レッチリのドームに行ってきましたが、私はもういまの時代と寝てはいませんね。

THE TED TIMES 2023-08「レッチリ」 2/22 編集長 大沢達男

 

レッチリのドームに行ってきましたが、私はもういまの時代と寝てはいませんね。

 

1、パンクチュアル(規則正しい)

「レッド・ホット・チリペッパー」は現代のアメリカ、カリフォルニアを代表するロック・バンドだそうです。期待で胸をいっぱいにして、東京ドームに行きました。

2時に地下鉄後楽園前で待ち合わせ、2時半にはドームの中に、待つこと3時間、5時半きっかりにライブは始まりました。そして7時過ぎにはエンディングに突入し、7時半まえにレッド・ホット・チリペッパーズはステージの上にはいませんでした。

ロックを聴き始めて60年になりますが、パンクチュアルなロックイベントは、やっぱりなじめません。非日常がロックだから・・・。

入場料は平均して2万円。観客が4万人だとすると、売り上げは8億円、まあなんだかんだで10億円の金が動くイベントです。

先日ある建築関係者の話を聞きましたが、地上14階、26世帯が住めるマンションの売値が10億円でした。施工に2年近く、延べ1万人の人が働く巨大事業にしてです。

ロックイベントはたった4人が2時間ステージに立って10億円、とんでもなくリスクの大きな事業です。

2、カリフォルニケーション=カリフォルニア・メイキンラブ

集まっていたのは、団塊の世代ではなく、そのジュニアと思しき人たちとそれよりもっと若い人たちでした。

ライブが始まるとアリーナの全員はスタンディング、そしてときどき合唱です。

ヒットソング「カリフォルニケーション」の意味は、California +fonication(姦淫=かんいん=お××こ)です。

それで私は「California making love=カリフォルニア・メイキンラブ」と翻訳しました。

中国からの心を操るスパイが/心の爽やかさを盗もうとしている/スエーデンからの少女が/映画のような夢を見ている/もしキミがそんな夢を見たいなら/それがカリフォルニア・メイキンラブ/

ここは世界のハジで/西洋文明の先端さ/太陽は東から昇り/最後に沈むところさ/ここハリウッドがカリフォルニア・メイキンラブを売っているところ/

整形のお医者さんに/老いを消してもらいな/素敵なお肌ね/マジあなたのアゴですか/お金を払ったものですか/

初めての一角獣/きわどいソフトポルノ/カリフォルニア・メイキンラブの夢/カリフォルニア・メイキンラブの夢

特別にカブ(傾)いてもいない、普通の中年のおじさんたちが、こんな合唱をしていました。

レッド・ホット・チリペッパーズは、民主党支持です。とくにベースのフリーは、バーニー・サンダースの支持者です。

政治家を支持することは自由ですが、民主党は高学歴、高収入、共和党は低学歴、低収入であることが明らかになっています。米国は学歴と貧富で分断されています。

3、カルフォルニア・コンプレックス

私にとってのカリフォルニアは、特別です。まずヒッピー。詩人の谷川俊太郎が詩人のゲーリー・シュナイダーに会いに行ったとき、ゲーリーのファミリーは、男も、女も、子供たちも、全員全裸で谷川を歓迎しました。それが60年代のカリフォルニアでした。ヒッピーといえばスマート・フォンを発明したスティーブ・ジョブズです。サンフランシスコ・クパチーノにあるアップルの本社に行きました。アップルのロゴがあるTシャツを買いました。そしてスティーブ・ジョブズが愛用したサンフランシスコのレストランに行き、食事をしました。サンフランシスコの「カフェ・トリエッセ」にも一人で行ったことがあります。そこでコッポラ監督が「ゴッドファーザー」のシナリオを書いたからです。

カリフォルニアには夢のような思い出がいっぱいあります。カルフォルニア・コンプレックスです。パパス&ママスの「カリフォルニア・ドリーミング」、ビーチ・ボーイズの「サーファー・ガール」そしてイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」。そして「カリフォニケーション」。

レッチリの演奏は完璧です。とくにPAがすごい。しかし音楽を発明してはいません。レッチリがカリフォルニアを代表するバンドでいいのでしょうか。