クリエーティブ・ビジネス塾41「リアム・ギャラガー」(2018.10.1)塾長・大沢達男
正体不明、理解不能。「リアム・ギャラガー」の音楽とそのファン。
○「Wall Of Glass(ガラスの城)」(Liam Gallagher 作詞 アオヤマゴロウ訳詞)
♫ いつも ヒミツが あったね/よけいなことも 抱え込んで/知ってるだろう/だれも 寄ってこないよ/だれも きみを見つめ続けられない/オールでね♫
♫冷たくして なんて 言ってない/けど きみの気持ち 知っている/きみのきつい言葉は/きみに返る/ある日 きみのガラスの城を 壊す/ガラスの城/ガラスの城/ある日 きみのガラスの城を 壊す♫
1、武道館
9月13日(木)18時、地下鉄「九段下」の駅を出て、武道館に向かいました。もう半世紀も通っています。71年レッド・ツェペリン、72年ディープ・パープル、・・・98年のオアシス。今回は久しぶり、元オアシスの「リアム・ギャラガー」のコンサートのためにです。
北の丸公園のお堀を見て、石垣に囲まれた道を通り、まるで武士のように、大きな門をくぐり、コンサートホールの武道館に歩を進める、こんな贅沢な場所のコンサートホールは世界中どこにもないはず・・・。
会場に入って改めて驚きます。いい広さ。東京ドームに飼い慣らされすぎました。みんながひとつになれる広さ。ロックファンのお気に入りの、3階正面のいちばん後部の席ですら、歌手の顔が分かります。武道館で収録されたディープ・パープルのライブ・イン・ジャパンが名盤になっているのもうなずけます。
2、ファン
集まった人々は意外でした。30歳代の後半から40歳代の前半。だけど、だれもオシャレをしていません。
ロックコンサートは日常から非日常に飛翔するイベントです。思い切ったファッションに身を包み、この非日常が日常に転化できる日々を願う、それこそがセックス・ドラッグ・ロックンロールの精神です。リアム・ギャラガーに集まった観客はごく普通。観客の目的は仮装パーティーではありませんでした。
3、マンチェスター
さて「オアシス」とは何でしょう。1990年代に「ブリット・ポップ」と呼ばれるバンドのグループがありました。「オアシス」もそのひとつです。1970年代後半からの「セックス・ピストルズ」を代表とするパンクが全てを否定したのに対して、ブリットポップは圧倒的な肯定でした。「オアシス」の音には、ブリティッシュ・ロックの偉大な伝統がありました(『ブリット・ポップへの道』p.8 p.22 大鷹俊一 ミュージック・マガジン増刊)。
もうひとつ、オアシスがマンチェスター出身のバンドであることです。ロンドンから北へ約300キロ。ビートルズのリヴァプールのそばです。ビートルズとオアシスを、ロンドン出身のローリング・ストーンズ、レッド・ツェペリン、並べて見ると何となく雰囲気が違いがわかります。オアシスはノエル・ギャラガー(弟)とリアム・ギャラガー(兄)を中心に結成されました。ふたりは兄弟喧嘩ばかり、それで「オアシス」は分解しました。
さて肝心の音楽。リアムが登場するといきなり、全員が立ち上がりました。アリーナです。立ち上がらざるを得ません。そして立ったまま。ほとんど曲を観客も歌っています。すごい。リアムの歌は、高音、ファルセット、シャウト、ロック歌手のテクニックを使いません。歌です。だれもが歌えます。ドラムスは上手い。ベースも、リードギターも、サイドギターもいい。強いていえば、リアムのボーカルが物足りないだけです。
19時10分に始まったライブは、20時20分に終わり、アンコール1曲でさらっとしたコンサートでした。観客は、さらにサラッと、していました。アンコール前に席を立つ観客もいました。
ふつうの人が、日常のままに集まり、みんなが歌える、歌中心のコンサート、1時間半で1万4000円。今日から世界が変わる、今日から何かが始まる、そんな予感もなく。平和の象徴、徳川300年の石垣を見ながら、ビジネスパースンに囲まれた帰り道のように、九段下の地下鉄に向かいました。しかし・・・、リアムを甘く見ない方がいい。それから1週間、リアム声が耳ついて、悩まされたのですから。
○「Come Back To Me (よりを戻そう)」(Liam Gallagher 作詞 アオヤマゴロウ訳詞)
♫遠くまで 来た/手はゴワゴワ/けど きみを抱きたい/淋しいのは 分かっている/空しい/けど好きだ/心はひとつ/ドキドキさ♫
♫みんな いなくなった/きびしいね/みんな いなくなった/神に試されているね/うまくやろうよ/どうして ぼくと よりを戻さない/どうして ぼくと よりを戻さない/どうして ぼくと よりを戻さない♫
♫自分にあきたよ?/神を頼るよ/来るさ 行くさ/まだ 自分を捜している/飛ぶさ 救われるさ/勇気さ/波は荒い/きみは いちずさ♫