本田圭祐。新しいリーダー。

コンテンツ・ビジネス塾「無回転シューズ」(2010-24) 6/30塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、本田圭佑
「日本は弱い、岡田監督じゃダメだ」「おかげでサムライブルーのグッズがまるで売れていない」絶望の予想を裏切り、モヤモヤを吹き飛ばしてくれるスーパースターが現れました。
本田圭祐です。カメルーン戦でたったひとつのゴールを決め、デンマーク戦でも先制の無回転シュートを決め、勝利を日本に引き寄せました。本田はゴールを決めたばかりだけでありません。デンマーク戦では、遠藤と岡崎のゴールを演出、さらに本田は走って走って、攻めだけでなく守りにも貢献しています。そして本田はトークでも日本選手の代表です。岡田監督は、ベスト4が目標だと言いますが、本田は優勝だと言い切りました。本田は中田英寿を上回るリーダーになり、世界のスーパースターの仲間入りをしようとしています。今日のテーマは、その本田圭佑が試合で使っているシューズについてです。
2、無回転シューズ
無回転で、右に一度揺れてから、左に逃げながら落ち、キーパーをあざ笑うかのようにゴールポストに消えていった「魔法のキック」を生み出したのは、日本のミズノが開発したシューズです。
1)ミズノは、アディダスやナイキの資金力に到底かなわないために、W杯向けの商品開発では「無回転シューズ」の1点勝負に出ました。
2)まず契約選手の本田と共同開発に着手。モニターテストで、無回転キックはふだんより足首に近いところで蹴る、ボールに接する時間を長くすればより回転を抑えられる、ことを発見します。
3)そして2年がかりで、反発力のある柔らかい合成樹脂のパッドを開発。この新素材パッドをシューズの内側、足首近くの表皮の上に貼付けました。
イギリスの放送局BBCは、本田の活躍に対して、ポルトガルのクリスチャン・ロナウドのようだと、絶賛しました。本田の魔法のキックを生み出した「無回転シューズ」は、ミズノが昨年末発売の「イグニタス」シリーズ。価格は?6,615~?21,000。すでに5万足を完売。本田の活躍で販売目標を10万足に上方修正、10億円の売り上げを狙っています(6/26日経、サンスポ)。
3、アディダス
少年の夢を砕くようですがW杯はオリンピックや自動車レースのF1と同じようにヨーロッパで開発された、お金もうけのためのビジネスモデルです。
W杯の主催者FIFA(国際サッカー連盟)は、まずテレビの放映権を売ります(前回ドイツ大会では1330億円)。そしてスポンサーから金を集めます。
FIFA公式パートナーと呼ばれる現在の最高位スポンサーは、アディダス(ドイツ)、コカ・コーラ(米)、ビザ(米)、エミレーツ航空UAE=アラブ首長国連邦)、現代・起亜自動車(韓国)、ソニー(日本)です。ソニーのケースでは、スポンサー料は8年間で330億円、関連事業費を含め1000億円になるといわれます(日経6/1)。スポンサーのなかでもアディダスの地位は特別です。アディダスの前身は1924年創立の「ダスラー兄弟商会」。戦後、弟の「アディダス」と兄の「プーマ」に別れます。その後アディダスは、FIFAと特別のパートナーシップを築くようになり現在にいたっています(『W杯ビジネス30年戦争』川崎健太 新潮社)。特別の関係は選手のユニフォームを見ればわかります。アディダスが、日本、アルゼンチン、スペインなどの12チーム、プーマが、イタリア、カメルーンなどの7チーム、ナイキが、韓国、ブラジル、ポルトガルなどの10チーム、その他が3チームです。
ミズノ「無回転シューズ」の本田にライバルがいます。アディダスは片足165g(前のモデルは約250g)の超軽量のシューズを開発しました。広告塔は天才メッシ(アルゼンチン)。対するナイキは、上部が淡い紫、下部がオレンジの1足で勝負。ピッチの緑とのコントラストが鮮明な自信の一作。広告塔はイケメンのロナウドポルトガル)です。
さて日本はどこまで勝ち進むことになるのでしょうか。得点王は?最優秀選手は?本田か、メッシか、ロナウドか。ミズノか、アディダスか、ナイキか。「無回転シューズ」はまたその威力を世界に見せつけるのでしょうか。グッドラック。幸運を祈らずにいられません(6/28記)。