手レディ・ガガ。しかも自分で自分を撮ったもの。各紙違う写真が使ってあります。キャプションには、「LADY GAGA'S Selfie 1/50」(2015.1.1朝日新聞)とあります。レディ・ガガは黒の皮のジャケットを着て、黒髪のロング、少し顔を横に向けてこちらを見ています。1/50、ということは、50紙にレディ・ガガが自分で自分を撮った50種類の違った写真を掲載しました。ちなみ2/50は産經新聞、ガガはブドンドのロングヘア、真っ赤な口紅、なにを着ているか分からないほどのアップです。そして3/50は毎日新聞。ソバージュ風の黒のロングヘア、猫の顔が入った黒のTシャツ、目尻がチョンとはねた、メイクです。
レディ・ガガは世界のトップを走る米国のシンガーです。単なる歌手ではありません。まず存在自体がスキャンダルです。イタリア系の富豪の娘、お嬢さまとして育てられながら、19歳でストリップ・ショウに出演しながら、芸能活動を始めます。本名は、ステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタ。レディ・ガガは、ロックグループ「クイーン」の楽曲「Radio GaGa」から。つぎに芸術性です。そのパフォーマンスには、演劇、ドラマ、音楽、ファッション、テクノロジーのすべてが融合されています。そして社会性。ハイチ地震支援、エイズ撲滅、LGBT(同性愛者)への理解、バイセクシャルの告白。その言動は話題になります。
2)トヨタ・・・キャッチコピー「次の100年へ、ドラマがはじまる。」。豊臣秀吉ビートたけし)「水素で走るMIRAIは、水しか排出しない。まるでもう未来じゃないか。」。織田信長木村拓哉)「キーワードは、水素だ。地球上どこにもある国境のない資源だ。」。マルコ・ポーロ(ヒュー・ジャクソン)「黄金の国、ジパング。ふたたび世界が注目する国づくりをはじめた。」。マルコ・ポーロとは13~14世紀のヴェネチア・イタリアの人、「東方見聞録」で日本を黄金の国とヨーロッパに伝えました。ボデイ・コピー「20世紀には、首都高や新幹線、世界初のハイブリッドカーをつくった。21世紀には、水素で走るクルマを。世界に先駆ける、新しい街と社会を。次の100年へ向けて、いよいよ、歴史的なドラマが、幕をあけます。」(読売1/1)。
トヨタは昨年FCV(燃料電池車)「ミライ」を発売しました。FCVとは、水だけを排出する究極のエコカー。驚いたことにトヨタはそのすべての技術を無償で公開しました。エコカートヨタは社会に貢献します。
3)サザン・オール・スターズ・・・「2015年幕開け。遂に、10年ぶりのニューアルバム発表。そして全国へー」。桑田佳佑ををセンターに5人がポッケに手を突っ込み、富士山をバックに立っています。見開き全ページ、裏面には新曲「平和の鐘が鳴る」の詩が載っています(朝日1/1)。
昨年末、桑田佳佑は、問題を起こし、1月15日に事務所と連名で謝罪文を発表しました。まず「紫綬褒章の取り扱いにも不備があり、不快な思いをさせた」、そして「紅白歌合戦(での、中略)つけ髭に他意はない」(サンケイスポーツ1/16)。ライブ会場でホンモノの勲章を取り出しオークションをする冗談をやり。紅白歌合戦に中継された映像でつけ髭をつけ昭和天皇を思わせる演出をしました。
3、礼儀
以前に東京ドームでミック・ジャガーローリングストーンズ)の公演を見て驚いたことがあります。とても礼儀正しかった。ロックも誠意をこめたビジネスなんだ、ひどく感心したことを覚えています。
レディ・ガガもそうです。震災後わずか3ヶ月後に日本を訪問したガガは、放射能が恐くないかと聞かれ「世界のみんなに日本という美しい国を見て欲しいわ」と答えました(wikipediaより)。トヨタ豊田章男社長は欠陥車問題でもめたときに、米議会下院の聴聞会に出席し英語で、トヨタのものづくりに理解を求め、一年後に無罪を勝ち取りました。誠意は通じました。
桑田佳祐はどうなんでしょうか。広告掲載が朝日新聞だっただけに、これが終わりの始まりのような気がします。「二度と過ちは繰り返さんと・・・平和の鐘が鳴る・・・」とてもイヤな音楽が聞こえてきそうです。