円安は、働き者のチャンスです。

クリエーティブ・ビジネス塾48「円安」(2014.11.12)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、円安
ついに1ドル=115円(11月6日の東京外国為替市場)、7年ぶりの円安です。円安とか円高とか。あなたはピンと来ますか。関係ねーよで、過ごせればいいのですが、仕事をするようになると、そうは言っていられません。といっても為替の問題は、メッチャ奥が深い。それを承知で研究します。
身近な例をあげれば、ニューヨークに旅行し、3ドルのビッグマックを食べたとします。1ドル=115円なら、3×115=345円になります。もしこれが、円高だった5年前の1ドル=84円だとすると、3×84=252円になります。さらに、もし買い物をしたのがマクドナルドではなく宝石店ティファニーで300ドルのイヤリングだったすると、とんでもないことになります。今なら3万4500円が、5年前だと2万5200円で買えたことになります。円安は海外旅行者に、海外で買う人に不利です。
逆に円安で有利になるのは、輸出、海外で物を売る会社です。3万ドルでクルマを売るメーカーは、今なら3万ドル×115円で345万円で売れる、5年前だと3万ドル×84円で252万円になってしまいます。5年前は100万円引きで売っていたことになります。円安は海外で売る会社に有利です。
円安を歓迎する企業は、日産自動車ソフトバンク(海外資産が多い)。円安を警戒する企業はプリマハム(ハム・ソーセージの原料費は1円の円安で年2億円増える)、雪印メグミルクなど(日経11/7)。もちろん石油を輸入に頼るエネルギー業界も大変です。
2、変動相場制
1ドル=115円は、東京外国為替市場で決まります。毎日時々刻々と変動します。変動相場制といいます。ところが(ちょっとややこしくなりますが)、昔は固定相場制で、1944年から1971年まで、1ドル=360円と決まっていました。日本は貧しかった。3ドル×360円=1080円のビッグマックはとても食べられる物ではありませんでした(もちろん日本にはまだなかったけれど)。逆に在日米軍アメリカ兵はとんでもなく豊かでした。たった3万ドルの給料でも1千万円以上の収入になったのですから。
固定相場制は国際通貨基金IMF)が、米国のドルを国際通貨として、各国通貨の為替レートを決めたもので、ブレトン・ウッズ体制といいます。しかし1971年のニクソン・ショックにより変わります。ドル高は、米国の買い物には有利、売り物には不利、米国経済が立ち行かなくなったからです。1973年から変動相場制になります。しかし1ドルは250円から300円程度で、まだ円安でした。日本のクルマは米国市場で売れ続けました。そしてプラザ合意。米国経済を救う目的で、円高に誘導されます。90年に1ドル=150円、95年に100円、2010年に81円、12年には76円まで円高になり、そして現在の円安にまた戻っています。知っておきたいのは、米国ドルが国際通貨であったことです。米国は威張るな、そういう問題ではありません。世界を旅して体験的に学んだことがあります。
その1。世界のどこに行っても、ドルは通用する。もしダメでもホテルでは両替してくれる。しかし基本、円は使えない(東南アジアで別、円は強い)。
その2。香港での買い物のとき。クレジットカードで支払ったら、円それとも香港ドルか、と聞かれた。とっさの返答に困った。円安になるのなら円、円高になるのなら香港ドル、が正解だと思う。
その3。その昔、ロケハンでアルプスに行った。フラン、スイスフラン、マルク・・・国境を越えるごとに通貨がかわる。それがいまはユーロだけ、便利だろうな。英国、アイルランド、イタリア、ドイツ、フランス、いろんなお金をいまだに持ってる。ドルにしておけば、と後悔している。
3、アベノミックス
円安は政府によって演出されています。円安で輸出業から経済を活性化させます。失われた20年から脱出し、日本経済が逆襲を始める。それが「アベノミックス」です。安倍+エコノミックス(経済)=アベノミックスです。アベノミックスは3本の矢で構成されています。第1の矢は金融政策。円安と物価の上昇です。第2の矢は財政政策。消費税で税収を増やし、国の予算を使い、景気をよくします。そして第3の矢は成長戦略。産業をおこし、雇用を生み出し、経済規模を拡大します。
円安で景気はよくなる、がっぽり稼ぎ貯め込む、円高になるのを待つ。そして海外に出て遊びまくる、買いまくる。円安は働き者のチャンスになります。