コンテンツ・ビジネス塾「ソーシャルメディア」(2011-39) 10/11塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、マスメディア
新聞、雑誌、ラジオ、テレビをマスメディアといいます。マスメディア(mass media)とは、マスコミュニケーション(大量伝達)のメディア(伝達媒体)という意味です。
読売新聞は1874年、朝日新聞は1879年に創刊、NHKラジオは1925年、NHKテレビは1953年に開局。民間放送では、現在のTBSラジオ(ラジオ東京)が1951年に、日本テレビが1953年にそれぞれ放送を始めています。マスメディアの時代は、大量生産と大量消費の時代でもあり、大衆社会を招来させました。大衆社会は、だれもが政治に参加できる理想的な民主主義社会でもありましたが、一方で生活様式の画一化、個性の喪失、政治的無関心という問題も抱えました。
もうひとつ今の時代を表現する言葉があります。それは情報社会です。労働人口の過半数が情報関連産業に従事するようになった1960年代の後半から日本も情報社会に入ったといわれています。ちなみに情報社会の前が、18世紀末からの産業社会、それ以前が稲作麦作の農業社会です。
今日のテーマは情報社会が、マスメディアの時代から「ソーシャルメディア」の時代へ、大きく変わろうとしていることについてです。
2、ソーシャルメディア
ソーシャルメディアは、インターネットをインフラにしています。そして、インターネットを使いながら、人間同士の相互作用(インタラクション)によって広がっていく(スケラーブル)なメディアであると定義されます(『ソーシャルメディア革命』P.28 立入勝義 ディカバー・トゥエンティワン)。ソーシャルメディアのツールは、You Tube、ツイッター、フェイスブック、ブログです。ディバイス(情報端末)は、パソコン(PC)ではなく、タブレット(多機能情報端末)、スマホ(高機能携帯電話)です。
マスメディアがトップダウンの情報発信なら、ソーシャルメディアはボトムアップの情報展開です。ソーシャルメディアは、コミュニケーションを変え、生活を変えています。
1)2009年度のアメリカで結婚したカップルの8組に1組はソーシャルメディアで出会いました。ダンスパーティーではありません。フェイスブックで恋人を見つけているのです(前掲P.24)。
2)78%の消費者は、友人の推薦を信用するが、広告を信用するのは14%のみです(前掲P.25)。
3)最も象徴的な事例は2008年大統領選挙。オバマ大統領はソーシャルメディアの力で当選しました。でも皮肉。次期選挙では、ソーシャルメディアの力で落選するかもしれません。
ソーシャルメディアで、情報発信することを「スピーキング」、意見を聞き取ることを「ヒアリング」、そして圧倒的な発言権を持つ人を「インフルエンサー」と言います。広告主はインフルエンサーをサポートすることで、ソーシャルメディアでブランドロイヤルティーを獲得し、消費者に影響力を行使できるようになります。マスコミ型の大手広告代理店の時代は終わります。
3、日本のピンチ
ソーシャルメディアの時代では、日本の産業と日本人が没落すると予測されています。
1)タブレットやスマホで日本は立ち後れています。さらに、タブレットとスマホは日本が得意の、デジタルカメラ、ゲーム機、カーナビの市場を奪っています(日経社説8/8)。
2)次に日本のマスメディアの特殊事情があります。日本のマスメディアは、朝日(テレビでは5ch)、読売(4ch)、毎日(6ch)、産経(8ch)、日経(10ch)の強固な寡占状態です。しかも読売1000万部、朝日800万部、日経300万部。日本では良質な新聞が大量に売れています。また「匿名」の2ちゃんねるやミクシイの発達が、「実名」のソーシャルメディアへの逆風になっています。
3)ソーシャルメディアの世界に国境はありませんが、日本人には島国根性があります。まず人権意識が低い。「ガイジン」という差別発言をする。チャリティが嫌い。そして個性を認めない。「和」を大切にするだけで、独立心がない。そして英語ができないから、国際競争力も低い(前掲P.173)。
ファイスブックを利用しているのは全世界で5億人、つまり12人に1人。ところが日本では200万人、60人に1人。ワオ!日本人は世界の孤児になっていくのでしょうか。