文章に間違いはない。感覚の善し悪しがある。

クリエーティブ・ビジネス塾21「書き方話し方」(2014.5.5.21)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、書き方
企画や提案のプレゼンテーションのための原稿の書き方には国際的基準があります。全体はイントロ(序論)、ボディ(本論)、エンディング(結論)。全体も部分も全て3部構成です。イントロは自己紹介、提案の目的、全体の構成。ボデイは第1に、第2に、第3に。エンディングは要約、質疑応答、感謝の表明です。大きな箱が3つ、大きな箱には3つの小さな箱、企画書を書くとは、この9つの箱を埋めて行く作業です。文章を書くときの注意は、わかりやすく。書き終わったら以下をチェックします。
1)スジが通っているか。論理的か。主張を証拠で説明しているか。
2)話しかけているか。読者、聞き手にトクをさせているか。
3)難しい言葉、難しい漢字、新しすぎる言葉が使われていないか。
4)書き上げたら削る。短くする。結論中心に編集する。
5)キーワードで整理し、タイトルやキャッチコピーをつける。
2、話し方
まずボディランゲージ。プレゼンテーションは聞かれてなく、見られています。服装、ヘアスタイル、ジェスチャー、声の調子です。第2は、アイコンタクト。聴衆の目を見て話すことです。ひとりひとりに話しかける、ワンセンテンス・ワンパースンです。そして会場の左の人と右の人に交互に話しかけるワンバイワン(ひとりひとり)です。
1)学生語を使わない。
○「超」、「鬼」、「ヤバい」、「ウケる」、「マジ」、「(ぼく)的には」。
2)バイト語を使わない。
○〜でよろしかったでしょうか(よろしいでしょうか)。
○勤務させていただいております(勤務しております)。
○サラダの方に、フォークの方はおつけしましょうか(「方」はいらない)。
3)間違い
○了解しました(目上の人が使う言葉)。→承知しました。
○先輩、ご苦労様でした。→ありがとうございました。お疲れさまでした。
○「すごく」、「すごい」は、もとはぞっとするほど恐ろしい、否定的な表現。
○「鳥肌が立つ」は、危険なときに使う言葉。
○お名前「様」とか、患者「様」はおかしい。
○女子生徒のアニメ声。高いトーンで、甘ったるく「いらっしゃいませぇー」(「アナウンサーが気になる日本語」加賀美幸子・元NHKアナウンサー 金田一秀穂国語学者 『文芸春秋』5月号)。
3、日本語
1)日本語に明確な文法はありません。テンス(時制)がなく、主格がない場合もあります(『文章読本谷崎潤一郎 p.62 中公文庫)。2)敬語や丁寧語があるのは日本語だけ。己(おのれ)を卑下し、人を敬います。わたし、私ども、僕、小生、不肖。あなた、あなた様、君、おぬし、御身、貴殿。日本人ほど礼節を重んじる国民はいません(前掲p.160~162)。3)日本人の歴史には雄弁の偉人はいません。昔からおしゃべりを軽蔑していました。饒舌(じょうぜつ)は慎むこと(前掲p.46~47)。
以上は国際化時代以前、昭和の文章読本からです。国際競合のプレゼンの舞台で、主格がない文章で敬語を使っていては、説得できず、勝ち残ることはできません。
結論。文章は、音楽の好き嫌い、食べ物の味と同じです。学歴や年齢に関係ありません。感覚です。ただし感覚は磨く必要があります。いいものと悪いもの、磨かれた感覚は同じものを選びます(前掲谷崎P.73~74)。言葉遣いにも正解はありません。敬語や丁寧語より必要なのは、真心です。態度、姿勢、声の調子で敬意を表すことができます(前掲金田一p.317)。
文章、言葉遣いにルールはありません。自分の感覚と真心に叶っていれば自由でいい。ただし、あなたのセンスと人間性はそれで評価されます。これが大人の議論です。