中国だけでない。ボクたちにはインドがある。

クリエーティブ・ビジネス塾27「インド」(2014.7.2)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、Brics(ブリックス)
米国に代わって、21世紀に世界の中心になる可能性と持っている国々を、ブリックス(Brics)といいます。B(ブラジル)、R(ロシア)、I(インド)、C(中国)です。
中国はお隣で、しかも世界最大の人口を持つ国です。中国を旅行したし人、中国人をお友達にしている人はたくさんいます。なにかと対立がありますが、中国とはどうにか仲良くして行かなければならないのは、みんな知っています。ブラジルではワールドカップ開催中、オリンピックもあります。ロシアは北方領土でいつも話題になっています。ブリックスの中で、ひとつ忘れている国、しかも絶対に忘れてはならない国、それがインドです。
インドは若い国です。人口で中国に迫っています。やがて追い抜きます。中国13億5千万人、インド12億3千万人。国民の平均年齢が違います。中国36.7歳、インド27歳。若者ばかりの国です。ちなみに日本は46.1歳!!!悲しくなります(日経5/18)。日本の人口は1億2千万人。インドへ行けば10倍売れます。インドをもっと研究すべきです。
2、ナレンドラ・モディ
2014年5月の総選挙で最大与党の人民党(BJP)が勝利して10年ぶりに政権を担当することになりました。首相はナレンドラ・モディ(63)です。
モディ首相は、グラジャート州知事として「グジャラートの奇跡」を指導してきました。経済特区を作り経済成長を達成しました。外資を誘致し、工場を建設し、雇用を増やしました。のんびり牛が歩いていたでこぼこの泥道は、8車線の道路に変わり、電力や水の供給網は一新されました。モディ首相はインドの奇跡を起こそうとしています。
モディ首相の政策の第1は、「レッドテープからレッドカーペットへ」。レッドテープとは巨大な官僚機構の規制。レッドカーペットは外国企業の誘致、最高のおもてなしでの歓迎です。規制緩和外資導入です。
政策の第2は、「最小限のガバメント(政府)による最大限のガバナンス(統治)」です。
インドの官僚機構は、超エリート集団によって指導されてきました。30万〜40万人の受験者からたった800~1000人しか合格しない行政職です。モディ政権での閣僚は前政権の70人から45人と大幅に削減されました。首相に権限を集め素早い意思決定がなされます。
政策の第3は、「ヒンズー主義」です。出身政党がインド人民党(BJP)だからです。新聞はしきり「ヒンズー『至上』主義」と書きますが、誤解を招きかねません。モディ首相は南アジア地域協力連合の近隣の国々との連係を強めています。ただし中国には警戒しています。
政策以上に注目されなければならないのは、モディ首相が「インディアン・ドレーム(インド人の夢)」を体現していることです。民主主義社会とはいえ厳しいカースト制度(結婚、食事、仕事で差別される身分制度)のインドで、低カースト出身で紅茶売りから立身出世を成し遂げたキャリアの持ち主であることです。しかもモディ首相は親日家です。応援したくなるではありませんか。
3、ユニクロ
モディ首相は6月25日、「ユニクロ」の柳井正会長兼社長(ファーストリテイリング)と首都ニューデリーで会談しました(日経6/26)。異例中の異例。日本の政財界の要人の中で、モディ首相に会ったのは柳井社長が最初の人だからです。ユニクロはインドに進出していません。アジアの9カ国・地域に進出しているのにも関わらずです。モディ首相は、インドには綿、労働力、巨大な市場、輸出に適した良港がある、とユニクロの進出を促しました。ユニクロのインド進出を期待します。香港、マカオ、アジアの人々はユニクロを歓迎しています。ユニクロは、トヨタやキャノンや資生堂と同じようにアジアの人々の信頼を勝ち取っています。
アジアの人々が日本を訪れる、私たち日本人はアジアに出て仕事をする。クールジャパン(カッコいい日本)の代表としてアニメやゲームだけでなく、ファッション・美容のトータルビューティーの仕事をする。インドには今の日本の10倍の仕事があります。