クリエーティブ・ビジネス塾41「産業革命4.0」(2016.9.19)塾長・大沢達男
「産業革命4.0 で、働くは、どう変わるのだろうか」
1、産業革命4.0
新しい社会変革が起きています。「産業革命4.0」（「第4次産業革命」、「インダストリー4.0」）です。
1)産業革命4.0で何が起きるか。商品やサービスのカスタマイゼーション（顧客にあった商品、自分好みの商品）が実現します。いままでの大量生産で生まれたコモデティ（commodity、産物、商品)ではなく、カスタマイズ（customize、自分にあった、注文生産）された自分だけの商品やサービスを手にできる時代になります。工業生産ではなく客業生産（Ordustry)の時代と言われます。
2)産業革命4.0を支えるテクノロジーは何か。「IoT」（Internet of Things=モノのインタ−ネット化です。すべての機器をインターネットでつなぐのです。
3）産業革命4.0で何が起きるか。IoTで集めた「ビッグデータ」を使い、品質改善と工程改善の新時代が始まります。さらに工場は「スマートファクトリー」、AI(Artificial Intelligence＝人工知能）を使った、自ら考える工場の変わります。
2、トップランナー（日経8/13,17,19,21)
1)セーレン・・・色、柄、形などの組み合わせで47万通りから選べるオーダーメード衣料を販売しています。お気に入りの組み合わせを端末画面に映し出し、自分の姿を重ねて「試着」し、工場に発注します。現在は、都内の百貨店から注文を受けていますが、9月からあなたの端末から注文できるようになります。
2)メドトロニック・・・米医療機器大手。米IBMコンピューターのAI「ワトソン」を使い、糖尿病患者に血糖値を下げるインスリンを、その人に最も合ったタイミングで、自動注入するシステムの実用化をめざしています。
3)ゼネラル・エレクトリック（GE)・・・航空機エンジン、発電機器をネットに接続し、取り付けたセンサーから「ビックデータ」を収集、分析し、故障する前に部品を交換するサービス事業に取り組んでいます。
4)ダイキン工業・・・販売した空調機器をネットで結び、顧客の電力消費の状況を把握し、時間帯によって契約先の電力会社と変えることを提案する、節電支援サービスを構想しています。
5)アマゾン・・・必要なものは注文しなくても届けてくれるようになります。たとえばプリンターのインクや洗濯用洗剤の残量を検知・推定し、ネットを通じて情報を吸い上げ、残り少なくなると、自動的に届けてくれるのです。品切れに困ったり、買い置きの場所も要りません。買い物の労力も時間も不要になります。
6)三越・・・三越伊勢丹ホールディングスでは、来店者の画像から年齢、性別、関心のある商品などを分析しています。商品を「買わなかった」客も解析の対象にしています。買った人売れた商品の分析だけでは成長できません。不満を抱いている人にアプローチするのです。
7)ユーチューブ・・・ユーチューブは世界で独走しています。世界で10億人以上、日本でも4千万人が利用しています。なぜNTTグループやヤフーは敗れたのか。著作権法などの日米のルールの違いです。法体系を厳密の守ろうとした結果、魅力あるコンテンツがなくなってしまったのです。規制改革が必要です。
8)ウーバー・・・ニューヨーク・マンハッタンでは「ライドシェア」のウーバーが常識です。自家用車でお客を運ぶ便利なタクシーです。日本ではタクシー業界の反対が多く、解禁のメドがたっていません。中国でも配車仲介は人気で滴滴出行（ディーディーチューシン）が急成長をしています。
9)ムーク・・・大規模公開オンライン講座です。米国では「コーセラ」、「エデックス」で、約250大学が3千講座を配信し、3千万人が受講しています。「リアル大学」の補完役として注目をあつめています。
10)デジタルバッジ・・・ネット講座の修了証を電子化したもの。「経営学や統計学の学習歴あり」。交流サイトの自己紹介欄にデジタルバッジを添付し、就職、転職で自分を売り込みます。学校で学ぶ知識と社会が求める知識のミスマッチが拡大しているいま、卒業証書より、自ら何を学んだかが、問われています。
3、働く
第1次産業革命は、18世紀半ばから19世紀、石炭と蒸気機関を使った工業化と交通革命の産業革命でした。第2次産業革命は、19世紀半ばから20世紀、化学、電気、石油の産業革命でした。そして第3次産業革命は20世紀後半からの21世紀のコンピューターを使った工場とオフィスのオートメーション（自動操作）の産業革命でした。第4次産業革命（産業革命4.0)で、働くはlabour(苦役）からwork(労働）へ、さらにplay(演技）に変わります。知能でも技能でもない、セクシーな才能の時代になります。産業革命4.0は、働くことの意味が根本的に変わる産業革命です。
