シンデレラのダンスシーンで、泣いたのはだれ?

クリエーティブ・ビジネス塾19「シンデレラ」(2015.5.6)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、シンデレラ
1000人位の客席の場内は満員でした。「売り切れ」の表示があるのに列に並び、残っていた3席の空席から、前から2列目やや右寄りの席をゲットしたのでした。若いカップル、中高生、小学生、ママと一緒のもっと小さい子もいました。ディズニー映画『シンデレラ(Cinderella)』をゴールデンウイークの昼間に見ました。継母(ままはは)と連れ子の姉妹にいじめられていたシンデレラが、ブルーのロングドレスを着て王子様とダンスを踊るクライマックスのシーンでは、不覚にも涙を流してしまいました。
映画はどうってことないのですが、1000人もの人と時間を共有できたのは貴重でした。映画の観客がひとつ、得をすることがあります。短編アニメ『アナと雪の女王エルサのサプライズ』が上映されることです。あの「アナ雪」のなつかしいキャラクターが全員登場します。ラッキー!おまけ、です。
ディズニーアニメの歴史は1924年に、ウォルト・ディズニーと兄のロイが「ディズニー・ブラザーズ・スタジオ」を、ハリウッドの設立したときから始まります。初の長編アニメ『白雪姫』(Snow White and Seven Dwarfs)は1937年。そして1950年に、戦後の最初の長編アニメとして『シンデレラ』が制作されます。原作は紀元前からヨーロッパに伝えれている童話、有名な歌「ビビディ・バビディ・ブー」が登場します。2002年に『シンデレラ�』、2007年に『シンデレラ� 戻された時計の針』が制作されますが、ともに王子とシンデレラのその後のお話です。今回の作品はアニメではなく、実写。人間が演じたリアルなドラマでした。
2、ウォルト・ディズニー
1)貧困・・・ウォルト・ディズニーは、キャッチ・ボールができません。運動神経の問題ではありません。できないのは、遊んだことがないから。貧しかった、遊ぶ時間がなかったからです。ウォルトは4人兄弟の末っ子として生まれます。兄の3人は貧しさと父親の横暴に耐えかねて家出しています。ウォルトは9歳のときから新聞配達のアルバイトを始め、15歳のときまで続けています。朝3時半に起床、新聞配達、学校、昼休みは近所のお店の掃除、帰ってから夕刊。ウォルトは忙しすぎました。しかも新聞配達のバイト代は、父親に渡していました。子どもらしく遊べなかった、だから、いつまでも少年の夢を捨てませんでした。
2)プロデューサー・・・ウォルトは絵がうまかった、それでマンガやアニメを目指すようになります。しかし後に生涯の友になるアブ・アイワークスに出会うと、ピタリ!描くことをあきらめます。できる奴ができたら、任せる人を使う。もうひとつウォルトから学ぶことがあります。ディズニー映画にオリジナルはありません。『白雪姫』(ドイツの民話)、『ピノキオ』(イタリアの童話)、『シンデレラ』(ヨーロッパの民話)、そしてアニメ映画の史上最大ヒット作『アナと雪の女王(The Frozen)』(アンデルセンの童話から)、どれも模倣やリメイクです。「古典を最新の技術で作る」、ウォルトはヒットの法則を知っていました。
3)愛国心・・・ウォルトは16歳のとき年齢を偽り、第1次世界大戦に参戦します。パリの赤十字軍に入隊、補給物質輸送部隊で活躍します。そして第2次世界大戦が始まると、ヒットラーを小ばかにした『総統の顔』というアニメをドナルドダックで作ります。さらに長編アニメ『空軍力の勝利』を作ります。第2次世界大戦の勝負は空軍力で決まる。ノルマンディー上陸作戦を成功させたも、広島と長崎に原爆を投下したのも空軍力でした。ウォルトは愛国心で戦争に参加しました(『ウォルト・ディズニー』 p.202~206ボブ・トマス 玉置悦子・能登路雅子訳 講談社)。
3、ディズニーランド
「この幸せな場所にようこそ。ディズニーランドはあなたの国です。(中略)ディズニーランドはアメリカという国を生んだ理想と夢と、そして激しい現実をその原点にとし、同時にまたそれらのために捧げられる(後略)」。1955年夏のロスアンゼルスからディズニーランドの偉大な歴史は始まります。オープンの日のウォルト・ディズニーのスピーチ、この言葉はいまでも金属板に刻まれ、星条旗とともに飾られています。
アドヴェンチャー、フロンティア、トゥモロウ、そしてファンタジーは、アメリカ人の歴史と夢そのもの。ディズニーランドはアメリカの歴史の教科書です。だから日本人のあなたが、どんなにディズニーランドが好きであっても、米国人に向かって「私、ディズニーランドが、大好き!」って言うのはとてもおかしい。
「It all begins with dreams.(すべては夢から始まる)」。このウォルトの言葉が好きで、この言葉を胸に私もがんばっています。これが言えたら、本当のディズニー・ファン、国際人としても合格です。