新聞ジャーナリズムの終わりの始まり。

クリエーティブ・ビジネス塾1「社説2018」(2018.1.1)塾長・大沢達男

「皇室」、「民族の危機」を論じられない。そして「AI」、「IoT」、「ビットコイン」の革新もない。
さらに「新聞の危機」がない。新聞ジャーナリズムの終わりの始まり。

1、朝日新聞
安倍政権になって6回目の新年を迎えたが、長期政権として成果をあげていない。場当たり的な政権運営が行われている。たとえば「シルバー民主主義」。高齢者の影響力で世代間格差を広がりそうだが、高齢者の方が財政赤字地球温暖化、「将来世代の代弁者」の役割の問題への関心が強い、という研究がある。目先の政治の政治の責任は政権側にある。財政再建選挙制度、内閣の解散権の制限・・・すべては先を見据えた憲法の中にある。
○記事は現場で書け。ジャーナリズムの基本が朝日にはない。引用ばかり。安倍政権は改憲を提案する。ならばハッキリ「護憲」で論陣をはったらどうか。                     ニュース性C 説得力C 提案力C

2、毎日新聞
明治維新から150年、再びあるべき国家像を問う。明治政府は身分制を廃し国民国家を目指した。国家の基軸は天皇教育勅語天皇を精神的支配者にした。戦後からは民主主義の国民国家としてスタートしが、現在国民国家像は揺らいでいる。米国ファースト、カタルーニャスコットランド・・・これらは民族、地域の違和感、そして所得格差、移民の流入がある。初めから同質の国家はない。違いがあるから民主主義が必要とされる。手をつなぐことが大切である。
○批判だけから提案へ、毎日新聞は変わりつつある。国家像を問うたのはいい。しかし、国民国家が揺らいでいる原因がわからない。民主主義自体を問うべき。                        ニュース性B 説得力C 提案力B

3、読売新聞
北朝鮮の暴発を止められるか。ミサイル防衛を増強すべきだ。一方で北朝鮮の1人当たりの国内総生産GDP)は日本の50分の1以下で、自壊する可能性もある。対話を迫る米国の外交の力が必要だ。中国の「一帯一路」に協力してよい。対中交渉には防衛力と経済力が必要で、首脳往来に道筋をつけるべきだ。国内経済の指標はよい。問題は個人と企業のカネを動かすことだ。消費税引き上げは必要である。不安を取り除く、財政健全化の先送りは許されない。                                  
○かつて読売の元旦社説は、革命的に提案型で、日本の新聞を変えた。しかしその提案もしだいに常識論になってきている。もっと「IT」を論ずるべき。                                        ニュース性B 説得力B 提案力A

4、産経新聞
「戦後最大の危機」を抱えたままの新年である。国防の最前線に正月はない。たとえば八戸航空基地では氷点下で雪や凍結と戦っている。正月はない。海上保安庁、警察、消防にも同じ、国民は献身に守られている、感謝する。国会に実りある議論がなかった。安倍晋三首相には国論をまとめる統合力と包容力が期待される。沖縄市の交通事故で日本人を助けようとした米海兵隊員が負傷した。勇敢な米人に感謝する。米国とどう生きていくか今年の課題でもある。                              
○心を揺さぶられる社説。それは現場で記事を書いているから。各社は産経に学ぶべきである。企業は人なり。署名論文はやはり強い。                                                          ニュース性A 説得力B 提案力 B

5、日経新聞
世界経済は2010年以来拡大を続け、日本の上場企業も18年3月期に最高益を更新する。安倍晋三首相の超長期政権が現実味を帯びてきた。明治150年、政府の最優先事項は何か。超高齢化社会社会保障と財政の見取り図である。生産年齢人口は減り、後期高齢者が増える。企業は手元資金を投資し従業員に手厚く分配すべき。日本企業による画期的な製品サービスが出ていない。年次・年功主義、新卒一括採用、女性就労の促進などの問題も片付けたい。
○日経社説はこの後連載になる。読売と同じように総花的になるからパンチがない。地政学的リスク、イノベーションにもう少し注目すべき。        ニュース性B 説得力B 提案力A