『大麻ヒステリー』をどう読みますか。

コンテンツ・ビジネス塾「大麻取締法」(2010-2) 1/12塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、『大麻ヒステリー』
学生たちがマリファナの使用や大麻の栽培で逮捕されています。「大麻取締法」での起訴は、過失犯ではありません。破廉恥な刑事犯です。先には、厳しい社会的な制裁が待っています。
なぜ学生がそんなことに巻き込まれてしまうのか。理由があります。ひとつは、マリファナは体をこわすような危険な麻薬ではないという噂。つぎに止めたければいつでも止められる、習慣性がないという噂。そしてそれが証拠に、マリファナに厳しいのはアメリカ、日本ぐらいで、オランダなど外国ではマリファナはオーケーらしいという噂です。
ところがびっくり。噂はすべて真実。マリファナオーケーの『大麻ヒステリー』(武田邦彦 光文社新書)が出版されました。説得力がありますが、この本は危険です。学生を守ってはくれません。
1)今まで、日本では、大麻を法律で規制すべきかどうかの科学的、社会的な検討がされていない(法律は戦後の昭和23年、アメリカの指令で作られた。特に、日本人から見ると、大麻を規制することは、日本の長い歴史の伝統に反する)。
2)「大麻」が問題なのではなく、精神的作用を持つ化合物「カンナビノール」に注目しなければならない(日本で長い間作られてきた大麻は麻薬ではない。「カンナビノール」は少ないか、ほとんど含まれていない)。
3)マリファナは、嗜好品の中では、お酒、タバコ、コーヒーより習慣性、痲薬性が弱い。さらに大麻が痲薬の常習への入り口になることはない。
2、知覚の扉。
なぜ学生はマリファナに惹かれるのでしょうか。トリップ(幻覚症状)できるから、日常の自分とは違う自分になれるからです。ではなぜトリップが。それは20世紀の音楽とアートがトリップから生まれているからです。
1)すべては1954年の『知覚の扉』(『知覚の扉・天国と地獄』A・ハックスレー 今村光一訳 河出書房新社)から始まります。イギリスの小説家ハックスレーは自らのトリップ体験を著作にしました。空間と時間が消滅したような不思議な世界、そこは言葉で表現できない宇宙精神にあふれた豊かな世界だったと解説します。
2)アメリカの人気ロックバンド「ドアーズ」は、『知覚の扉(The Doors of Perception)』から名付けれました。ロックはマリファナをはじめとするドラッグと不可分でした。ローリングストーンズのブライアン・ジョーンズ、天才歌手のジャニス・ジョップリンエレキギターの革命児ジミー・ヘンドリックス、そしてドアーズのジム・モリソン、彼らは約束したかのように、27歳の年に、ドラッグで死んでいます。
3)ドラッグを使い表現として花開かせたのがザ・ビートルズです。「ビートルズの著しい進化の背景に何があったか。それは一言でいえば、ドラッグでしょう。(中略)ドラッグがなかったら、今の音楽はないですよ!」(近田春夫ビートルズ全曲制覇10時間」より。『文芸春秋』09年11月号)。
3、大麻取締法
おっといけない。これではマリファナやドラッグの礼賛論のように聞こえてしまいます。以上は科学的、歴史的事実です。この常識をもとにマリファナを「国際問題」(鎖国日本ではありません)としてとらえると、「大麻ヒステリー」とは、反対の結論が導き出されます。
1)マリファナ大麻は、ドラッグへの入り口になります。ロック・スターが証明するように、その先には死が待っています。マリファナに手を出すべきではありません。
2) 欧米で売れ残ったマリファナは、かつてのアヘンいまのタバコのように、「バカな」アジア人に売りつけられています。しかも麻薬栽培で、発展途上国の農業は破壊されています。
3)私たちの国には資源がありません。知識や知恵を使って働く貿易立国です。アルコール、タバコ、コーヒーがあれば十分です。マリファナは必要ありません。
大麻取締法が正しいか正しくないかは、国会や裁判所に任せてください。いまのあなたの問題ではありません。トリップはできます。エロス(脳幹)を鍛えることで、翔べるようになります。