近藤誠先生(1948~2022)が亡くなりました。 『医者に殺されない47の心得』(近藤誠 アスコム)から、その教えを10カ条にまとめました。

THE TED TIMES 2022-32「リビングウイル」 9/11 編集長 大沢達男

 

近藤誠先生(1948~2022)が亡くなりました。

『医者に殺されない47の心得』(近藤誠 アスコム)から、その教えを10カ条にまとめました。

 

1、病院に行かない。

医療行為で病気は治せない、これが今の医学の現状、大原則です。

身近なところで、かぜ・インフルエンザは治せません。がん、腎臓病、肝炎も、治らないものは治りません。

1976年南米コロンビアの医者の52日間のストで、死亡率が35パーセント下がっています(p.199)。

医者で、人は寿命を縮めています。

大病院に行ってはいけない3つの理由があります。

1)忙しいから流れ作業になる。2)実験的なことをする。新薬の実験で製薬会社から金が入る。3)行ったら最後、8割が徹底的な検査で、「病気」「異常」にされます(p.179~180)。

 

2、がん診断は受けない。

がんで亡くなる人は減っていません。人口に占める全がん死亡率は下がらず、がんは日本人の死因のトップに続けています。

がん検診は何の役に立っていません(p.51)。

がん検診をしてもしなくても死亡率は同じです。

逆に、胃がんなどの集団検診をやめたら、胃がんの死亡率が半減した例もあります(p.53)。

CT検査による医療被曝があります。日本のCT装置の台数はダンゼン世界一で、全世界の設置台数の3分の1以上が日本にあります。CT検査は、医療被曝で発がんに向かって、必ず歩を進めます。イギリスの研究では、日本人のがん死亡の3.2%は、医療被曝が原因となっています(p.59~60)。

 

3、高血圧、コレステロール値で注意を受けても気にしない。

高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などの大部分は治療の必要がない、病気と考えない方がいい(p.45)。

厚生省の全国調査の血圧基準値は、1998年1960/95、それが2000年に140/90になり、2008年のメタボ健診では130/80が治療目標になりました(p.35~6)。

体は年をとるほど血圧を上げようとします。脳や手足のすみずみまで血液を送り続けるためにです。それを薬で下げたら、ボケたりふらついたりします。

ワルモノ扱いのコレステロールも実は長寿のもとです。コレステロール値の低いグループの総死亡率がいちばん高く、血中コレステロール値が高いほど総死亡率が低いというデータもあります(p.37)

基準値を下げると病人が増えます。その結果薬品業界はホクホクになります。1988年国内の降圧剤の売り上げは2千億円、2008年には1兆円。

糖尿病での血糖値を下げる薬の薬害から逃れることはできません(p.41)。血糖値を下げるには運動療法が一番です。

 

4、薬の使用を止めよ。

薬は毒物です。すべてに副作用があります。

アメリカの医師に支持されている『ドクターズルール425 医師の心得集』(南江堂)には、「できればすべての薬の使用をやめよ。それが困難なら、できるだけ多くをやめよ」。

「高齢者のほとんどは、薬を中止すると体調がよくなる」などと、日本の医者や患者がのけぞりそうな、心得が満載されています(P.70)。

日本は国民一人当たりで、先進国の2倍以上のお金を、薬につぎ込んでいます。

そして出回る薬も多い。WHOは270種類もあれば十分というのに対し、日本では1万種以上の薬が認可されています(p.71)。

一度に3種類以上の薬を出す医師を信用しない。5種類以上を一度に飲むような行為は極めて危険です(p.69)。

 

5、風邪薬は飲まない。

市販の風邪薬も医者がくれる薬もすべて「(風邪の)症状を一時的にやわらげる」薬です。セキ、発熱、のどの痛み、鼻水・・・薬を飲むとしばらくの間、症状が軽くなります。でもまもなくぶり返します。

風邪をひくと、体はセキや鼻水のよってウイルスやその死骸を追い出し、体温を上げて外敵と戦う白血球を活発の働かせようとします。セキや熱を薬でおさえたら、病気との戦いに水をさすことになります(p.73~4)。

熱が40度まで上がっても、脳がやられる心配はありません。高熱がつらかったら、水枕、冷たいおしぼり、水風呂です。熱が上がっていく段階では、温かい飲み物、ふとんを多めにかけて、どんどん汗をかかせます。

風邪をひいたら温かくして、のどが痛ければハチミツなどを塗って、ゆっくり休むのが、いちばん早く直す方法です(p.75)。

抗生物質はウイルスには全く無効です。風邪に抗生物質を処方する医者に近づいてはいけません。

「風邪を治す薬を発明したらノーベル賞もの」です。ウイルスは200種類以上、DNAも変化しつづけます。薬は開発できません(p.73)。

 

