AIじゃ物足りない、やっぱりAIBOだ。

クリエーティブ・ビジネス塾44「新型AIBO」(2017.10.30)塾長・大沢達男

「AIじゃ物足りない、やっぱりAIBOだ。」

1、ソニー
シャープ、東芝、そして神戸製鋼、日産・・・次はどこでしょうか。ものづくりで世界をリードしてきた日本の産業界に暗いニュースばかりが続いています。これは決して構造的なものではなく、なにかボタンの掛け違いのようなものであることを祈らずにいられません。事実、BS-1NHKの土曜日朝の人気番組、マイケル・アカテイアさんの@NYCでのニューヨーカーへのインタビューで、米国人の日本製品への信頼は揺るぎないことが、実証されました(10/21放送)。そして久しぶりにソニーからの明るいニュースが日経の一面を飾りました。
ソニー 家庭用ロボ来春にー失われた12年、挑戦再びー」(日経10/8)
ソニーが2018年春に、イヌ型の家庭用ロボット、つまり新型AIBOを発売すると、報道されたのです。
AIスピーカー+愛玩犬=新型AIBOです。ソニーのロボット事業への再参入は12年ぶりです。
2016年に平井一夫社長はロボット事業への再参入を表明しました。そのときは、FA(ファクトリー・オートメーション)などの工業用を含めて幅広に展開するというものでしたが、その第1弾として選ばれたのが、新型AIBOです。
1999年のAIBOは、ホンダのASIMOアシモ)、トヨタのトランペット・ロボットとともに、世界を驚かせました。しかし、それはあくまでも機械工学とメカニクス技術の集大成でしかありませんでした。日本勢はAI(人工知能)で出遅れていました。今回の挑戦はAIスピーカーメカニクスというものです。AI時代のソニーはどうあるべきか、もっと大きく、日本の製造業が生き残れるかどうかの挑戦です。
2、AIスピーカー
ところで、「AIスピーカー」って何でしょう。AIスピーカーは「スマホ」の次といわれる大型商品です。
まずグーグルは日本でも10月6日からAIスピーカーグーグルホーム」を発売すると発表しました。AIスピーカーは音声や言語を認識するクラウド型のAIを搭載し、話しかけることで家電製品や自動車、防犯機器など様々な製品の操作ができるもので、価格は1万4千円です。米国ではアマゾンが2014年11月に発売、グーグルも16年11月に追随、両社合わせて1千万台以上出荷しています(日経10/5)。
アマゾンジャパンもAIスピーカー「エコー」を、価格と発売期日は未定ですが、日本でも発売します。
そしてLINEもAIスピーカー「WAVE(ウェーブ)」を発売します。目玉は日本で7000万人の利用者を抱える対話アプリ「LINE」との連携です。友人からのメッセージを読み上げてもらい、音声操作でメッセージを入力、送信できます。
さらにソニーパナソニックAIスピーカーの発売を予定しています。
AIスピーカーは、日本の製造業に大きな問題点があります。それは頭脳となるAIエンジンを米アマゾンと米グーグルに依存していることです。パソコン、スマホと同じ構図です。ハードウエアの価格競争では儲からないのです。
アマゾンは、「エコー」の日本発売に合わせてAIエンジン「アレクサ」を、外部企業に提供します。ヤフー、NTTドコモ、クックバッドなど、アマゾン経済圏が広がるばかり。ソニーパナソニックも「グーグルアシスタント」を使います。
AIスピーカーは、AIの使用料で米国企業を、富ませるだけです(日経10/3)。
もうひとつAIスピーカーには問題があります。非人間的な商品、ここに日本のビジネスチャンスがあります。丸い円筒形のスピーカーに向かって「OK!グーグル!」と話しかけなければなりません。壁に向かって話しかける、違和感があります。AIスピーカーは人間の姿をしているべきです。百歩譲って、動物であるべきです。そうです。新型AIBOです。アンドロイド(人造人間)はムリとしても、せめてアンドロイドドッグ(人造犬)です。
3、『ブレードランナー2049』
本格的にアンドロイド(映画では「レプリカント」)をテーマにした人類初の映画『ブレードランナー』(米国 リドーリー・スコット監督)が制作されたのは1982年。映画が未来として描いた時代は2019年です。
2019年、環境破壊により人類の大半は宇宙に移住していました。宇宙開発の最前線ではレプリカントが過酷な労働に従事しています。人間社会に紛れ込むレプリカントを取り締まるのが、ブレードランナー(専任捜査官)です。
映画は、反乱を起こした4人のレプリカントと、ブレードランナーのリック・デッカードハリソン・フォード)の戦いを、描いています。しかし・・・ブレードランナーのリックがレプリカントのひとりの女性を愛するようになってしまいます。
そしてことし10月に、『ブレードランナー2049』(米国 ドゥニ・ヴィルヌーブ監督)が、公開されます。この映画ではレプリカントの生殖能力がテーマになっています。レプリカントが生んだ子どもいる、その父親はだれ?ブレードランナーのリックなのか。まだ見ていない映画ですが、興味津々です。
アンドロイドだけに、危険で過酷な作業をさせることは、許されるのでしょうか。アンドロイドが人間に反抗するようになったら、どうすればいいでしょうか。ある面で人類より高度な頭脳を持つアンドロイドを、人間は取り締まることができるのでしょうか。アンドロイドとの恋は許されるのでしょうか。アンドロイドは子孫を残すようになるのでしょうか。
新型AIBOが登場で、未来はすぐそこに来ます。1)ロボットは人間に危害を加えてはならない。2)ロボットは人間の命令に従わなくてはならない。3)ロボットは前2項に反しない限り自己を守らなくてはならない。ロボット3原則(アイザック・アシモフ)をもう一度考えるてみる、それがロボットやアンドロイドの先進国日本の責務になります。