NGN(次世代ネットワーク)を学習しましょう。

コンテンツ・ビジネス塾「NGN(次世代ネットワーク)」(2007-21) 5/29塾長・大沢達男
1)1週間分の日経、ビジネスアイとFTが、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

○インターネットのつぎには、「NGN」が来ます。
5/22に東京・信濃町明治記念館で、「NGN(次世代ネットワーク)」をテーマに、青山友紀慶大教授・東大名誉教授の講演と、NTT、IIJNECなど情報通信の専門家によるパネルディスカッションが行われました(主催:NPO法人ブロードバンド・アソシエーション、後援:総務省経済産業省)。400名程度の会場は満員札止め状態、ダークスーツを着たビジネス・エリートたちのエキサイティングな学習会でした。なぜ、NGN (Next Generation Network)が必要なのか。基調講演の青山教授の所説を中心に紹介します。
1、世界中のブログの37%は日本語で書かれている。英語は30%、ドイツ語はわずかに1%。日本のブロードバンド加入者は全世帯の50%を越え、2012年には3000万を上回る。日本人は世界最低の定額料金のサービスを受けている。日本はインターネットのトップランナーであるが、しかし・・・。
2、インターネットの問題・課題は大きくなってきている。・データの遅延、損失。・改ざん、なりすまし、ウィルス、情報流出・サイバーテロアドレス空間の不足。サービスの品質面からみれば、インターネットの時代はテレコム(電話通信)の時代から後退している。
NGNとは、電話交換機による通信網に代わりに、IPネットワークを通信サービスの基盤として、多様な情報サービスを可能にするネットワークです(「優しい次世代ネットワーク技術」 石川宏監修 電気通信協会)。NTTは2004年末からNGN構想を明らかにし、世界でもBT(英)、Verizon(米)、SBC(米)、チャイナ・テレコム(中国)、KT(韓国)、FT(仏)がNGNへの取り組みを発表し、活発に動き始めているのです。 

NGNのプロフィール。
「安心・安全で便利」、これがNTTが掲げる、NGNの達成目標です。NGNを理解するための、いくつかのキーワードを紹介します。
1)IMS・・・NGNの中核には、IMS(IP Multimedia Subsystem)があります。どこのだれとでも(ローミング)、安心して(認証システム)、さまざまな情報のやり取りを、IP(Internet Protocol)ベースで、できるシステムです。
2)SHIP・・・IMSには、交換機のようなSIP(Session Initiation Protocol)があります。通信相手の接続と切断を行います。
3)IPTV・・・NGNでは、IP放送(CS再送信、自主放送、地デジ再送信)、VOD(ストリーム)、ダウンロードサービス(サーバー)の3つが楽しめます。現在のテレビ放送の時代は終わります。
4)FMC・・・NGNでは、FMC (Fixed Mobile Convergence=統合)。固定と移動の統合です。
5)トリプルプレイ・・・NGNでは、電話、ネット、映像の3つのサービスが同時に提供されます。これがトリプルプレイ。さらにケータイを加えて、クワドロ(プレイ)・サービスも可能です。
6)IPv6・・・25年前に設計されたIPv4に代わってIPv6の登場。アドレス不足の問題を解決します。
 
○衆愚制の終焉。
2011年にはアナログ放送終了。青山教授はその頃にNGNが導入されていると予測しています。つまりIPTV(放送と通信の融合)、FMC(固定と携帯の融合)が実現されているのです。
問題は2つあります。1つは、NGNのつぎにNWGN(New Generation Network)の時代がやって来るというワクワクする指摘です。2015~2020年のユビキタス社会は、脱情報化社会(知能化社会)。インターネットではなく新世代ネットワークの時代だと言うのです。
もう1つは、民主制の成れの果て「衆愚制」の終わりです。NGNは平等なネット上に、ビジネスクラスやファーストクラスを作る試みです。大衆の雑音は無視されます。ネット上でもいよいよ階級社会です。ギリシャの哲人が議論した、寡頭制、貴族制、君主制の始まりです。万物は流転する(ギリシャの哲学者・ヘラクレイトス)。歴史は繰り返されるのでしょうか。