シャーロットちゃん、昔ロンドンはオシャレの中心だったのですよ。

クリエーティブ・ビジネス塾20「ヴィダル・サスーン」(2015.5.13)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、スウィギング・ロンドン
5月2日に、英国王室のウィリアム王子とキャサリン王妃の間に王女様が生まれ、シャーロットと名づけられ英国からの明るいニュースとして、世界に伝えられました。ちなみに「イギリス」という呼び名はポルトガル語であまり使われません。じゃー、「イングランド」か。それも間違い。「UK」(The United Kingdom of Grate Britain and Northern Island)がふつうの英語です。イギリスはUK、アメリカはUSです(イングランドは、スコットランドウエールズと並ぶ王国のひとつ)。
いまから50年の昔になりますが、ロンドンが世界に情報を発信し、世界を動かし続けたことがあります。音楽のビートルズ、ファッションのミニスカート、そしてショートボブのヘアスタイルの美容師のVidal Sassoon(ヴィダル・サスーン1928~2012)、「Swinging London(スウィンギング・ロンドン)」と呼ばれました。ヴィダルは、不滅の仕事を残した美容師のスーパースター。3年前の5月9日に亡くなりました。
2、ヴィダル・サスーン
まずお断りしておきます。トイレタリー、コスメティックのヴィダル・サスーン、美容学校のヴィダル・サスーン、しかしヴィダル・サスーン本人は、これらの商品や学校とは関係ありません。悲劇です。ヴィダルは経営権を全部売り払ってしまっています。
1)ショート・ボブ・・・1950年代までの女性は、お釜式の大型固定ドライヤーに入り、スプレーで固めるセットヘアをしていました。ヴィダルは長い髪をバッサリ切ります。ショート・ボブ、髪を洗って乾かせば、すぐにそのまま外出できるものでした。「Wash & Go」の「スウィンギング・ヘア」です。ヴィダルを短いハサミを使い、人差し指と中指で髪をはさみ、毛先を切るサスーン・カットを始めます。ショートボブは、マリー・クワントがデザインしたミニスカートとともに、ロンドン発のファッションとして世界に発信されます。
2)クリエーター・・・ロンドンで仕事を始めたヴィダルはやがて米国に渡ります。そしてヘアドレッサーやビューティシャンを越えたクリエーターとしての仕事を始めます。まず世界を代表するポートレート写真家、リチャード・アヴェドンとの仕事。米国の撮影スタジオでのヘア・メイクの仕事は脇役のようなものでした。ヴィダルはそれに反逆します。ヘアメイクの部屋に仕事を早くしろ!と注文をつけにきたリチャードに、ヴィダルはヘアができるまで待てと逆に怒鳴り返します。ヘアメイクがフォトグラファーに逆らうなんて、考えられない。ヴィダルはやっちゃいました!それに見合う仕事をしました。
そしてハリウッド映画『ローズマリーの赤ちゃん』(ロマン・ポランスキー監督)では、主演女優ミア・ファーローの髪をカットするイベントを行います。パラマウントスタジオにセットされたボクシング場に観客を集め、主演女優の髪をベリーショートにカットします。そのときのギャラはなんと5000ドル(50万円)。でもこのギャラは安すぎました。映画大ヒットします。そればかりではなく、女優ミア・ファーローのベリー・ショートは全世界で流行します。「ローズマリー」といえば、だれもが「ベリーショート」のヘアスタイルを想像するようになりました。ヴィダルのギャラは100倍の50万ドル(5000万円)でもよかった。撮影現場を一番下で支えるはずのヘアメイクがディレクター(監督)以上の仕事をしました。
3)セレブリティ・・・ヴィダルの少年時代は不幸でした。5歳で孤児院、14歳で美容師、学識はまるでなし、しかもコックニー(cockney)というなまりの強い英語を話しました。ヴィダルはこれらの障害をすべて突破します。最後にはヘブライ大学から名誉博士号を授与され、アメリカ大統領の就任式典に参加し、さらにはノーベル平和賞政治学ヘンリー・キッシンジャーのパーティーに出席しています。まあ冗談でしょうが、キッシンジャーは、美容師が自分のパーティーに来たことに驚いたと、伝えられています。
3、ミレニアル・スタイル
ビートルズの長髪は、産業社会への反抗でした。ミニスカートは、コルセットや裾の長いドレスから女性を解放する、シャネルの革命を進めました。ショート・ボブは。女性をさらに活動的にしました。
いまの若者たちは「ミレニアル世代=Millennial Generation=2000年代の世代」といわれます。彼らはまず、デジタルネイティブ。絵文字を使うソーシャルメディアの世代。次にバイトの世代。高学歴ですが、貧しい、教育ローンをかかえています。そしてボランティア世代。自己陶酔型ですが、よき地球市民であろうとしています。彼らの生き方をリードする、新しいファッションやスタイルを創るのが、私たちのテーマです。