NYか、上海か。やっぱりニューヨークですね。

クリエーティブ・ビジネス塾21「NEW YORK」(2015.5.20)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、ニューヨーク
これまで50回ほど海外に出掛けています(ほとんどがロケ撮影の出張ですが)。どこがいちばんよかった?とよく聞かれます。まったくおもしろくない答ですが、「ニューヨーク!」と、すぐに答えます。でも・・・「自由の女神」に行ったこともなければ、「エンパイアステートビル」に昇ったこともありません。ツアーガイドとしては完全に失格です。
なぜニューヨークがいいか。それは、やる気にさせる街だからです。ソーホー(マンハッタンの下の方)でウインドウ・ショッピングするのが好きです。アバクロ見て、ユニクロ見て、コンバースの最新モデル見て、ニューヨークには世界の最新があるような気がします。午後は川を渡ってブルックリンに。遅めのランチをして、ギャラリーをみます。スニーカー・ショップの中に、大きなハーフパイプがあり、男の子たちがスケボーの練習をしています。ブルックリンにはアーティストが住んでいます。そして、夜はマンハッタンに戻り、ジャズに行きます。ジャズとは、インプロビゼーション(即興演奏)、既成を打ち破り、冒険と挑戦をすることです。
5年前のクリスマスイブの夜を思い出します。タクシーをソーホーのジャズクラブの前で降りたとき、ひとりのレディがそのタクシーに乗ろうとしました。「どちらから?」「ジャパン!」「ウソーぼくも、・・・これからジャズに行くんですけど」「あら!わたくしその帰りなの」。彼女はタクシーに乗ってそのまま消えました。バカバカバカバカ!なぜ彼女を誘わなかったの。寒くさみしい、ひとりぼっちのクリスマスイブの思い出。
2、アメリ
戦後70年間、日本人はアメリカをお手本に生きてきました。
まず音楽。日本を代表する音楽事務所は、みな駐留軍などのアメリカ関係の仕事をしてきた人によって経営されています。ナベプロ渡辺プロダクション)の故渡辺晋はジャズバンドのベーシスト、軍関係の仕事で富を築き、タレント王国を立ち上げました。次のホリプロホリプロダクション)の会長堀威夫もギターリストとして、アメリカ軍回りで腕をあげています。さらにジャニーズ事務所社長のジャニー喜多川は、軍関係ではありませんが、ロスアンゼルス生まれでロスアンゼルス市立大出身、まあいわば半分アメリカ人です。
次にスポーツ。日本のプロ野球アメリカのメジャーリーグの下位リーグのようです。メジャーリーグで使えない選手が日本にやって来て活躍します。日本の選手の夢はメジャーリーガーになることです。野茂英雄の活躍がその道を拓きました。いまでは50人以上(やめた人を含めて)の名を挙げられます。日本でただひとり時速160キロのスピードボールを投げる大谷翔平選手は、いつメジャーに行くのでしょう。
そしてファッション。歴史をおさらいすれば、まずは1960年代のアイビーファッション。アメリ東海岸の名門私立大学グループ「アイビーリーグ」の学生のファッションが日本に輸入されました。三つボタンのブレザー、ボタンダウンのシャツ、コットンパンツ、ローファーです。そして70年代にはアメリカ西海岸から、ジーンズ、Tシャツ、スニーカーのヒッピーファッションが輸入されます。ちなみにユニクロの商品の陳列方式や店員の接客スタイルは、アメリカの大学のブックストア(生協)にヒントを得たものです。柳井正会長が若い頃にアメリカの大学を訪問し、これだ!と思ったものです。
さらにエンターテイメントといったら、ディズニーランド。これはコテコテのアメリカ。歴史の教科書です。
3、上海
安倍晋三首相が、先月の末に米議会で歴史的な演説をし、そのエンディングに70年代のアメリカのシンガーソングライター、キャロル・キングの歌”You've got a friend."を使いました。"When you're down and troubled・・・・Close your eyes and think of me And soon I will be there・・・”(あなたには友達がいる。落ち込んで、困ってしまったら・・・目を閉じて、私を思って、そしたらすぐにあなたのところに行くから)首相は東北大震災のときにアメリカがトモダチ作戦で助けてくれたことに触れ、希望を貰ったと感謝しました。そして、”U.S.-Japan alliance , an alliance of hope"(日米同盟は希望の同盟)と話を結びました。日米関係はすばらしい。しかし問題は中国。日中関係です。外務省はアメリカ。外交や軍事でアメリカと協調したい。財務省は中国。経済で中国なしで食って行けない。これが日本のジレンマです。
ニューヨークをしのぐ魅力を上海が持ってくれたなら・・・(やがてそうなるでしょうが)、やる気のエネルギーをもらうために、中国に行くのに。