コンテンツ・ビジネス塾「諸葛孔明」(2009-13) 4/21塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、レッドクリフPart2(赤壁の戦い)
長江をはさんで対峙する80万の曹操軍(そうそうぐん)と5万の孫権軍(そんけんぐん)。戦力的に孫権軍は圧倒的に不利です。しかし孫権軍には天才的な軍師(戦略家)である孔明(諸葛亮)がいます。孔明は、まず10万本の矢を一晩で用意する、と言い実行してみせます。霧に乗じて「わら」だけを積んだ舟を出陣させ、太鼓の音で脅します。驚いた敵は攻撃します。矢はすべてわらに突き刺さり、孔明はまんまと10万本の矢をせしめてしまうのです。
つぎに孔明は、火攻めで敵を攻略しようとします。しかし風向きは不利。火をつければ自軍が燃えてしまいます。しかし孔明は知者。風向きがやがて逆転することを知っていました。風を読めたのです。風向きが変わるその瞬間を逃さず、曹操軍を攻撃します。そして大成功。中国の歴史で有名な「赤壁の戦い」は、孔明の力により、孫権軍の奇跡の勝利で終わります。
映画「レッドクリフPart2(赤壁)」を見ましたか。孔明を演じているのが台湾出身の金城武。父が日本人、母が台湾人。日本語、台湾語、北京語、広東語、英語を話す国際的な俳優です。
2、金城武(孔明)
レッドクリフには、香港のトニー・レオン、日本の中村獅童、台湾のファッション・モデル、リン・チーリンが出演しています。パート1、パート2を見終わった今、豪華なスターが共演するこの映画は、とどのつまり金城武が演ずる「孔明の映画」で、孔明を演ずる「金城武の映画」だったと思うのです
1)戦乱の中で、軍服ではなく白のロングコートを着て、長江の川べりにたたずみ、雲を眺め風を読む、金城武がかっこいいのです。その姿は、都会の文明に背を向けたヒッピーのようであり、詩を読み、歌い、さまよい続けるボヘミアンのようです。こころは、フリー(自由)です。
2)トニー・レオンが演じる周瑜(しゅうゆ)と金城武の孔明が、琴を合奏するシーンがあります。音楽を通して両雄が対話するおしゃれなシーンです。パート1でも登場したこのシーンは、レッドクリフのセールスポイントになっています。戦乱の前の静寂です。セクシーです。
3)ラスト・シーンにはパート1で、孔明が出産を助けた子馬が、大きく育って登場します。周瑜(しゅうゆ)の妻・小喬(リン・チーリン)が、萌萌(もんもん・子馬の名前)を、孔明にプレゼントするのです。子馬と金城武。これもかっこいい。しかもプレゼントしてくれたのは美人の小喬、ほとんどエロです。
3、三国志
赤ワインをいただきながらのフランス料理もここいちばんのデートには欠かせません。イタリア料理の食後のジェラートとエスプレッソも彼氏との距離を近づけます。コーラとハンバーガー、アメリカのファストフードもショッピングやライブの前の絶好のメニューです。
しかし私たちは、体質に合わない西洋料理を食べるように、フランス映画、イタリア映画、アメリカ映画を見て、消化不良を起こしてきました。レッドクリフの原作は「三国志」(1800年前の中国の歴史物語)、いわば中国料理の映画です。中国料理が、親しみやすく、おいしく、しかもヘルシーなように、レッドクリフも、分かりやすく、面白く、こころをヘルシーにする映画です。
1)孔明は、蜀の国の47歳の劉備に、わずか27歳のときに、軍師として「三顧の礼」(目上の人が礼を厚くして人に仕事をしてくれるように頼むこと)で迎えられます。
2)孔明は、「知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者はおそれず」(知のあるものは惑うことがなく、思いやりのあるものは心配事がなく、勇気があるものは何事もおそれない)、リーダーのお手本でした。
3)孔明は、「仁義、礼節、忠孝」(めぐみ慈しみ、物事の筋道を通し、敬意を表す作法にすぐれ、度を超さず、主君と国家にまごころを尽くし、親を敬う人)の人でした。
孔明は、約束を守り、友を裏切ることなく、恩を忘れず、しかも国民の生活を大切にする人でした。
映画「レッドクリフ」(監督 ジョン・ウー)と、まんが「三国志」(原作 吉川英治、画 石森章太郎プロ)を見て、私たちが学ばなければならないことが、もうひとつあります。それはインテリジェンス(諜報、スパイ)です。日本にも忍者がいましたが、中国の歴史の重要な場面はスパイが動かしています。
鎖国で育った私たちは甘い。孔明は、背筋が寒くなるような、スパイ使いの名手でもありました。