ニートが史上最高。それは、国が壊れているから。

クリエーティブ・ビジネス塾23「ニート」(2013.6.27)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、ニート
NEET(ニート)とは、Not in Education, Employment, or Training. 学校に行ってない、仕事してない、職業訓練を受けていない人々を指します。
先日、新聞は驚くべき事実を報道しました。ニートが63万人、過去最多になったのです(2013年版『子ども・若者白書』日経6/18夕刊)。ニートの統計を取り始めたのは、1995年。『ニート(フリーターでも失業者でもなく)』(玄田有史、曲沼美恵 幻冬社)がベストセラーになったのは、2004年。あれから10年。15歳〜34歳の若者のうち、学校も行かない、仕事もしない、ブラブラ暮らしている者が、2.3%もいるのです。日本の社会は根本的に壊れてきています。
なぜ、ニートなのか?前掲の『ニート』から紹介します。いちばん多いのは、なんとなく(43%)、つぎが、仕事についてうまくやっていける自信がなくなったから(31.3%)、そして、希望する就職先が見つからなかったから(10.8%)。なぜ求職活動をしないのか?人づきあいなど社会生活をうまくやっていける自信がないから(43.1%)、向いている仕事がわからないから(29.2%)、自分の能力・適性がわからないから(27.7%)。
ニートの原因をひとことにすれば、コミュニケーションに自信がないからです。ニートは、仲の良い友だちがいない、信頼できる先生がいない、学校を休みがちだった、答えています。
2、下流社会
ニート』論に呼応して、『下流社会』(三浦展 光文社新書)論が、2005年に登場します。
日本がまだ貧しかった1958年、日本人の半分は(49.0%)は、自らの生活を下流と思っていました。しかし経済の高度成長で1973年には、なんと61.3%が中流と感じるようになっていました。そして2004年、新しい動きが始まります。中流が減り、下流が戦後社会のように増え始めます。
なぜ下流が増えたかの?『下流社会』は、本人の意欲の欠如と断言します。下流度チェックがあります。○その日その日を気楽に生きたいと思う。○自分らしく生きるのがよいと思う。○好きなことだけして生きたい。○面倒くさがり、だらしない。出不精。○食べることが面倒くさいと思うことがある。YESが半分以上あれば、「下流的」になります。
では、何が原因で下流が増えたのか?「自分らしさ」を求めるからです。自分が本当に好きなことを見つけて、それを仕事にしようと自分探しを始めた者が、結果的に下流になっています。自分らしさ派は、他者や社会と交流するコミュニケーション能力が低いのです。
3、コミュニケーション
あなたは、両親を敬い、両親に尽くしていますか。
あなたは、兄弟、姉妹と仲良くしていますか。
あなたは、夫婦で仲良くし、協力しあっていますか。
あなたは、友人と信じあい、付きあっていますか。
あなたは、言動で慎んでいますか。
あなたは、すべての人に愛の手を差し伸べていますか。
あなたは、一生懸命に学び、仕事を身につけていますか。
あなたは、知識を学習し、才能を磨いていますか。
あなたは、人格の向上に努めていますか。
あなたは、世のため人のために、働いていますか。
あなたは、憲法や法律を守っていますか。
あなたは、いざとなったら国家のための力になる、ことができますか。
以上は、戦前の教育勅語を現代風にアレンジしたものです。
生きるとは、両親、家族、友人、会社、社会、国家、世界・・・他人とコミュニケーションすることです。
自分らしく生きるとは、何と抽象的で下らない。ニートは私たちの社会が壊れているいる証拠です。
テーマはコミュニケーション。他人との交流がなければ、自分らしさなんてわかりません。