クリエーティブ・ビジネス塾11「英会話」(2016.3.9)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、「実践ビジネス英会話」
ノーベル賞受賞の科学者や国会議員が聞いているラジオの英会話番組があります。NHKの中では一番難易度が高い「実践ビジネス英会話」です。なぜこれほどまでに人気があるのでしょうか。
まず講師の杉浦敏さんです。1944年東京・神田生まれ、青山学院大学経済学部卒、オハイオ州立大学で修士取得。その後のさまざまな会社働いた経験が生きています。
つぎは講義の内容(ネタ)の新鮮さです。杉浦さんは毎朝3~4時に起きて、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、USAトゥデーをチェックし、半年ごとにテーマを選んでいいます。英語の勉強より、むしろ選ばれたテーマのほうに関心が生まれます。
2、変貌するアメリカ社会
1)レディファースト(Ladies First)
あなたはエレベーターで下りるとき、もし女性がいたらドアを押さえて、お先にどうぞと手招きしませんか。
”I held the elevator door open for a well-dressed middle-aged woman, but the lady in question didn't appreciate that at all, evidently. She glared at me as got out elevator."
(きちんと格好をした中年の女性のために、エレベーターのドアを押さえて開けておいたのですが、とうのご夫人はそれをまったくありがたく思っていないようでした。彼女はエレベーターを降りる際に、私をにらみつけたのです)。今のアメリカでは、たいていの女性はエレベーターやレストランで、男性がドアを押さえて開けておいてくれること期待していません(『実践ビジネス英会話』2015,9 NHK出版)。
2)チップ(Tip)
あなたはアメリカのレストランの食事のとき何%のチップを置いていきますか。たいていの人は10~15%と答えるのではないでしょうか。これも変わってきています。
"Back in the '40s and '50s, leaving a gratuity of 10 percent was the norm. These days it's
like 20 percent minimum."(かつての40年代や50年代には、10パーセントを心付けを残すのが普通でした。近ごろは、20パーセントが最低額のようです)。
"New York City taxi passengers paying with plastic are confronted with buttons for 20 percent, 25 percent or 30 percent."(ニューヨーク市では、タクシーの乗客がクレジットカードで支払いをする時に、20パーセント、25パーセント、あるいは30パーセントのボタンを見せられます)。
海外経験豊富な人でも、この額には驚くはずです。「チップ・クリープ(tip creep)」といいます。チップは次第に上昇してきています。この英会話教室ではレッスンの冒頭で、2ドル50セントのコーヒーのために2ドルのチップを払った話が、紹介されます。もちろんジョークでしょうが(前掲 2016,1)。
3)same-sex wedding(同性婚)
この番組では学校の教材では考えれない、同性愛者の結婚式に招待された話が紹介されています。
"It's a same-sex wedding that I've been invited to. It'll be the first time I've ever gone to one."(私が招かれているのは、同性の結婚式です。同性婚の式に行くのは今回が初めてですよ)。
やがて日本もこうなるのでしょうか。このトレンドにはなかなか飛びつけません。まあ、だれも相手にしてくれないでしょうが(前掲 2016,3)。
3、LGBT(性的少数者 lesbian, gay, bisexual, transgender)
"If a man started to tell an off-color story, someone would be sure to admonish him that there were ladies present." (男性がいかがわしい話をし始めたら、女性が同席しているからと、だれかがその男性をたしなめたものです)。もしエロ話をした男性が自分の言ったことを謝るのを、聞いたなら、謝ることで女性を見下していることになります(前掲2015,9)。
日本では女性の前でエロ話をすれば、セクハラの大合唱が起こります。女性のタレントは既婚者と恋をしたら、テレビから追放されます。こうして見ると日本人の問題は、英会話ではないと、思えてきます。これでは会話もディベートもあったものではありません。そもそも話が成立しません。
杉浦さんの「実践ビジネス英会話」は偉大です。英語を学びながら、日本を変えようとしています。