クリエーティブ・ビジネス塾5「インテリジェンス」(2015.1.28)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、日本と世界はどうなるのか
"intelligence"(インテリジェンス)とは、知能や知性、そしてもうひとつ国家間の「諜報」(ちょうほう=相手の情勢などをひそかに探って知らせること)や「諜報機関」を意味します。インテリジェンスとはスパイ活動です。インテリジェンスのセンスは、世の中の動きを知り、未来を展望するために、私たち一般市民も持っていなければならないものです。日本人は、インテリジェンスで立ち後れていますが、私たちには優れた水先案内人がいます。元外務省、刑事事件で逮捕され有罪にされ、現在は評論家として最も忙しく活躍している佐藤優(さとうまさる)氏と、元NHKの記者で日本初のインテリジェンス小説で売れっ子作家として名乗りを上げた手嶋龍一(てしまりゅういち)氏です。ふたりは昨年暮れに『賢者の選択ー生き残るためのインテリジェンス』(手嶋龍一、佐藤優 新潮選書)を出版しました。そのなかで佐藤氏は、インテリジェンスに携わるものが決して忘れてならないのは「愛国心」だといいました(p.236)
2、モスクワ、北京、テヘラン
1)イスラム国・・・2001年9月11日に米国は、イスラム過激派に突然攻撃されました。ハイジャックされた4機の旅客機により世界貿易センタービルなどが破壊され、3000人以上の人が死亡しました。そして2015年1月7日フランスの新聞の編集会議が銃撃され、ジャーナリストを中心に12人が銃殺されました。そして現在日本人二人がイスラム国の人質になり、ひとりが殺害され、ひとりが人質になったままです(1/26現在)。なにが起きているのでしょう。
第1に、イスラム教徒が急激に増えています。1990年の11億人が2030年までに22億人に倍増します(現在のキリスト教徒は22億人)。第2に、イスラム国は従来の国家とは違うものです。監督制でも長老制でもない会衆制です。企業型でも議会型でもない小グループの集まりです(p.70)。インターネットを通じて世界から3万人以上の兵士を集めています。第3に中東の問題は、ウクライナ問題と関係しています。「モスクワ・北京・テヘラン枢軸」が結成されつつあります(p.97~p.98)。
2)ウクライナ・・・ウクライナ問題で注目すべきは、ドイツの動きです。前大統領のヤヌコビッチはロシアが、現大統領ポロシェンコはアメリカとEUが支持しています。ウクライナ問題とはロシアとアメリカ+EUの戦いです。なぜ、ドイツが問題になるのでしょうか。ドイツのメルケル首相がロシアのプーチン大統領と仲がいいからです。ドイツは天然ガスの35%をロシアから輸入しています。さらにメルケル首相は東ドイツ出身、ロシア語を話し、共産的ロシア的な考え方をする人だからです。米情報局のCIAがメルケル首相のケータイ電話を盗聴していた事件がありました。米国はメルケル首相を警戒しています。原発廃棄を決めたドイツのエネルギー政策を注目する必要があります。ドイツはウクライナ問題でも利益を上げようとしています。
3)オバマ・・・次は世界の信頼を失ってしまったオバマ米大統領です。2012年8月、オバマ大統領はホワイトハウスの記者会見で「(シリアが=アサド政権が)大量の生物・化学兵器を使ったことが確認されれば、越えてはならない一線を越えたことになる」と答えました。そして2013年米政府は「少なくとも1429人のシリア国民が化学兵器で死亡した」と発表します。しかし・・・オバマはシリアを空爆しませんした。そこで登場したのがシリアを支えるロシアと核開発国イランです。プーチンはアサドを説得し、化学兵器を国際機関に申告する、ことを約束させます。「オバマの不決断」が中東を混迷させました。
3、さようならディズニー
インテリジェンスはグローバル・コミュニケーションの最高峰にあるものです。国際間のコミュニケーションでは自らを主張がなければ誰も相手にしてくれません。たとえば、あなたが大好きなディズニーランド。日本人のあなたが初対面のアメリカ人に、「私はディズニーランドが大好きです」と言ったときの、奇妙さを想像してみてください。そのアメリカ人は、あなたと仕事をしたくない、友達になりたくないと、瞬間に判断します。ディズニーランドは、アメリカの歴史と未来を学ぶためのテーマパークであるからです。しかもその歴史は白人優先です。ネイティブ・アメリカン(インディアン)、黒人、少数民族はあきらかに差別されています。
あなたに日本人として主張がないならば、国際社会は相手にしてくれません。インテリジェンスの佐藤優氏はそれを愛国心といいました。さようならディズニーです。私たち日本人がディズニーから学べるのは愛国心。インテリジェンス、グローバル・コミュニケーションには愛国心が必要です。