あなたはウィッキリークスを支持しますか?

コンテンツ・ビジネス塾「ウィキリークス」(2010-49) 12/28塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、支持か不支持か
あなたは内部告発サイト「ウィキリークス」を支持しますか。ウィキリークスは、米国が在外公館に送った公電約25万通を、暴露しようとしています。イエスですか。ノーですか。ネット社会が揺れています。ここでは傍観者や評論家は許されません。なぜなら、ネット社会には議会も政府も裁判所もありません。あなたの意見がさまざまな問題を解決し、ルールを作っていくからです。
ウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジ氏(38)は、12/7にスウェーデン裁判所の逮捕状に基づきロンドンで性犯罪の容疑で逮捕され、その後12/14に保釈されました。この事件は「性犯罪」容疑ですが、ウィキリークスの活動と関係があることは明らかです。しかしこちらはそれぞれ国家の裁判所と警察がやっていることですから、私たちは見守るほかはありません。
2、敵か味方か
ウィキリークスは、政府機関や民間の内部告発情報を公表する、2006年に創設されたウェブサイトです。スタッフはわずか10人ほど。ことし4月に、07年に起きた米軍ヘリによるイラク民間人の誤射殺害事件の映像の公開で、世界に衝撃を与えました。
暴露された公電の内容はどんなものか。○「軽率でうぬぼれが強い」とイタリアのベルルスコーニ首相は悪口を書かれた。○イランが核を持てば、サウジアラビア、エジプトも核開発に着手する。○ロシア政府は犯罪組織と癒着する「マフィア国家」である。○北朝鮮はイランに19基の最新型ミサイルを提供している。○米グーグルへのサイバー攻撃中国共産党政治局員常務委員会のメンバーが指示した疑いがある(日経12/5,12/6)。
文書の暴露を始めた11/28、その直前からウィキリークス・サイトには大規模なサイバー攻撃が仕掛けれました。攻撃は「DOS」と呼ばれ、多数のコンピュータから一斉にアクセスし、サイトの閲覧ができなくするものです。そして米アマゾン・ドット・コムは、ウィキリークスに対するサーバー機能の貸し出しサービスを中止しました。理由は利用規約違反、「顧客は自分の所有権が明確なデータのみサーバーに預けることができる」、から。さらにネット送金サービスの米ペイパルも利用規約違反を理由の口座を凍結。ウィキリークスは寄付金の口座を閉鎖されることになります(日経12/7)。
もちろんウィキリークスと支持者からの反撃も始まりました。まずミラーサイト(鏡)の立ち上げ。ウィキリークスの中味を複写したサイトが続々と登場。つぎにスウェーデン検察当局のサイトを攻撃ダウン、さらにアマゾン、電子決済のペイパル、ウィキリークスへの支払いを停止したビザ、マスターカードも攻撃対象にしました。
3、正か悪か
ウィキリークスを悪とするのはもちろん米政府です。「世界の安全保障への攻撃」(クリントン国務長官)「深刻な犯罪」(ホルダー司法長官)。アサンジ氏逮捕を目指したスウェーデン、イギリス政府もウィキリークスに好意的とはいえません。対してスペインのエル・パイス紙は、アサンジ氏をテロリスト扱いしたのは逸脱行為だ、と非難(日経12/9)。またサウジアラビアのアラブ・ニューズ社は、米国の秘密で不法な外交にウィキリークスが光を当てると、擁護しました。
さて日本ではどうなのでしょうか。日経は、力づくでウィキリークスの活動を抑えることはできない、外交文書の流出は情報管理体制の欠陥、文書が公表に値する公益性を持っているのかの判断はウィキリークスの責任、つまりあいまいながらウィキリークスを擁護しています(日経12/9社説)。
私たちはウィキリークスを支持します。1)暴露された事実は私たちが知っているべきことです(ただし悪口なんて聞きたくもない)。2)尖閣諸島沖の中国漁船衝突ビデオ映像流出のように、情報管理の革新が必要です(ネットでの暴露はあたりまえ)。3)だれが公電を暴露したか。陸軍情報分析官の名があがっているのに捜査結果が一向に明らかにされません(陰謀の香りプンプン)。
ウィキ(wiki)とは、ブラウザー上で文章を扱うシステムの名前ですが、もともとはハワイ語の「早い」という意味。リーク(Leak)は秘密の暴露です。「ウィキリークス事件」の真相がわかる「ウィキリークス」が望まれます。