ユニクロの柳井正社長は世界でいちばんクール。

コンテンツ・ビジネス塾「柳井正」(2009-38) 10/27 塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、生き方。
「毎日、誰よりも真剣に自分の商売をしていますか? あなたの仕事の受益者はあなたの仕事を高く評価していますか? 現場を誰よりも熟知していますか? 現物を手に取って、自分の目の前で商売していますか? 世界中の誰よりも自分の職務に忠実に仕事をしていますか? お客様の為に今日何をしましたか? 競合店の次の打ち手に勝てる戦略がありますか? 自分の仕事に自信を持っていますか? 理想を何よりも大事にしていますか? その仕事で本当に世界一になれますか?」
(「2006年年頭挨拶と年度の方針」からの抜粋。『成功は一日で捨て去れ』ファーストリテイリング会長兼社長 柳内正 新潮社)。
社長にこう問いかけられたら、あなたは感動しませんか。仕事にやりがいが生まれてきませんか。人生を意気に感じませんか。柳井社長は毎年、全社員にメールを送り、詩人のように「仕事の歓び」を語り、哲学者のように「生きる意味」を説いています。柳井社長とは、ユニクロの親会社ファーストリテイリング(FR)の会長兼社長、ユニクロの社長さんです。
2、ユニクロ
ユニクロが急速に変貌しています。
まず数字。目標が、2010年1兆円から2020年5兆円売り上げ、に変わりました。1兆円とは、米国のGAP、スウェーデンH&M、スペインのZARAに並ぶことです。5兆円とはライバルを抜き去り、世界一になることです。次はその数字の中身。新聞はユニクロ一人勝ちを伝えていますが、ユニクロの変貌は私たちの目が届かないところで進行しています。
1)カタカナ表記のユニクロのロゴは、「ソーホーニューヨーク店」のために制作されました。ファッションの新しさを表現しています。AD佐藤可士和の仕事です。
2)世界3大広告賞を受賞したブログ「UNIQLOCK」は、世界212カ国から1億のアクセスがありました。CD田中耕一郎の仕事です。
3)香港の出店では「日本のユニクロ」を強調しました。行列はビルの一階から三階まで、ビルの外にも人は並びました。北京出身のパン・ニンの仕事です。
4)イギリスでは、カシミアのセーターのカラーを、20種類以上展開して成功しました。父が日本人、母がイタリア人、永竹正幸ユニクロUK社長の仕事です。
5)銀座店の設計コンセプトは、銀座で待ち合わせができるような高揚感を煽るお店。イタリア、イギリス出身のクライン ダイサム アーキテクツの仕事です。
6)商品開発は、ニューヨークR&Dセンターを中心に、東京、パリ、ミラノで行われています。ヒットしたスキニージーンズはここの仕事です(『ユニクロ思考術』 監修・柳井正 新潮社)。
ユニクロは、日本企業では初めての、世界のクリエーターがコラボする会社になろうとしています。
3、世界を変える。
「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」。これが変貌するユニクロの中心を支える言葉です(2008年9月に発表のFRの企業理念から)。
1)ユニクロはドイツの高級服のファッションデザイナー、ジル・サンダーとコラボを始めました。30万円のジャケットが1/10以下の価格で買えるようになります。服は変わります。
2)ユニクロはSPA(アパレル製造小売業)です。第1世代は、スポーツウエアを組み合わせたカジュアルウエアのGAP。第2世代は、そこにファッションを取り入れたZARAH&M。そしてユニクロは第3世代。良い商品、良いイメージ、良い生き方を提案します。柳井「正」社長です。ユニクロには「正しさへのこだわり」があります。ファッションから良い服に。常識が変わります。
3)柳井社長は日本のていたらくに抗議しています。敵は、表面的なカッコよさの物質主義と親に甘える坊ちゃん嬢ちゃんです。精神主義とは希望。夢を持つことで日本と世界は変わります。
「服を、常識を、世界を変える」。このメッセージは、ロックンローラージョン・レノンのシャウトのようで、革命家チェ・ゲバラアジテーションを思わせます。クールで、ニューで、スタイリッシュです。