ニューヨーク、恋の始まり。

クリエーティブ・ビジネス塾30「ニューヨーク」(2019.7.23)塾長・大沢達男

 

ニューヨーク、恋の始まり。

 

1、ニューヨークの鉄道

ニューヨークで恋をしたことはありません。初めて行ったときは仕事で、熊のようなプロデューサーと一緒、あれがいけませんでした。ふたりで、映画館で公開されたばかりの『ゴッドファーザー』を見ました。

1970年代です。日本車が走っていると、写真を撮りました。ダットサンマツダ・・・トヨタは見ませんでした。あれから半世紀、2019年7月、マンハッタンのタクシーはトヨタプリウスだらけです。

50年前には、地下鉄には一度も乗らなかった、じゃなくて、乗ってはいけない。今回は地下鉄ばかり。

それともうひとつ、到着はJFK、出発はNEWARK、ともに列車を使いました。これも初めてです。ロングアイランド鉄道とニュージャージー・トランジット。慣れれば(慣れることなんかないか?)、簡単。安く早いです。

2、お土産

ホテルはマルティニーク・ニューヨーク(Martinique New York)。32丁目のブロードウエィです。ペンステーションから歩いて5分。ニューヨークのど真ん中です。一泊250ドル、今まで泊まったことがない高価格ですが、やはりど真ん中、お部屋はよくありませんでした。いつも中国で王様のような扱いを受けてきたので、生意気になっています。ジャグジーもバスタブもないホテルなんて・・・。まあ、ホテル内で朝食を食べることができたのが幸いでした。ベーコン、ソーセージ、ハム、みんな好き。オートミールがおいしかったこと。

1)サーケンジントンのトマトケチャップ・・・最初に行ったホテルのそばのハロルドというレストランで、フライドポテトになにげにつけた、トマトケチャップの味に驚きました。SIR KENSINGTON'sと書いてありました。ニューヨーク生まれのヘルシーでグルメなケチャップ、ロードアイランド州の大学生、スコット&マークが2010年に創業。ヘルシー志向のニューヨーカーのお気に入り。早速スーパーで買い、お土産にしました。

2)ホールフーズマーケットのプレッツェル・・・ウイスキープレッツェル、これさえあれば、飛行機の旅も楽しくなります。プレッツェルはホールフーズマーケットのプレッツェル・ツイスト。1980年創業の自然食品店です。25歳の大学生ジョン・マッキーと21歳の恋人レナ・ローソンのコラボで生まれました(ふたりの創業は78年)。これがまた香ばしくておいしい。

3)ブルックリンのオイスター・・・歩き疲れたブルックリンで、レストランに入りました。みんな若い人ばかり、ビールを飲み、カキを食べていました。いい昼下がり。テラスではなく涼しい店内のテーブル席に座り、ビールと1ダースのカキを注文。カキは小振り、いいですね。日本のカキは大き過ぎてグロテスク。ベッドフォード通りから少し離れたところでしたが、ブルックリンの雰囲気がよかった。だからカキもおいしくいただけました。もう1ダース、と思いましたが、止めました。それでちょうどいいんです。

3、エア・チャイナ

今回のNYは「Air China」。羽田→北京→JFK、New Ark→北京→羽田、行きも帰りも、北京に2時間いました。ですからだいたい24時間かけての米国往復でした。

1)東京・NYの往復は14~5万円、ところがエア・チャイナなら7~8万円。2)乗っているのは中国人ばかり。しかも子どもが多い。うるさい、気遣いを知らない。歳をとったらビジネスで移動できる金を持っていなければダメ(泣き)。3)江戸っ子ですからこんなことは口が裂けても言えませんが、機内食はいただけない。行きも帰りも三度の食事の一回を完全にパスしました。音楽プログラムにロックやジャズがありません。

帰りの飛行機で事件がおきました。いちばんうしろのふたり席で、ニューヨーク留学中の中国人の女子大生と12時間、ふたりきりになりました。彼女はNYU(ニューヨーク大学)で映画を勉強中。

ゴダールに好きな監督はだれか?インタヴューしたところ、1にミゾグチ、2にミゾグチ、3にミゾグチ、と答えた。この話に彼女は笑いました。そして小津安二郎、さらに是枝裕和。彼女はコレエダが好きでした。『誰も知らない』、『三度目の殺人』、『万引き家族』・・・私はコレエダが好きじゃない、ふたりは対立しました。

そして、クライマックス。中国人監督「ロウ・イエ」。なんと彼女はファンでした。中国で上映禁止の映画を彼女はカナダで見ていました。過剰なセックスと暴力の映画監督。ふたりは意気投合しました。

そして北京到着間際に事件は起きました。彼女が突然、気を失って、うつぶせに体を二つに折って、動かなくなってしまいました。「OK?」必死に声をかけました。彼女のシャツはめくれ上がり、素肌がむき出しになっている。抱きかかえるわけにはいかない。女性のフライトアテンダントを呼びました。あとから思いました。あれは私を誘うための、演技だった(そんなわけネエだろう)。ニューヨークでの恋の始まりの予感です。