日本のリベンジが渋谷から始まります。

クリエーティブ・ビジネス塾17「渋谷のリベンジ」(2012.5.16)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、日本のリベンジ
失われた20年。負けつづけの日本の反撃(リベンジ)が、いよいよ始まります。
根拠はありません。中国人の受け売りです。香港の風水(ふうすい=占い)の専門家が東京スカイツリーを見て、これはすばらしい!これで黄金の日本が復活する、と占ったからです。
東京スカイツリーのオープンは5/22ですが、それに合わせるように、東京では新しい商業施設が次々にオープンしています。注目は東京・渋谷です。
4/18に、明治通りと表参道の交差点に「東急プラザ表参道原宿」が、4/26に渋谷駅の明治通り沿いに「渋谷ヒカリエ」がオープンしました。
東急プラザ表参道原宿」には、米カジュアル衣料大手「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」(AEO)日本1号店が入りました。屋上には緑豊かな「おもはらの森」(注:「おもはら」とは、おもて原宿。「うらはら」に対抗して生まれた)、交差点の真上ですか、行き交う人を見下ろせます。遠くには代々木の体育館も。同じ階にスターバックスもありますから、待ち合わせ・デートに最適です。
渋谷ヒカリエ」には、おしゃれなレストラン、カフェが30軒以上あります。お目当ては11~16Fにある、東京で一番大きなミュージカルシアター「東急シアターオーブ」。こちらは7/18オープンします。
2、東京・渋谷
渋谷駅は、日本一複雑な構造の駅です(田村圭昭和女子大学准教授 「時代が育てる迷宮渋谷駅」日経4/12) 。鉄道は8路線。山手、湘南新宿、埼京、地下鉄銀座、地下鉄副都心、東急東横、田園都市井の頭線。地下鉄副都心の駅は地下5階。これはいいのですが、地下鉄銀座の駅は、山手線の駅より上の地上3階にある、奇妙な駅です。
渋谷駅はすり鉢状の地形の底にあります。ですから渋谷を歩く人は、必ず坂を上り下りしなければならない。そこで渋谷を歩く女子は、足腰が鍛えられスレンダー(ほっそり、すらり)でスタイルがいい、という伝説があります。
渋谷から北に行くと「うらはら」を通過して原宿・代々木へ、南へ行くと代官山・恵比寿さらには広尾・麻布へ、東へ行くと青山・赤坂へ、西に行くと三軒茶屋二子玉川へ。東横線は、横浜、本牧、元町へ。ちょっとケバいけど、ハマの文化につながっていました。学園紛争が終わった1975年頃から、
渋谷は新宿に代わって、日本のおしゃれと若者文化をリードするようになります。
3、渋谷系
渋谷は、東急資本が支配するのどかで平和な街でした。ある日、ケンカが起こります。
東急のライバル西武が戦いを挑んできました。1968年に渋谷に西武デパートが、1973年にパルコがオープンします。田舎者の西武が渋谷を荒らし始めた。山の手・渋谷vs田舎・池袋。東急・五島vs西武・堤。渋谷に住み慣れたものには信じられない出来事でした。平和が乱されました。
しかし文化の戦いはいいことでした。異文化のとの接触は、渋谷を活性化しました。
1970年代は、百軒店(ひゃっけんだな)のジャズ、ロックそしてクラシック喫茶。 
1980年代は、「渋谷系」の音楽。小西康陽(こにしやすはる)のピッチカート・ファイブ、小山田圭吾小沢健二のフリパーズ・ギターが登場します。通りの名前も、いつしかスペイン坂(どういうセンス?)、公園通り(旧区役所通り)と、おしゃれになります。
1990年代は、「ギャルファッション」。渋谷は109(マルキュウ、本当は東急のトウキュウ=109)を中心に、ヤマンバ、ガングロ、流行の発信地になっていきます。男性でも、茶髪、焼けた肌、大きめのサングラス、アクセサリーをジャラジャラの「ギャル男」や「お兄系」を登場させました。
2000年代は、「ビットバレー」(シリコンバレーをまねて、渋谷=Bitter Valley、短くしてビットバレー)。ミクシー、サイバーエージェントディー・エヌ・エー・・・IT企業が集まります。
2050年は、渋谷駅周辺はヒカリエなどの高層ビルに囲まれるようになります(前掲 田村准教授)。
渋谷はこれから、どんな音楽、どんなファッション、どんなライススタイルを生むのでしょうか。
渋谷の元気が、東京の元気になり、日本は元気になる。日本のリベンジが渋谷から始まります。