すべての戦争の原因が分かりました?

コンテンツ・ビジネス塾「ユース・バルジ」(2009-03) 1/20 塾長・大沢達男
1)1週間分の日経、ビジネスアイとFTが、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、戦争の一般理論
戦争、紛争、侵略、テロは、なぜ起こるのか。古今東西の歴史的事実と現在進行形の国際問題をひとことで説明してしまい、しかも説得力のある理論が現れました。社会科学の歴史でも珍しい夢の理論であり、そしてまた私たち人類に逃れられない現実を突きつける悲しい理論でもあります。それは、ハイゾーン博士の「自爆する若者たち」(グナル・ハイゾーン 猪股和夫訳 新潮選書)。ハイゾーンは1943年生まれ、社会学歴史学、心理学、経済学、宗教学を修め、ドイツで活躍中です。
戦争の原因は、「ユース・バルジ」というたった一つの言葉で、説明されます。ユース・バルジ(youth bulge)の「バルジ」とは、ふくらみ。年齢別の人口をグラフにした、人口ピラミッドの外側にふくらんだ部分のことです。ユース・バルジとは、「過剰にまで多い若者世代」のことです。
1500年〜1914年で、ヨーロッパの人口は6000万人から4億8000万人にまでふくれあがります。ユース・バルジ(過剰な若者)を抱えたヨーロッパは、世界制覇の道を歩みます。大航海時代には新大陸発見、先住民を蹴散らかし、自分たちの祖先を増やし、植民地化していきました。
いままた同じことが起きようとしています。ヨーロッパの人口は、この100年にわずかしか(6.6億人)増加しませんでしたが、別の問題が起こりました。イスラムです。イスラム圏の人口が、この100年に1億5000万人から12億人と8倍にふくれあがっているのです。こんどはユース・バルジのムスリムイスラム教徒)が世界制覇に乗り出すことなるのです。
紛争の原因は、ナショナリズム、ファッシズム、コミュニズム環境保護主義、イスラム教、キリスト教などのイデオロギーではありません。ユース・バルジ(過剰な若者)です。
2、戦闘年齢
男性人口のうち15歳〜29歳が30%以上を占めるときに、ユース・バルジと呼ばれます。なぜ「過剰な若者」が戦争の原因になるのか。
長男は父親を相続することができる。しかし次男はまだしも三男四男となると、職にありつけない。社会からあぶれてしまうのです。居場所のない若者には次の6つの道しか残されていません。
1)海外への移住。2)犯罪に走る。3)クーデターを起こす。4)内戦、革命を起こす。5)集団殺害で前の世代のポストを奪う。6)侵略戦争で、植民地を作る。
ユース・バルジとは、「戦闘に最適な年齢=戦闘年齢」の男性のことです。イラクなどのイスラム圏では、戦闘年齢の男性が急増しています。パキスタンなどのアジアでも、戦闘年齢が増えています。
なぜアフガニスタンの問題が解決しないのか。アフガニスタンは、この50年間出生率7.20~7.50で、戦闘年齢の男性が登場してきているからです(ちなみの日本の出生率1.34)。戦いは永遠のごとく続きます。
ガザ地区」はどうでしょう。イスラエルと戦闘を繰り返している、パレスチナ暫定自治政府ガザ地区では、この50年間に人口は24万人から150万人に増えています。つまり戦闘年齢は、これからも増え続けます。倒れても倒れてもあとに続く過剰な若者がいます。紛争は解決しません。
3、過剰な乙女
日本の事を考えます。現在の15~29歳の男性は1075万人で、17%で過剰とはいえません。比べて55~69歳の男性は1305万人で21%、バルジ(ふくらみ)があります。彼らが若者であった1970年代の激しい学生運動は、「戦闘年齢」が自分たちの居場所を探す戦いだったのです。
若者の男性が過剰になると戦争になる。しかし若者がいなくなれば国は亡びる。なぜ子どもが生まれないか。それは女性が外に出て働くようになったから。では女性を家に縛り付ければいいか。そうすると世界がつまらなくなる。オーケストラのメンバーの半分は女性。小説も、吉本ばなな、綿谷りさ、金原ひとみ・・・女性がおもしろい。それにコマーシャルも、ベッキー堀北真希上戸彩仲間由紀恵が人気。対する男性は、ドラえもんミッキーマウス木村拓哉(「CM契約社数タレントランキング」毎日1/1)。えっ、えっ、え−1?です。
結論。日本は女性の国です。そしてずっと安全な国です。でも将来、滅亡する国かも知れません。