反原発はイデオロギーの主張です。

クリエーティブ・ビジネス塾7「原発」(2014.2.12)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、原発を止めていいのか
東北大地震からもうすぐ3年、いまも自宅に帰ることができない福島第一原子力発電所付近の住民のみなさんの想像すると言葉がありません。放射能は恐い、原発を人間の力で本当にコントロールできるのか、疑問になってきます。
一方で、原発を今すぐに止めろの声にも、疑問に感じます。今日本のすべての原発は動いていません。原油LNGの輸入で貿易赤字が増えています。電気料金は値上げされます。エネルギーのほとんどを外国からの輸入に頼っている日本は、原発なしでやっていけるのでしょうか。
先週の日曜日に行われた東京都知事選では、有力候補の2人までが「原発即時停止」を公約に掲げ、選挙戦を戦いました。反原発派の主張は、原発はトイレのないマンションでした。発電の後に残る放射性廃棄物の捨て場所がない。もしあったとしても、今後10万年も埋めておく必要がある。
しかしどうでしょう。石油も二酸化炭素という廃棄物を出し、地球温暖化の原因になっています。火力発電所は汚染物資をまき散らしているマンション、といえないでしょうか。
2、原発の建設ラッシュ
問題は、原発にイエスかノーかではありません。エネルギー・ベストミックスを考えることです。石油、石炭、LNG液化天然ガス)、太陽光発電などの再生可能エネルギーそして原発の組み合わせの中から最適を選択することです。
世界の国々は、それぞれの国の事情に応じてエネルギー政策を立てています。たとえばBRICs(これから急激な発展が予想されるブラジル、ロシア、インド、中国)をみると、ブラジルを除いては、急激な原発建設ラッシュが続くと予想されています。中国では、最大で30基、最低で22基。インドでは現在の20基にプラスして7基が建設中。ロシアでは建設中が12基、計画中が13基。インドネシアベトナムウクライナスロバキアルーマニアでも原発の建設が計画されています(「原発は世界に何基あるか」橘川武郎一橋大学院教授 『文芸春秋』2014.2))。対してドイツは原発ゼロへ、原発依存度が75%のフランスは漸減へ、英国は逆に漸増へ、米国は変わらずと予想されています。この数字は20年後の世界を予測したものです。橘川教授は原発の数は今と変わらないが、電力での原発利用は現在の倍になると予想しています。
3、思想と科学
原発にはイデオロギー的(凝り固まった思想)な主張があります。核兵器はいけない、核の平和利用などあり得ない。原発は大企業の利益のためのもの、労働者の犠牲の上に成り立っている。原発平和憲法を否定し戦前の軍国主義への道である。
これらは共産主義や占領軍に洗脳された戦後民主主義的なイデオロギッシュ(偏向した思想)な主張です。日本のエネルギー・ベストミックスをどうするかを、真摯に問うていません。
共産主義思想は、1930年代に経営学ピーター・ドラッカーによって、賞味期限切れの思想と烙印を押されたものです(『産業人の未来』ピーター・ドラッカー ダイアモンド社)。「戦後民主主義」は、占領軍の言論弾圧とそれに協力した裏切り日本人による親書の検閲により達成された、と文芸評論家江藤淳が明らかにしました(『閉ざされた言語空間』江藤淳 文春文庫)。
科学技術の利用には何より思想が必要ですが、いまの原発の場合はイデオロギー(思想)より科学です。科学研究に大きな課題があります。
まず、ビル・ゲイツの小型原発があります。今の10分の1、空冷式、しかも地下に建設。津波やテロリストの攻撃に強い。ゲイツは中国を商談を進行中と伝えられたいます。
次は深刻。日本に10数基ある研究用原子炉が止まっていることです。原子力の若手研究者の育成、そして放射線医療、農産物の育種、食品処理、材料改質の研究が、停滞しています(「研究用原子炉、適切運用を」家泰弘 日本学術会議副議長 日経12/17)。
研究者は悲鳴を上げています。反原発イデオロギー原子力の科学を殺そうとしています。
「反原発の 罵声を浴びて うなだれて 日本を辞める 鉄腕アトム 」(アオヤマゴロウ)