ネットでプライバシー。そんなものあるの?

クリエーティブ・ビジネス塾34「ビッグデータ」(2013.9.12)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、ネット中毒
駅のホームでスマホを使っていませんか?命を落とすような大きな事故が起きています。
ケータイ、スマホの使い方には、自分でルールを作り「自律する」ことが大切です。
つぎの質問です。あなたはネット中毒になっていませんか?
1)インターネットに夢中になっていないか?2)ネットに使い時間をもっと長くしたいと思ってないか?3)ネットを止めようと思ったが、できなかったが、何度もあるか?4)ネットを止めようとした時にイライラしないか?5)意図したよりももっと長くオンライン状態でいないか?6)ネットが原因で人間関係を壊したことがないか?7)ネット熱中を隠すためにウソをついたことがあるか?8)落ち込みから逃げるためにネットを使っていないか?
5項目以上にイエス!があれば「病的な使用」とされます。全国の中高生の調査では8.1%が「病的な使用」と認定されています。彼らの43%が睡眠時間が6時間未満、24%が午前中の体調が悪いと答えています(厚生労働省研究班の調査、日経8/2)。
最後の質問です。あなたのプライバシーはネットで守られていると思いますか?
3、プライバシー
ことしの6月に米国で世界を巻き込むネットとプライバシーの事件が起こりました。米中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン氏が、米政府がネット企業から個人データを収集していることを暴露してしまいました。
米政府の権力の暴走なのか。それともスノーデン氏の裏切り行為、背任なのか。しかも問題のスノーデン氏が、ロシアのシェレメチボ空港に逃亡したので、米ロ問題に発展し、世界は大騒ぎになりました。
米政府はたしかにネット企業から情報を買っていました。どこから買ったのか。マイクロソフト、ヤフー、グーグル、フェイスブック、ユーチューブ、スカイプ、アップル。私たちが知っているネット企業すべてです。米政府はテロ対策やスパイ活動の監視のためと説明していましたが、スノーデン氏は、米政府は米国民のプライバシーを侵害していると告発したのです。
"Freedom"=自由という英語は、権力からの自由という意味です。国家権力による国民のプライバシー侵害を許すな、という主張そのものです。しかし現在のネット社会は複雑です。問題を単純化できません。
ネット技術の基本は、個人データに迫るものです。
まず、「クッキー」。サイトを閲覧すると利用者の情報はサイト運営者のものとなり、利用者の興味を推測しおすすめ情報を送れるようになります。つぎに、ツイッターも同じです。書き込み内容、口調、時間帯から投稿者の年代、性別、居住地を判定します。そしてスマホでは利用者の同意を得て、詳細な利用動向を調べることもできます。さらに、犯罪もあります。不正アプリで個人情報を抜き取ります。スマホのカメラ、マイクを勝手に操作し、盗撮、盗聴をします。ネット利用で、プライバシーを守ることは可能でしょうか。
3、ビッグデータ
世の中は、さまざまなネット上に溢れている大量の情報を「ビッグデータ」と呼び、利用する方向に進んでいます。ビッグデータとは1)ソーシャルメディアデータ(SNSのコメント、プロフィール)2)マルチメディアデータ(音楽、動画)3)ウェブサイトデータ(ブログ、購入履歴)4)カスタマーデータ(DM、会員カード)5)オフィスデータ(文書、eメール)6)ログデータ(アクセルログ、エラーログ)7)オペレーションデータ(POS、取引)8)センサーデータ(乗車履歴、GPSICカード)です。
ビッグデータとは、数十テラバイト〜数ペタバイトの大量データです。ビッグデータの前にプライバシーは可能でしょうか。本を買う、ライブの予約をする、航空券を買う。その度ごとに個人情報の詳細を打ち込んでいます。プライバシーを守るなんてできない。ネット社会で私たちは裸です。そのことを充分に知っていなければなりません。
プライバシー、プライバシー、と大騒ぎしてもそれは所詮、情報での世界の話。そもそもネット中毒やネット恋愛なんてばからしい。友と肩を組むのが友情で、手を握るってドキドキするのが恋愛です。