白鵬への辛口には、人種偏見がないだろうか。

TED TIMES 2021-30「白鵬」 7/27編集長 大沢達男

           

白鵬への辛口には、人種偏見がないだろうか。

 

1、45回目の優勝

6場所連続休場していた白鵬が、出てくるや否や、全勝優勝をしました。

全勝同士、千秋楽での照ノ富士との対決は、激しい相撲でした。左手張り手を見せつつ、右からかち上げ。さらには左右からビンタのような張り手、最後は後ずさりしながらの小手投げで決めました。破天荒な相撲に勝った白鵬は、「鬼の形相」でガッツポーズを決め、雄叫びを上げました。

20年前2001年の5月場所、優勝決定戦で武蔵丸を破った横綱貴乃花の「鬼の形相」を思い出しました。表彰式で小泉首相内閣総理大臣杯を渡し「痛み耐えてよく頑張った。感動した。おめでとう」と祝福したあの時です。結局、貴乃花はその時のがんばりが原因で、何場所も休場し引退してしまいます。

一方白鵬は、6場所連続休場あけ、まる一年、本割での相撲を取っていませんでした。ケガ、右膝の手術、おまけにコロナに感染。奇跡の優勝としかいえません。右膝には大量の水がたまる、というのですから信じられません。文字通り「引退」をかけての戦いでした。白鵬は来場所以後も期待しますが、「鬼の形相」には力士生命をかけて戦っている意味があります。

2、理事長の辛口

八角理事長は、14日目の白鵬の正代戦での立ち合いの奇策に、「弱いものがするもの」と苦言を呈しました。同じく、横綱の張り手、かち上げも、評判はよくありません。「反則技ではないし、ルールの範囲で横綱が強さを示したことはわかる。とはいえ番付最上位の力士が期待通り全勝で千秋楽を迎え、優勝を決めるというめったにない大一番だっただけに苦みが強い。なぞも残った。かち上げがなかったら、どっちが勝ったろう?」(7/22 読売 編集手帳

「この日の取り口も相撲の美学にそぐわない。しかし満身創痍(まんしんそうい)の36歳がみせた勝利をへの執念には有無をいわせぬすごみがあった。多くの力士にたりないものだ」(7/19 日経)。

興行としての大相撲からすれば、全勝の横綱と全勝の大関の対決、大関が勝って大相撲は次の時代へ、八百長横綱大関に花を持たせる、というもでした。横綱に昇進した来場所はわからないよ。観客はそれで大満足します。ところが白鵬はマジで千秋楽に臨んでしまいました。読売の馬鹿らしい評論は八百長をしろ!と言っているようなものです。日経は国際化時代の大相撲の矛盾をついているといえます。

3、大相撲

現在の相撲には、興業の大相撲、学生・実業団のアマチュア相撲、神事や余興の素人相撲(草相撲、野相撲、奉納相撲)があります。相撲は、神事や祭りを起源とする日本古来の武芸、武道のひとつです。力士は柏手(かしわで)を打ちます。横綱は注連縄(しめなわ)を締めます。東京での本場所前には墨田区野見宿禰神社で、相撲関係者が出席し、出雲大社教の神官による神事が行われます。

伝統を守ることは大切です。しかしかつてのハワイ力士、欧州力士、そして現在のモンゴル力士、相撲が国際化しているの事実です。

外国人力士に上から目線で、相撲の美学が主張され、結果として、外国人力士はイジメられ続けてきました。

小錦は相撲とは何か?に対して、「ケンカ!」、と答えてひんしゅくを買いました。小錦は「Fight!」と答え、「ケンカ!」と翻訳されただけの話です。

朝青龍は、六本木で謎の人々にはめられ暴行事件を起こし、非難されました。

白鵬への非難にもそれに近いものがあります。白鵬は甘く見られています。明治天皇の相撲擁護に感謝し、双葉山に習って木鶏(モクケイ、木彫の鶏、応戦するものがいない)にならんと欲し、後の先(受けて立つが先手に立つ)を目指す、白鵬の精進と真摯さは評価されていません。白鵬は大相撲史上、最強の横綱であるにもかかわらず、外国出身故に、尊敬を集めていません。

優勝回数45回(大鵬32回)、連勝63連勝(双葉山69連勝)、幕内勝利数1093勝(魁皇879)。だれも超えられない成績を上げています。

そして、白鵬がなによりすごいのは、いまでも現役最高の集中力を持っている、現役最高のスピードを持っている、現役最強の投げの強さがあることです。

さらに白鵬には、モンゴルから異国の日本に来て相撲で生きてきた、そこから生まれた強さがあります。