クリエーティブ・ビジネス塾42「上海」(2015.10.21)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、ユニクロ上海
オープンしたばかりのユニクロ上海グローバル旗艦店に行ってきました。9月27日に開店、まだ1ヶ月もたっていません。ユニクロ店舗では世界最大。売りは、来春にオープンするディズニーランド上海に先駆けて設けられた、ディズニーとのコラボ商品の発売コーナー。5階のワンフロアーが全部ディズニー関連商品。ミッキー、ミッキー、ミッキー・・・、アナ雪、アナ雪、アナ雪・・・でめまいがします。Tシャツ一枚、99元(約1900円)ですから、決して安くない。ユニクロ上海にはお客さんが群がっていました。
ユニクロ上海旗艦店は、上海の一等地にあります。目立ちます。それより驚かされたのは上海の変貌ぶりです。周辺には、プラダなどのブランドのショップ、そしてニュ−バランスやオニヅカタイガーのシューズショップも、もちろんスターバックスも、街全体がソーホー・マンハッタンのよう。上海はニューヨークに代わって、世界ナンバーワンの世界都市として、名乗りを上げようとしてします。
2、パスポート紛失
今回の上海旅行では、ひとつのプライベートな大事件があり、その事件により図らずも新しい上海と中国を思い知らされることになりました。
大事件とは、一緒に旅行した友人のパスポート、クレジットカード、そしてキャノンの一眼レフカメラの紛失です。友人はいちばんの貴重品ばかりが入ったショルダーバッグをタクシーの中に置き忘れました。悪いことにタクシーからレシートを受け取っていませんでした。ホテルのセキュリティ担当もお手上げ。何の手がかりがないまま時間が過ぎていきます。時刻は17時30分。ぼくたちは今回の上海訪問の最大目的である香港のスターたちのミュージック・ショウを見るために、18時30にはホテルを出発し、会場の「メルセデスベンツ・アリーナ」に出発しなければなりません。もちろん紛失男の友人も。
会場のバックステージはショウが始まる直前の独特の緊張感でみなぎっています。しかしそのアリーナで上海在住の日本人と出会うことになります。こっそりパスポート紛失を打ち明けると、すぐの日本領事館の電話番号を教えてくれました。しかし上海の事情に詳しいその日本人は、タクシー内での紛失物が出てくることは100%ないと、絶望的な宣言をします。領事館(土曜日だったの緊急の対応者)は再発行までのあらましを教えてくれ、1週間かかると説明。それより、クレジットカードの止めた方が、とアドバイスしてくれます。友人はいよいよと、覚悟を決めます。
8時にショウ開始、特等席にいながら友人は、本来の仕事の写真の撮影ができず、これまでの人生を振り返るようなうつろな目で、舞台を見つめていました。10時30分にショウ終了。でも、打ち上げの食事会があります。お疲れさまを言い、グッド・ショウと仲間を讃えます。どんなにつらいことがあろうと、笑顔、笑顔、笑顔です。打ち上げは11時30分から1時30分まで、テーブルには上海ガニが積み上げられていました。
ホテルの戻ったときは午前2時過ぎ。サキュリティ担当には夕刻と同じ人がいました。彼は手ぶらで友人とぼくたちの前に現れました。そして説明を始めました。なくしたバッグは、運転手がわざわざホテルの届けてくれた、いま持ってきます。そしてセキュリティは友人のグレーのバッグを持って再登場しました。パスポート、クレジットカードをチャックしてください。ぼくたちは、全身から力が抜けました。そしてこの数時間、どれほど緊張していたかを知ったのでした。
3、霧の上海
タクシードライバーは正直者、善意の人でした。彼の行動は、ホテルのセキュリティの、中国事情に詳しい上海在住の日本人の予想を裏切りました。中国人とその社会は大きく変わろうとしています。たとえば、タクシーではチップを払いましたが、その他のところで、チップを渡しても受けとってくれませんでした。習近平政権の反汚職、反賄賂への教育の成果です。しかし、ベンツやBMWの高級車が走っていても、信号は無視は日常茶飯事です。アンバランスなのか急激に変わろうとしているのか。
飛行機が上海に近づいたとき、機内アナウンスが告げたのを思い出します。「本日の上海の天気は晴れ」。でも上海の街は霧の中で見えませんでした。ほこり、排ガスが凄い。来春のディズにランド開園でさらに街は人であふれ、上海は世界都市になります。しかし中国の未来、それはやはり霧の中です。