史上最強の羽生善治はなぜ強いのか。

コンテンツ・ビジネス塾「羽生善治」(2011-38) 9/28塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、80タイトル
将棋の羽生善治(40)が、王位に復帰しタイトル通算獲得数を80期に伸ばし、不滅の大記録といわれた史上一位の故大山康晴15世名人の獲得数と並びました(東京9/14)。タイトル戦には、二日制7番勝負の、名人、竜王、王位、王将、一日制5番勝負の王座、棋王棋聖の7つがあります。
今回の羽生善治の記録達成がなぜ偉大かというと、まずスピード、年齢です。大山が80タイトルを達成したのは59才のときでした。たいして羽生は、40才。100タイトルも不可能ではありません。つぎに80という数です。羽生、大山に次ぐ第三位は中原の64、以下谷川の27、米長の19となっています。そして、羽生は通算勝率でただひとり7割以上(対局数300以上)をほこっています。
将棋は、紀元前2000年頃にインドで発明された「チャトランガ」が、平安時代に日本に輸入され独自に発達したものです。西洋に伝わったものがチェス、将棋とチェスは兄弟です(『決断力』羽生善治 P.199 角川書店)。
羽生はチェスでも最強、国内に敵がいません。なぜ羽生は強いのか。
2、羽生の10則
1)勉強法・・・将棋を上達するための勉強法がある。・アイディアを思い浮かべる。・それがうまくいくかどうか細かく調べる。・実戦で実行する。・検証。反省する。
2)リスク・・・新しい作戦を本番で試すリスクをおかさない限り、プロ棋士としての成長はない。リスクを取らないことが最大のリスクだ。
3)流れ・・・勝負が決定するまでに流れがある。サーフィンのように流れに乗っていく。波はつくれないが、乗れるかどうかだ。
4)勝ち・・・勝つのは一点差でいい。ギリギリの勝ちを目ざしている方が、むしろ確実性が高くなる。
5)ミス・・・もしミスをしてしまったら、忘れることである。どうであれ、次の一日は、始まる。
6)ツキ・・・ツキを得るのはなかなか難しいが、ツキを失う方法はいたって簡単だ。人道に反することをすれば、容易に状況は悪くなる。
7)集中力・・・集中力を高めるトレーニング法がある。・何も考えない時間を持つ。・一つのことをじっくり考えることになれること(不慣れなテーマを掘り下げて考える)。・時間と手間がかかることに取り組む(長編の『源氏物語』や『徳川家康』を読む)。
8)プロ・・・才能とは一瞬のきらめきではなく、10年とか20年、30年を同じ姿勢で、同じ情熱をかたむけられること。プロらしさとは、特別の力を持続できること。
9)モチベーション・・・モチベーション(やる気)をあげるためには、目標を設定すること。「ブレイクスルー」がキーワード。もう少し頑張れば今までと異なる景色が見える”次のステージ”を目標とする。
10)ボー・・・ボーッとした空白の時間を作ること。頭の中に空いたスペースがないと集中できない。生活の中でぼんやりすることは大切だ。
(以上、『決断力』と『大局観』羽生善治 角川書店、からの要約、引用)
3、瞬発力
羽生自身は、直感力について、否定的に考えていますが、羽生の強さは、瞬発力にあります。
1)まず、タイトル戦には、2日制が4つ、1日制が3つありますが、羽生は1日制で42タイトルをかせぎ、瞬発力がものをいう短期決戦を得意にしています。
2)つぎに、羽生だけが特殊な能力があることが証明されています。ほんらい30分をかけて読む局面で、10分しか時間を与えないとすると、羽生だけが30分と同じような、密度が高い読みをしました(東京9/14)。時間がない終盤でも、羽生はミスをしません。
3)そして羽生には、伝説の勝利があります。持ち時間が短いテレビ対局NHK杯での戦いです。18才の羽生は、大山、加藤、谷川、中原の歴代の名人をすべて破って、優勝しました。とくに加藤一二三との対決は、ファンの投票でNHK杯史上最高の戦いに選ばれています。
江戸時代のはじめに名人が誕生してから400年、羽生は史上最高の棋士になろうとしています。