6、手術は受けない。

近藤先生は1988年に「乳がんは切らずに治る」で有名になった人です。「がんは切らずに治る」「抗がん剤効かない」「健診は百害あっって一利なし」「がんは原則として放置したほうがいい」。手術反対の人です。

ここでは胃の切除の話です。

胃を切除すると、食べたものを消化する、食べたものをためて少しずつ十二指腸のほうに送り出す、この二つの大きな胃の機能を失います。

近藤先生は、胃の全摘、大きな切除は、誤りだと考えています(p.114)。

さらに胃がん手術では胃の周囲のリンパ節を切除するリンパ節郭清(かくせい)があたりまえです。胃の周りには1~4群までのリンパ節があります。

胃の切除とともに2群リンパ節まで郭清する「D2胃切除」です。しかしこれは患者の生存率を向上させない、という結論が出ています(p.115)。

 

7、脳ドック検査は害の方が大きい。

脳卒中や脳の病気の危険因子を見つけるための、MRI(磁気共鳴画像)検査・血液検査を「脳ドック検査」といいます。

脳ドックは日本だけで普及しました。なぜなら、日本は脳外科医が多すぎるから、失業対策です。脳外科医、米国3200人、日本5000人、欧州諸国数100人。

脳ドックで何をするか。破裂する可能性のある脳の動脈瘤を見つけるのです。そしてそれを手術で取り除くためにです。

1センチ未満動脈瘤の年間破裂率は0.05%。これが欧米の結論です。しかし日本では年間破裂率1~2%と患者に説明。そして手術に踏み切っています。

手術した結果は、どうなるか。15%が障害者になります(p.116~120)。

未破裂動脈瘤があると言われたら怖い。だから脳ドックにいかない。破裂する動脈瘤は発生して42週以内に破裂するという説を信じましょう(p.121)。

 

8、がんに治療法はない。

残念ながらがんは治せません。「転移がんが消えたり、末期がんの症状が出て弱ったところから生き返った人は、僕が診た数百人の患者さんにも、世界の論文を見ても、ひとりもいません」(p.123)。

ところが世の中には「がんから奇跡の帰還」の美談にあふれています。なぜ治せるのか。1)血液からがんはわからないのに、採血からがんを診断し、治ったという詐欺。2)プラセボ効果(偽薬)。小麦粉のニセ薬を飲んでよくなった、感じる患者。3)よくなったのはそれまでの治療法をやめたから。つまり抗がん剤をやめたから(p.124~6の要約)。

「がんの9割は、治療するほど命を縮める。放置がいちばん」(p.80)。

ニュースキャスター逸見政孝さんの例があります。1993年1月にがんがあるとわかって、手術。9月に再手術3キロの臓器を摘出。12月に亡くなりました。

20年間以上、150人の以上の「がん放置患者」で数カ月で亡くなった人はひとりもいないと、近藤先生は証言します。

 

9、コーヒーを飲みなさい。

近藤先生はがんの専門家です。健康法には反発することがあります。

1)「毎日タマゴと牛乳」(p.144)・・・胃腸が専門の新谷弘実(しんやひろみ 米国アルバート・アインシュタイン医科大学外科教授)先生は、ミルクや乳製品を否定します。

牛乳ではなく、「豆乳」を飲みなさいといいます。

2)石鹸、シャンプーを使わないほど肌も髪も丈夫になる(p.174)・・・髪を洗わない作家・五木寛之がいます。近藤先生は五木さんに会って確かめました。髪はふさふさ。実証され、近藤先生は共感しました。でも椅子に座ったままの五木先生、近藤先生の話は参考になりません。泥まみれ、ホコリまみれ、油まみれの労働者どうなるのでしょうか。

3)コーヒーは健康・美容・長寿の守り神です(p.167)・・・「1日5杯以上コーヒーを飲む人の肝臓がんの発症率は、飲まない人の4分の1」。・・・でも5杯もコーヒーを飲む習慣はありません。

 

10、リビングウイル(living will =生前の意思表示)

「大沢達男のリビングウイル」。いままで私を支えてくれた家族・親族、学校・仕事の先輩・友人、ご近所のみなさん、そして近藤誠先生に感謝します。

1)一切の延命治療をしないでください。

2)救急車を呼ばないでください。

3)人工呼吸器をつけないでください。

4)点滴、チューブ栄養、昇圧剤、輸血、人工透析・・・延命のための治療をしないでください。

私を支えてくれたみなさまに感謝します。冷静な意思のもとにこの願いを書いています。延命治療をしないでください。

2022.9.5

 

(以上)