クリエーティブ・ビジネス塾27「選挙とアベノミックス」(2016.6.20)塾長・大沢達男
「アベノミックスは是か非か。初めて、投票に行く前に、考えよう」
1、安倍総理
安倍総理が消費税増税の再延期を表明しました(日経6/2)。このことからアベノミックス(安倍内閣の経済政策)の是非が選挙の争点になります。
もともと日本には消費税がありませんでした。だから外国出張(米国)では変な感じがしました。Tシャツやスニーカーを買っても、値段通りの支払いでは済まない、消費税がつきました(だからいつも小銭のおつりがポケットに一杯)。日本に消費税が導入されたのは、1989年4月(竹下内閣)で3%でした。そして97年4月(橋本内閣)に5%に。さらに14年4月(安倍内閣)に8%に。そのうえ安倍内閣は15年10月に10%にあげる予定でたが、17年4月に延期、またまた今回19年10月まで延期することにしたのです。
理由は、消費税増税で内需を腰折れさせないため。つまり、買い控えで景気が悪くなることを心配しました。さらに、日本の不景気が引き金になって世界経済に悪い影響を与えることにも配慮しました。
2、増税延期にYESかNOか。
○増税延期で、デフレ脱却の商品戦略に取り組みに余裕ができたが、社会福祉の実現のためには、増税は実施すべきである(花王・沢田道隆社長)。○増税で経済が成長しなくなる可能性がある。政府は中小・零細企業を活性化し育成する政策をして欲しい(ファーストリテイリング=ユニクロ・柳井正会長兼社長)。
○つぎの増税を見送れば、日本は財政的に破綻する。基礎的財政収支の黒字化に向けての計画を立てて欲しい(日本商工会議所・三村明夫会頭)。○増税延期はデフレ脱却の後押しになる。財政再建をどうするか。社会保障と歳出改革にどう取り組むかが今後の焦点(伊藤元重・学習院大学教授)。○増税延期は企業業績にはプラスするが、増税延期を繰り返すと、実行できない国になり、資本流出を招くリスクがある(日興アセットマネジメント・神山直樹 日経6/2)。
○増税延期は理解できない。社会保障の充実策は実施すべきではない。歳出抑制で20年度の財政健全化目標を達成すべきだ(吉川洋・立正大教授)。○増税の19年10月への延期はベストなタイミングだ。東京五輪の特需も期待できる(内閣官房参与・本田悦朗)。○増税延期は正しい。米国経済は3年以内に7割の確率で景気後退する。中国の人民元も急落する可能性がある(JPモルガン証券・菅野雅明)。○増税延期は賢明。欧州経済はドイツ以外弱い。米国経済も懸念がある。各国政府はそれを認めたくないだけ(
MFR・E・ニッカーソン 日経6/2)。
結論。増税延期は政権(アベノミックス)の一丁目一番地の目標であるデフレ脱却の後押しになることから(伊藤元重)からオーケー。またアベノミックスは外資系企業や組織、国際的に評価されています。
3、アベノミックス
アベノミクス第二ステージ「新・三本の矢」では、まず前提として「50年後も人口1億人維持」と2020年までに「GDP600兆円」達成し、さらには基礎的財政支出(プライマリーバランス=赤字国債を発行しない)の黒字化を政策目標を掲げています。
人口1億人維持は極めて重要です。現在の出生率約1.4がこのまま続けば、50年後に8千万、100年後に40千万、そして30世紀には数百人、日本は消滅・・・。まず1億人に人口を維持する、そして1億人の1人1人が活躍する、それが「1億総活躍」の意味です。
第二ステージの第1の矢は、「希望を生み出す強い経済」。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)で域内向けの工業製品にかかる関税は99.9%撤廃されることになり、名目経済成長率・年3%が実現します。
第2の矢は「夢をつむぐ子育て支援」です。出生率を1.4%から1.8%に上げます。まず結婚を考えている若者の背中を押す政策を進めます。そして子育てにやさしい社会を作ります。
第3の矢は「安心につながる社会保障」です。まず「介護離職ゼロ」の実現。高齢者と現役世代の共倒れを防ぐ。つぎに国家公務員宿舎などの国有地を活用し、特別養護老人ホーム(特養)を建設します。(「アベノミクスの成否を問う『1億総活躍』わが真意」(安倍晋三 『文芸春秋』2015.12)からの要約)。
ヨーロッパの消費税は20%が常識。そのかわり法人税は安い。グローバリゼーションでの企業は税率の低いところを選ぶ。消費税増税は、低額の法人税を実現し企業活動を盛んにし、強い経済を実現します。
アベノミックスが選挙の争点になります。政権批判やダメダメ人間の意見は聞き飽きました。具体的な政策に耳を傾け、判断し、投票することをおすすめします。