ギャラクシーS4の快進撃!

クリエーティブ・ビジネス塾22「サムスンスマホ」(2013.6.20)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、ギャラクシーS4
サムスンの新しいスマホスマートフォン)ギャラクシーS4が、5月23日にNTTドコモから発売されてから、1ヶ月になろうとしています。ギャラクシーS4は、4月27日の世界発売から1ヶ月弱で1000万台売れました。1秒に4台も売れるスピードです。日本では到底そこまではいきません。
日本のスマートフォンのシェアは、1)アップル39.6% 2)シャープ14.6% 3)ソニー13.6%。ところが世界のスマートフォンのシェアは、1)サムスン32.7% 2)アップル17.3% 3)LG4.8%。だれもがアッ!!っと、驚きます。日本はサムスンが売れていない、異常な国です。
2007年のアップルのアイフォン発売から5年、アップルの独占市場をいつの間にか、サムスンが侵略しています。アップルのジョブズは、サムスンを「コピーキャット(copycat=ものまね屋)」とレッテルを貼りましたが、サムスンはアップルに代わって世界のトップに躍り出ています。
2、サムスン
サムスン大韓民国を代表する財閥。サムスン電子は、韓国のGDP国内総生産)に22%、株式時価総額で韓国株式市場の25%、輸出の24%を占め、34万人が働く大企業です。
サムスンの前身の三星商会が1938年、サムスン電子が1969年に設立されています。
サムスンのモノづくりの基本は「ベンチマーキング(benchmarking=他社製品を研究し自社製品に活かす)」です。テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン・・・なんでもベンチマーキングで、日本を研究し、ついには日本を追い越してしまいました。
コピーキャット(ものまね屋)の指摘は、間違いではありません。サムスンは競争相手の製品を分解・研究し、市場に合った商品を作っています。現在、アップルとサムスンは、デザインと特許権の侵害で、訴訟合戦を繰り返しています。どちらが勝つのかわかりません。
サムスンの創業者イ・ビンチョル(1910~1987)は、経営理念として「事業報国」、「人材第一」、「合理追求」を掲げました。これは日本人がコピーキャットすべきものです。
かつて(1993~2002)サムスンは、「7・4制」を何十万人もの従業員に課しました。7時出社4時終業です。社員は英語とITを勉強しました。英語と情報の資格取得者が飛躍的に増えました。創業者は事業経営の90%は人事だといいました。サムスンは人作りで成功しています。
そして、有名な『サムソン22の成功習慣』(チョン・オクピョウ 蓮池薫訳 阪急コミュニケーションズ)や、『サムソン式仕事の流儀』(ムン・ヒュンジン 吉原育子訳 サンマーク出版)があります。ここには日本人が忘れているあたり前のことが書いてあります。
1)夢を持て・・・英語はできるか。尊敬する人は誰か。人生でかなえたい夢はあるか。
2)1万時間の修行・・・一流になりたかったら、毎日3時間10年間。5年でやりたかったら、毎日6時間やれば、プロになれる。
3)礼儀正しくしろ・・・時間を守れ。1分遅れたら約束を守らない人間になる。服装に気をつけろ。クルマの乗り方を知れ。礼儀を知らない者は、最後にそっといなくなる。
3、未来
スマフォはヒッピーのボスであったスティーブ・ジョブズによって発明されました。そこには、人間の五感を拡張し、快楽を楽しみ、人類が自由に交信する、ヒッピーの明快な哲学がありました。
NTTドコモが、ギャラクシーS4を売っている心境は複雑。裏では、アイフォンの発売を狙い、アップルとの取引条件を模索しています。つぎにギャラクシーS4にOSアンドロイドを提供しているグーグルは独自のスマフォが欲しがっています。そしてアプリ開発会社は、アイフォン版、アンドロイド版に代わる第3のOSを望んでいます。さらに、7億人の顧客をかかえる中国のチャイナモバイルの動きで、市場は全く変わってきます(「アップル対サムスン」日経5/28~6/1)。
あのひとの気持ちがわかる、スマフォが欲しい。彼と彼女の心をつなぐ「愛のスマフォ」が欲しい。
ジョブズの死後、スマフォから哲学は消えました。コピーキャットに、いい製品を作れても、まだ新たな哲学を創造する力はありません。サムスンの天下は続きません。