ゲイはいいけど、結婚はどうでしょうか。

クリエーティブ・ビジネス塾6「ゲイ(同性愛者)」(2013.1.29)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、ゲイ支援の大統領演説
オバマ米大統領が、就任演説で「ゲイ(同性愛者)」の権利を主張し、話題になっています。大統領の演説の要約を紹介し、どんな文脈でゲイの権利に触れたかを明らかにします。
アメリカは、独立(1776年)以来、平等、生命、自由、幸福の追求という権利を実現するための、終わりのない旅を続けています。(中略)
私たちは世界の同盟の錨(いかり)となり、民主主義と自由を守るために行動します。私たちは貧しい人、病める人、偏見の犠牲になっている人たちの希望であり続けます。人は平等に生まれています。女性、黒人、同性愛者を差別することは許されません。
アメリカを作った祖先が始めた人類の権利のための旅は終わりません。女性、同性愛者、そして移民、若者、子どもたちの権利を守る戦いもまた続きます。
私たちは、生命、自由、幸福の追求を掲げた独立宣言の精神を、前進させます」
2、ストーンウォール
なぜゲイ(Gay=同性愛者)のことを大統領が取り上げるのか。ゲイを推奨しているのではありません。ゲイを差別してはならないからです。
Gay(ゲイ)とは、「同性愛の、ホモ・レズの」という意味で、同性愛者や彼らを支持する人々が使う言葉で、軽蔑的な意味はありません(ジーニアス英和辞典)。ホモは、homosexual(同性愛者)、レズはlesbian(女性の同性愛者)を短縮した言い方です。
オバマ大統領は、演説の中で「Stonewall」という固有名詞をあげ、ゲイを擁護しました。ストーンウォールの反乱は、1969年にニューヨークのゲイバー「Stoneawall Inn」で、捜査に来た警察と同性愛者が対立し、同性愛者の抵抗運動の始まりとなったものです。
当時の同性愛者はソドミー法により厳しく差別されていました。性交渉をもった同性愛者は違法で、刑罰が課せられ、職場から解雇され仕事を失っていました。
ソドミー法(Sodomy Law)とは、「自然に反する性行動」を処罰するもので、口内性交、肛門性交、獣姦(じゅうかん)を禁じたものです(日本では同性愛を禁止する法律はない)。「Sodomy」とは、男色(男性の同性愛)、獣姦で、肛門性交を意味します(ソドミー法は撤廃、緩和されている)。
『Y.M.C.A.』という歌が、ゲイのヴィレッジピープル(1978年)が歌ってヒットしました。Y.M.C.A.は若者たちの宿泊設備のことですが、ゲイの巣窟で、Y.M.C.A.はゲイを意味するスラングでした。
3、同性婚
ゲイを差別しない。ここまでは問題ありません。しかし権利の拡張により、問題は「同性婚」(同性結婚。same-sex marriage , gay marriage)になっています。
「結婚とは、男女が夫婦になること」。このあたり前が通用しなくなります。男性と男性が、女性と女性が結婚する、その関係も男女の夫婦と同じように社会的に承認され、法的な保障と保護が行われる。世界はそちらに向かって動いています。
カナダ、オランダ、ベルギー、スペイン、スウェーデンポルトガルデンマークでは同性婚が認められています。そしてアメリカでも9つの州と首都ワシントンで認められ、連邦最高裁同性婚を認めない法律が憲法違反かどうかの審議を始めています。フランスでは「万人のための結婚」法案の審議が、イギリスでも同性婚を認める法案が議会に提出される準備が始まっています。とはいえ、米英仏はこの問題で大きく揺れています。もちろん日本の法律は同性婚を認めていません。
プラトンアリストテレス・・・ギリシャの哲学者たちはゲイでした。ルネサンスダ・ヴィンチも、戦国時代の織田信長も、そして、ロックのフレディ・マーキュリー(クイーン)、エルトン・ジョンも。さらに、いま話題の映画『ted』も、ゲイが登場する「ブロマンス」(ゲイ志向のロマンス)・コメディです。
しかし、同性婚を法で認めるのは別問題です。結婚は崩壊します。一夫一婦制はなくなり、家族は違ったものになります。集団で生活しセックスするような、コミュニティの時代がやってきます。
同性婚をあなたは認めますか。人類は歴史の岐路に立っています。