柳井正のユニクロは、だれも止められない。

コンテンツ・ビジネス塾「ユニクロ」(2009-14) 4/28塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、ユニクロメガストア
4/24(金)朝9時、50人ほどの開店を待つ行列と、10数人の報道陣が見守る中で、都内最大級の売り場面積を持つ「ユニクロ新宿西口店」がオープンしました。
入場を待つ行列は午後の5時半になっても消えませんでした。近くにユニクロは4店舗もあります。さすが新宿の動員力です。地下1階から地上4階までの5フロアは満員でした。
3月の売上高はユニクロ△7.9%。ユナイテッドアローズ▲11.2%、ライトオン▲14.7%、ジーンズメイト▲17.8%。ユニクロ快進撃、歴然たるユニクロの独り勝ちです(日経4/3)。
2、ユニクロマーケティング
マーケティングとは市場を動かすことです。なにで市場を動かすか。それが4つのP。Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(広告)です。
1)Product(製品)
まず、発熱性保温肌着「ヒートテック」です。08年秋冬に国内を中心に2800万枚を売ったヒット商品です。ヒートテック東レとの提携で、抗菌機能、保湿性、軽量化と、毎年進化しています。そして進化の結果を海外市場で売り出すのはこれからです。
さらに、「ブラをつけずに、ブラをつけている安心感」の「ブラトップ」があります。これも昨年の大ヒット商品。新宿西口店でのオープニング記念価格は、¥990。女性はブラジャーを買わなくなります。ワコール、トリンプなどの下着メーカーは真っ青になったはずです。
2) Price(価格)
新宿西口店では、¥990のポロシャツが目玉になって、カラフルにならんでいました。ほかに期間限定価格ですが、フルジップパーカー¥1490、ジーンズ¥2490、驚きは会社に着ていってOKのオックスフォードシャツが¥690で売り出されたことです。ユニクロは安い。しかしファーストリテイリングはこれで満足していません。ユニクロよりさらに安い超低価格衣料品店ジーユー」を展開しています。¥990のジーンズは予想の倍売れ、3月の売上高は△70%を記録しています(日経4/3)。
3) Place (流通)
大型店の展開は新宿西口だけではありません。東京、大阪の中心部で、現在の60店を200店に増やす計画を立てています。つぎに、東京・銀座の旗艦店の売り場面積を5割拡大します。となりのビルにまで進出するのです。さらに注目されるのは中国です。電子商取引(EC)のアリババと組み、中国全土でユニクロ衣料品のインターネット通販に乗り出します(日経4/7)。中国では、現在33店舗を展開中ですが、これで早期の販売拡大とブランド浸透が可能になると期待されています。
4) Promotion (広告)
新聞のチラシは情報に溢れています。写真よし、コピーよし、レイアウトよしです。社長の柳井さんが毎週チェックしている。その通りかも知れません。価格訴求のチラシは表現がマンネリ化しやすいのですが、いつも新鮮、セールスポイントが明確です。つぎはモデル戦略。藤原紀香大沢たかお押切もえ栗山千明。かつては矢沢永吉山崎まさよしも出演し話題を呼びました。
3、ファーストリテイリング(FR)の夢。
ユニクロを展開するのはFRの柳井正社長兼会長。夢は、2010年までに売上高1兆円、2020年までに売上高5兆円の「世界一のアパレル製造小売業」になることです。来年までに、ギャップ、ザラ、H&Mにならび、そして抜き去るのです。
FRには、ファーストフードの「個性」があります。早く、安く、うまいのです。つぎにFRは、いつも「ニュース」に溢れています。柳井さんはメディアに登場するスターになっています。そして世界一になる「夢」があります。個性、ニュース、夢。そのブランド戦略は、申し分ありません。
クルマの「トヨタ」、ゲームの「ニンテンドウ」。ファッションの「ユニクロ」が、世界一になれる条件とは何でしょう。着物の国のユニクロが洋服のファッションに、クリエイティブな提案が出来るかです。
ところで男子のみなさん、ブラトップにご用心、あれは実力以上にグラマーに見せますよ。