家庭の力で、ブラックアウトは阻止できる。

コンテンツ・ビジネス塾「節電」(2011-18) 5/10塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、ブラックアウト
電力使用が瞬間でも供給能力を上回れば、「ブラックアウト」と呼ばれる大停電が起こります。緊急事態を避けるためには、節電が必要です。しかし企業が節電すれば生産が落ちます。家庭が節電すれば消費は落ちます。生産が落ち消費が低迷すれば、経済は冷え込みます。
事実、計画停電が実施された3月の鉱工業生産指数は前月比15.3%低下、過去最大のマイナスを記録しました。さらにこれからもし電力を25%削減すれば、7~9月の生産の落ち込みは前期比7.2%減を予測されています(日経4/27, 4/29)。
節電は必要だ、しかし経済を冷やすわけにはいかない。政府は、当初(4/8)使用電力の削減目標を25%としていましたが、4/28になって15%に引き下げました。理由は今夏の供給力を4500万キロワットと想定していましたが、5500万キロワットまで回復できる見通しになったからです。3週間で1000万キロワットの数字の変更は論議を呼んでいますが、ともかく産業界では当初の通り25%の削減目標達成を目指しています(日経社説4/29)。
2、企業の節電と家庭の節電
政府は電気事業法に基づき使用電力を制限できます。しかし製造業にとって、停電による断続的な操業は大きな痛手をなります。半導体の結晶の成長は長時間、金属・化学品では過熱した炉の温度を一定に保持、製造ラインが止まれば点検整備に倍の時間がかかります。
日本自動車工業会・・・土日の替わりに平日2日間一斉休業。輪番休日。
ソニー・・・7~12月は祝日出勤。夏休みは全社員2週間、一斉休業。
○文化シャッター・・・本社、首都圏の営業所で、ビルのフロアごとにまとまって夏休み。
NEC東芝・・・大型拠点、事業所を複数のグループに分けて、輪番で夏休み。
帝人KDDI・・・在宅勤務制を導入する。ただし、家庭の電力消費に注意する。
横浜市営地下鉄・・・2013年までにブルーラインの駅の蛍光灯をLEDに切り替える。
TDL・・・「エレクトリカルパレード・ドリームライツ」は深夜に蓄電したバッテリー電源を使う。
(日経4/9、4/13、4/26、4/27)。
家庭にたいして政府は、使用制限や節電の指導はできません。各家庭の自主性にまかされます。しかし家庭の電力需要は夏期のピーク時の1/3を占めています。「ブラックアウト」を阻止するのは家庭の力です。私たちも25%を節電目標にしようではありませんか。1)エアコンの使用時間を減らす、2)大気電力消費を減らす、3)エアコンの設定温度をあげる、4)冷蔵庫強度を下げる、5)照明を省エネ型に交換する。どれもやればできそうです。
ひとつ日本と欧米の電力事情で根本的に違うところがあります。それが双方向の通信機能を備えた次世代電力計「スマートメーター」です。スマートメーターでは、家庭の時間帯別使用電力量を測定して柔軟な課金ができる、つまり混雑料金を設定できます。みんなが電気を使うときには電気代が高くなる、つまり節電せざるを得なくなるのです。なぜ、日本でスマートメーターの普及が遅れているか。日本の電力会社にとって電力不足は「想定外」だったからです(『経済教室』依田高典京都大学教授、田中誠政策研究大学院大学准教授。日経4/29)。
3、消費の活性化
「被災している東日本は需要が旺盛なのに、被災していない西日本が沈滞している。ゴルフ場はガラガラ、映画館が人であふれている。過度な自粛はいけない。消費を活性化しGDP(国内総生産)を支えなければ被災地への応援にならない」(セブン&アイHD会長の鈴木敏文)。
セブンイレブンではおにぎり100円セールをやりました。モノがあることを訴えたかったからです。そして仮設住宅では、操作簡単なネット端末を設け、お年寄りを助けることを考えています。さらに被災地のコンビニには、ドンブリ、鍋、釜を置き、生活に必要な未店、近くて便利な店としての商品構成にすると言います(『大震災と企業』日経4/26)。
平和なA町と被災のB町。やがてAは停滞、Bは繁栄。私たちはこの松下幸之助の言葉を信じます。