「自分の味覚に磨きをかける、それが生きるということ。」

クリエーティブ・ビジネス塾17「グルメ」(2017.4.24)塾長・大沢達男

「自分の味覚に磨きをかける、それが生きるということ。」

1、アペリティフ(食前酒)
ウイスキーの「水割り」は、日本人独特のもので、さらには「ハイボール」も水割り文化とあまり変わらない。
では、どうやってウイスキーを飲めばいいのか。基本はストレート(Straight)か、オンザロック(On The Rocks)です。ほかにウイスキーフロート(Whisky Float グラスに氷を入れ、水を7分目まで加え、静かにウイスキーを注ぐ。飲むたびに味が移ろう)、トワイスアップ(Twice Up ウイスキーを注ぎ、同量の水を常温で加える。香りを最も楽しめる)があります。
2、アペタイザー(前菜)
きょうのアペタイザーは、「完熟トマト カニと共にミルフィーユ仕立てにし、酸味の効いたクリームに乗せて」です。ジョエル・ロブション(72歳)の作品です。36歳で独立、わずか3年でミシュラン三ツ星を獲得、世界のグルメをうならせてきたフレンチシェフです。最近のジョエルは料理の対する考え方を変えてきています。技巧を尽くした料理より、最高の食材の風味を最大限に引き出し、シンプルな料理が上質で贅沢だ。きょうのアペタイザーには、ジョエルが選んだサイコーのトマトが使われています。
3、メインディッシュ(中心の料理)
肉料理は、「あか牛のフェレステーキ」。ステーキ専門店「リブルーム」(ホテルニューオータニ=東京 ザ・メイン アーケード階)の仕事です。
稲岡稔料理長が焼き方のコツを明かします。まず肉の周囲にぐるりと焼き色をつけた後、保温用の鉄板にいったん移し、肉の内部が40度近くまで上がるまでじっくり待つ(家庭ではアルミホイルに包み1分ほど寝かす)、そして再度焼く。そうすることでふっくらと焼き上がります。
肉はA~Cランクがあり、さらにサシの入り具合で1~5等級に、A5が最上級。ちなみに、「リブルーム」の「あか牛のフィレステーキ」は、150グラムで1万2800円(税・サービス料別)です。
魚料理は、「ヒラメのムニエル フキノトウのソース」。「ル・ジャポン」(東京・代官山)、オーナーシェフ中田耕一郎(40)の仕事、このひらめには長い物語があります。
中田さんは福島県いわき市出身。東日本大震災東京電力福島第1原子力発電所の事故によって福島の海は沈黙。あれから6年。沖合の海産物から放射能物質が検出されなくなりヒラメ漁が再開される。福島沖は親潮黒潮がぶつかる「潮目の海」。市場では「常磐もの」と呼ばれる質の高い魚が豊富に穫れる。中田さんは「常磐もの」のヒラメを料理したのです。
焼いたヒラメに深い緑色のソース。材料は、ゆでたフキノトウとホウレンソウ、煮たタマネギとニンニク、オリープオイル、アンチョビー、白味噌、以上をミキサーのかけて塩コショウ。ヒラメの甘みうま味を引き出しながら、ソース自体が前に出ない。改めてヒラメの美味を知ることができるものです。
4、デザート
最後にはパンケーキの国・デンマークの「パンケーキ」を召し上がっていただきます。駐日スヴェイネ大使ご夫妻にお仕事です。デンマークは九州と同じ大きさ、でも最高地点は170m、真っ平らの土地の形状から「パンケーキの国」と呼ばれています。
砂糖と全卵を混ぜ、小麦粉、牛乳、バター、レモンの皮、カルダモンパウダー、バニラエッセンス、塩ひとつまみを混ぜた生地をフライパンでうすく焼き上げたものです。パンケーキの作り方とトッピングは家庭ごとに違います。「お母さんが作るのが1番!」。そこで、大使ご夫妻がお作りになったものを召し上がっていただくことにしました。
5、ディジャスティフ(食後酒)
締めは「ジン」。英国製ではありません。日本初のジンの専門メーカー「京都蒸留所」が作ったクラフトジン「季の美」です。英国人のデービット・クロールさんの仕事です。
原料は米(通常はトウモロコシ)で、香草類の香りのボタルニカには京都産のユズやさんしょう、ササの葉、木の芽を使っています。京都蒸留所ではボタルニカを6つのグループに分け蒸留し、最適なバランスでブレンドし、香りのハーモニーを作っています。こうして生まれたのが「京都のジン」です。700ml 5000円。あらま、なかなかのお値段ですね。
(以上は、NIKKEI THE STYLE 3/5,3/12,3/19,3/26,4/2,4/9を参考にしたものです)