元旦の社説を採点しました。

コンテンツ・ビジネス塾「社説」(2008-01) 1/4 塾長・大沢達男
1)1週間分の日経、ビジネスアイとFTが、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

○元旦の社説を、ブランドとして採点する。
企業には5つの経営資源があります。ヒト、モノ、カネ、情報、ブランドです。ヒトとは従業員。モノとは原材料、製品、サービス。カネとは投資家。情報とは、広報や広告。ブランドとは、個性、ニュース、夢、のブランド力です。新聞の社説は新聞の看板製品です。そのなかでも元旦の社説は超目玉です。新聞の場合はコンテンツが製品なのでややこしいのですが、その元旦の製品である社説を採点し、各社のブランド力を占ってみます。評価の基準は3点。1)個性、2)ニュース、3)夢から採点します。主張に個性、その新聞社「らしさ」があるかです。つぎにニュース、なるほどという「新しさ」「発見」があるかです。そして夢、世の中をどうするのか「具体的な提案」あるかです。それぞれをABCの3ランクで採点してみます。
○2008元旦各社の社説
・朝日
防衛省汚職、年金、ワークングプアで、沈没しつつある日本の最大の課題は、政治の混迷である。55年体制からの脱皮をめざした政界再編は、平成になって始まり、今年大きな節目を迎える。勝つのは与党か、野党か、それとも大連立か。結果はどうあれ、歴史を刻む総選挙の年にしたい。
・毎日
混迷のもとには「公(おおやけ)」の感覚の喪失がある。米国はリーダー失格。台頭してきた中国とロシアも無責任に国益だけを追求。京都議定書には米中印が不参加である。日本も、特措法、偽装、年金、汚職がある。「公」とは政治。ねじれは選挙にゆだね。新聞もまた公の力になりたい。
・読売
米国中心からBRICsへメキシコへ欧州へと世界は変動の中にいる。対米と対中への日本外交には国内政治の安定が必要である。消費税率を上げなければ、年金、医療、介護のシステム崩壊の危機を避けることはできない。政府は強い政治意思を持つべきである。総選挙を急ぐ必要はない。
・東京
ワーキングプア生活保護受給、国民健康保険滞納。 6年連続の景気拡大とは裏腹に貧困が広がっている。IT革命と経済のグローバル化が多くの敗者を生んだ。社会保障制度の検討が必要である。いくら働いても暮らしが成り立たないような社会には、抗議の声を上げることが必要である。
・産経
東西冷戦終焉ともに始まった平成も20年。世界の指導者も一新される。日本には明治維新のような改革が必要である。サミットでは日本の知恵を示し、国民総生産量ではなく、総幸福量を実現する覚悟の国家戦略を持ちたい。さらに日米同盟を深化させ、危機の20年にならないようにしたい。
・日経
京都議定書のスタートと洞爺湖サミットの国際舞台で日本の政策能力は試される。排出抑制と経済成長を同調させる「低炭素社会への道」には、排出権取引などの制度設計が必要であるが、欧州に比べ日本は遅れている。国益地球益を満たす制度設計に向けて、政府は動くべきである。
○説教調の抽象論の終わり。
日本を代表してきた朝日新聞の変節に驚きます。偉そうで説教調の抽象論がとうとう姿を消しました。さらに驚きは、宿敵と思われた産経の論調になんとなく似ていることです。しかし具体的な提案となるとむずかしく、総選挙次第ですね、という極めて常識的な結論に終わっています。BBC。毎日だけが文人のエッセイ風のスタイルです。偉そうに「公(おおやけ)」を説く抽象論。BCC。読売はナベツネさんがお書きなのでしょうか。グラフ入れて意欲的ですが、残念ながら文章に論理がありません。BBB。東京は真っ向からワーキングプアを取り上げました。顧客をはっきり意識しています。ITとグローバル化が格差の犯人の主張は、賛同できませんが、感動できます。AAB。論説委員長の署名入りは産経だけです。だったらもっとアクが強くていいと思います。BBB。日経は思い切りがよく、いつも先を行っていて、勉強になります。AAB。さてあなたの採点は。