ホンダが新しい。ホンダに学ぼう。

コンテンツ・ビジネス塾「ホンダ」(2009-02) 1/13 塾長・大沢達男
1)1週間分の日経、ビジネスアイとFTが、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、福井威夫
「(F1からの)撤退を表明した福井威夫社長の名前は、F1への参加を表明した故本田宗一郎氏と並んで、ホンダの社史ばかりか日本の、そして世界の自動車史に刻まれるであろう」(『舘内端のFEED UP』 カーグラフィック 09-02 P.182)。
ホンダはモータースポーツとともに、自動車産業として成長してきました。ホンダにとってF1は、技術の実験場であり、市販車の源であり、ブランドの個性を守る、命の綱でした。
つまり、F1をやめるとは、自動車づくりから撤退し、クルマ好きのホンダ・ファンを裏切ることです。
2、元旦の新聞広告
○ホンダ
ハイブリッドカーを、安くつくれ。」
(要旨)みんなが乗れる安い価格は、環境性能のひとつ。性能、品質を落とさずに、ムダをそぎ落としたハイブリッドカーインサイト」は、これから次々に発売する「グリーンマシン」の第1弾。
クルマを救え。Honda Green Machine 001新型ハイブリッドカーインサイト」今春発売予定。
トヨタ
「走り出せば、その先にきっとうれしい未来がある。HYBRID SYNERGY DRIVE」
トヨタは未来を目指す。その第1歩として、新型プリウスがデビューする。
パナソニック
「この星のすみずみまで、パナソニックのエコアイディアを。」
環境マーク" eco ideas "。パナソニックの環境への取り組みや姿勢を示すシンボルマーク。全世界のグループ30万人が力を合わせて一歩先のエコアイディアに取り組んでいます。
○日立
「99年分の日立の技術が、2009年の地球にできること。」
1910年創業。日立だからできる環境負荷の削減を大幅に実現します。
NEC
「衛星(ほし)に、願いを。」
2009年打ち上げの人工衛星「いぶき」の温室効果ガスの観測センサーを開発したNEC。これからの社会貢献にご期待ください。
以上は、朝日、毎日、読売、東京、産経、日経の元旦の全頁広告からです。
ホンダの広告は、全頁いっぱいに緑の文字で「ハイブリッドカーを、安くつくれ」と書いた、ショッキングものです。ホンダはクルマをやめて、今年から、グリーンカーをつくる提案をしています。
他社はどうでしょうか。ハンコで押したような環境一色で、危機感を感じません。うれしい未来のトヨタ、30万が力を合わせるパナソニック、99年の歴史があればできる日立、社会貢献を約束するNEC、いまの世の中はそんなに楽観できるのでしょうか。ホンダの鋭さが際立ちます。
3、本田技研工業株式会社
トヨタさんはじめ他の大手自動車メーカーと我々は違うんだ、ということです。何が違うかを簡単に言うと、会社名に”自動車”がついていないことです。(中略)つまり、パーソナルなモビリティの分野で、世界中のお客さまに楽しんでもらえるような商品を提供してサービスする会社、というわけです」(本田技研工業株式会社 代表取締役社長 福井威夫カーグラフィック 09-02 P.76)。
ホンダは、人が動くことを快く便利に面白くする会社、だったのです。だから二輪車も、ロボットも、飛行機も作っているのです。福井社長を讃えた自動車評論家舘内氏は、F1が20世紀を代表するスポーツ、文化で、いま我々に必要なのは20世紀からの離別である、と指摘しました。
化石燃料は要らなくなるだろう」(産経1/9)。福井社長はここまで言います。その勇気に驚きます。私たちは口でエコを叫びながら、相変わらず20世紀の価値観で行動していないでしょうか。ホンダに学びたいと思います。日本のホンダを誇りに思います。