映画より美術より音楽より、アルマーニがいい。

クリエーティブ・ビジネス塾47「アルマーニ」(2012.12.4)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、プレゼント
ユニオンジャックのランニング、オレンジ色のハイヒール、ヘップバーンの写真集、テディベアのぬいぐるみ、ボートネックのしまのシャツ、アメリカ生まれのピーコート・・・10年ほど前にカラオケで流行った『プレゼント』(ジッタリンジン)というヒットソングがあります。私は彼からいろんなプレゼントもらったけど、どうも彼女がいるらしい、大好きだけど別れてあげるワ、という甘く酸っぱいラブソングです。
プレゼントの季節がきました。素晴らしいラブがつかめますように、プレゼントを考えましょう。
2、ブランド
プレゼントといったらブランドです。まず手軽なのは、カジュアルブランド。GAP、ZARAH&MUNIQLOです。こちらは1万円以下の予算ででOK。リーズナブル価格で品質も問題ありません。ただ、いいものを貰ったワ、奮発したゼ、と思い出に残るようなパンチが、いまいちありません。
次は、シャネル、アルマーニにのデザイナーブランド。さらには、エルメス、ヴィトンのロイヤルブランド(メゾンブランド)があります。こちらは1万円以上、少なくとも数万円の予算が必要になってきます。勝負をかけた、印象に残るプレゼントになります。
恥ずかしい話ですが、銀座のエルメスのお店に入ったことがありません。晴海通り、ソニービルのすぐとなり・・・、いつも回りをグルグル回るだけです。だいたいエルメスをお金がありません。「バーキン」という女性用の革の鞄を質屋に持って行けば、100万円貸してくれるというのです(質屋の経営者に聞いたから本当の話)。そんな店で買い物したくありません。ロイヤルブランドは、王室ブランドです。エルメスはフランス皇帝ナポレオン3世の御用達の馬具商でした。そしてルイ・ヴィトンも御用達の木箱製造業者、でした。ロイヤルブランド愛好者は「プチ帝国主義者」(『ブランドの条件』山田登世子 岩波新書)です。もちろん、これはお金がない者の負け惜しみですが。
その点同じブランドでも、シャネルとアルマーニは違います。ココ・シャネルは宮廷社会から産業社会に到来ともに登場してきたデザイナーです。活動する女のための服、誰でもが似合う服、コピーできる服を作りました。ジョルジオ・アルマーニもそうです。アルマーニが設立されたの1975年、これはビル・ゲイツマイクロソフトが誕生したのと同じ年です。つまり情報時代のビジネスパースン(ビズネスマンではない、女性をふくめて仕事をする人)のための服を作ったのです。
ここ一番のプレゼントで、私たちが選ばなくてならないのは、シャネルやアルマーニのデザイナーブランドということになります。
3、アルマーニ
アルマーニ銀座タワーで、ジョルジオ・アルマーニ コレクションの展覧会「eccentrico(他とは異なること)」が開かれました(2012.11.30~12.13)。1985年から現在までの作品展です。
驚きました。そして感動しました。それは、どんな映画より、どんな美術より、どんな小説より、どんな写真より、どんな音楽より、深い感動をもたらしました。
数十点のドレス、バッグ、アクセサリー、靴・・・そのひとつひとつが、素材、色、形、デザインの組み合わせで、独自の小宇宙を構成していました。
絵画をはるかに越えていました。彫刻すら足下に及びません。もちろん工芸や建築にも負けていません。それがジョルジオ・アルマーニのファッションデザインです。
アルマーニの作る女性用のジャケットは、ベージュとグレーだけです。しかしコレクションでは違いました。自在に色彩を操ります。和服の柄模様すら扱います。極め付きはレディ・ガガのためのコンサート用の衣装です。シルバーグレイの金属でできたミニのジャンプスーツです。
アルマーニが世界的になるのは1980年の映画『アメリカンジゴロ』から。主演のリチャード・ギアアルマーニのスーツで登場してからです。シャネルが、ピカソらのアーティストたちと交流したように、アルマーニアメリカの映画人を味方にしました。デザイナ−ブラントをプレゼントするとは、恋人とアートを語ることです。今年のクリスマスにはアルマーニをプレゼントに選び、映画『アメリカンジゴロ』をふたりで見ましょう。ちょっと衝撃的なリチャードの全裸のシーンがありますよ。