右傾化を叫ぶ人、あなたは誰ですか。

クリエーティブ・ビジネス塾37「右傾化」(2014.9.10)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、自民党右派
政治や思想の世界で話される「右翼と左翼」の意味が分かりますか。右翼とは保守派、国粋主義、ファッシズム。左翼とは急進派、社会主義共産主義。安倍政権は右傾化していると指摘されています。「(自民党右派勢力は)教科書、日の丸・君が代、あるいは靖国によって、イデオロギー的に大日本帝国の継承・復活を目指す」(『日本劣化論』p.24 笠井潔白井聡 ちくま新書)。「改憲再軍備を唱える自民党タカ派は、戦後日本を否定し戦前日本(大日本帝国)を復活させたいという願望を共有していた」(前掲p.33)。つまり右傾化とは、憲法改正主張し、靖国神社に参拝し、慰安婦問題への疑義を提出し、東京裁判を疑問視し、原子力発電所の役割を評価することです。安倍政権は、大日本帝国を復活させようとしているのか。右傾化しているのでしょうか。
2、大東亜戦争東京裁判日本国憲法
1)まずアジアにおける第2次世界大戦の呼び名の問題があります。日本では戦前、「大東亜戦争」。戦後の教科書では「太平洋戦争」と呼ばれます。しかし「太平洋戦争」は占領軍によって押し付けられた言葉。かといって「大東亜戦争」というのも戦前を肯定するようでおかしい。そこで読売新聞では「昭和戦争」と呼ぶことに決めた。(「安倍首相に伝えたい『わが体験的靖国論』」渡辺恒雄 『文芸春秋』2014.9 p.254)。まず「太平洋戦争」はおかしい。しかしこれも、右傾化とされます。
2)つぎに東京裁判。「平和を犯した罪」は国際法にはない。つまり勝者による敗者の裁き。A級戦犯の処刑は、白人による世界支配のために行われたものである(「白人の世界支配は終わった」石原慎太郎 前掲『文芸春秋』)。この意見は右傾化の最たるものとされます。日本はサンフランシスコ平和条約を結び、戦後処理のすべてを受け入れている、今さら何を言うか。しかしこれもおかしい。東京裁判ではインド人のパール判事がA級戦犯の全員無罪を主張しました。このことを先日訪日したインドのモディ首相が取り上げ安倍首相に話しています(日経9/2)。疑義を提出することが右翼なのでしょうか。日本国憲法前文の助詞の使い方に誤りがある通り、これは占領軍によって書かれたものです。9条の精神は「不戦条約」からのものです。世界第5~7位の軍事費、世界第2位の海軍力を持つ日本はいつまで世界に「戦力は持たない」とウソを言い続けるのでしょうか。
3)そして靖国神社。そもそも靖国神社の趣旨はあいまい。A級戦犯の合祀は問題。天皇陛下は合祀以後に参拝していない。読売の渡辺氏は現実的です(前掲『文芸春秋』)。さらに渡辺氏は自らの従軍経験から帝国陸軍の「タコ部屋」的体質を批判し、戦争を遂行した石原莞爾板垣征四郎、本庄繁、林銑十郎らの敗戦までの暴走を指摘しています(陸軍刑法違反で死刑相当)。さらに「玉砕」のもとになった東条英機陸軍大臣(当時)による「戦陣訓」を批判しています(前掲『文芸春秋』)。憲法改正私案を提案している読売・渡辺氏は右傾化のシンボルでしょうか。
3、団塊の世代
渡邊恒雄(1926)、石原慎太郎(1932)、笠井潔(1948)、白井聡(1977)。渡邊と石原は戦前教育、笠井と白井は戦後教育を受けた、団塊団塊のジュニアの人です。
渡邊は、中国が沖縄占領を企んでいる。石原は、オリンピックで白人は既得権利を守っている。ともに外国の行動を警戒し、日本の利益を主張しています。一方、笠井は、天皇バチカンより広い伊勢神宮に住むアイディアを披露し、白井は、「河野・村山談話」が前進で出発点であると評価します。ともに諸外国にいい子をアピールするために日本の改造を主張しています。
右傾化を批判される人、批判する人。批判される渡邊、石原両氏に、どっしりとした人格を感じ、批判する笠井、白井両氏に軽さを感じます。偉そうに「安倍」呼ばわりするのは、なんとも下品。半沢直樹団塊の世代批判を思い出します。提案がない(少子化では戦争もできない)、国際的でない(日本がない)、仕事ができない(行動できない)。半沢直樹は偉い!
問題は、「少子化」、「高齢化」、 「失われた20年」を、どう解決するか。俺たちは矛盾を乗りこえた正義を知っている、ではありません。日本の問題はすべて団塊の世代団塊のジュニアの問題です。つまり占領軍の言論弾圧と戦後教育の問題になります。