クリエーティブ・ビジネス塾26「韓国」(2015.6.28)塾長・大沢達男
1)１週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、古賀政男
作曲家の古賀政男（1904~1978)を知っていますか。ホームランの王貞治選手に次いで史上二人目の国民栄誉賞に輝いた、昭和を代表する国民的な作曲家です。代表作には「影を慕いて」、「酒は涙か溜息か」、「誰か故郷を思わざる」、そして美空ひばりの名曲「柔」、「悲しい酒」があります。日本の歌謡曲の流れを作った古賀メロディは、韓国の伝統的なメロディから生まれたといわれます。それは簡単な理由です。
福岡県で生まれた古賀は、7歳で韓国に渡り10年ほどインチョンやソウルで育ち、音楽を始めたのも韓国に於いてだからです。日本の歌謡曲には韓国のカヨ（歌謡曲）の影響があります。
では「高麗茶碗（こうらいちゃわん）」を聞いたことがありませんか。室町時代から発達した茶の湯の世界で最も珍重されている茶碗です。中でも「井戸茶碗（いどちゃわん）」は最高級とされています。といっても芸術家の作品ではありません。高麗時代にふつうに使われていた日常の道具です。日本文化の中心を韓国の陶器が支えています。そればかりではありません。陶器で有名な有田や唐津は韓国から渡ってきた陶工によって陶器作りが始められ、日本の伝統になったものです。
そうして考えてみると、今の日本も同じです。小説の世界でも、韓国出身の作家が大活躍をし、上質な作品を提供しています。音楽業界はもっと凄い、スパースターと呼ばれる歌手の何人かが韓国系です。
2、日韓基本条約
1965年に日韓基本条約が結ばれてから50年になります。そしてその付随する条約では日韓両国の請求権問題が「完全かつ最終的に解決されたことになることを確認する」と書いてあります。さらに日本は、当時世界最貧国でひとつであった韓国に政府から5億米ドル、民間から3億米ドルの経済協力支援をすることを約束します。当時の韓国の国家予算は3.5億米ドル程度。莫大な経済協力でした。韓国はダムを高速道路を建設し、「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を成し遂げます。
ところが条約締結から50年、日韓関係はギクシャクしています。まず竹島問題。竹島を韓国の領土だと主張した李承晩ラインは撤廃されたの拘らず、李明博（イ・ミョンバク）前大統領は竹島を訪問し、日韓の首脳会談を開けなくなっています。さらに韓国の行政府は、従軍慰安婦、原爆韓国人被害者、サハリン残留韓国人問題の3点については、日韓基本条約の締結過程では念頭に置かれていなかったとして、新たな日韓問題に発展しています。80年代までの韓国政府は、日韓間の植民地支配の「過去」を巡る問題は、日韓基本条約により解決との立場をとっていました。おかしな話です。韓国は日本への依存度が経済的にも軍事的にも低下した結果、不満を日本にぶつけるようになりました（「国交正常化50年 日韓の未来＜上＞木村幹神戸大学教授 日経6/3)。
「朴正煕政府は国民の反対を押し切って韓日条約を批准した。その結果韓国は経済開発に必要な資金の一部を充当でき、韓米日共同安保体制が形づくられた。その反面、日本の植民支配に対する謝罪、略奪文化財の返還、日本軍『慰安婦』や強制徴用者などのさまざまな問題を解決することができなくなってしまった」（佐藤優 中国、韓国、ロシアの「歴史教科書」日本はいかに描かれているか。文芸春秋2015.7からの孫引き 『世界の教科書シリーズ39検定版 韓国の歴史教科書 明石書店）。
韓国は変わった国です。政府の決めたことへの反対意見を教科書で教えているのですから。
3、東洋のイタリア
韓流映画が流行りました。ヨン様もいいですが、「殺人者の追憶」（2003)、「グエムルー漢江の怪物ー」（2006)、「母なる証明」（2009)を作った、ポン・ジュノ監督のファンです。日本映画より韓国映画のほうがレベルが高い。さらに韓国テレビニュースを見ていて思います。カメラワーク・編集がうまい、そして会議室・ポスターなどのデザイン力が韓国の方が上。韓国は芸術の国。東洋のイタリアです。
専門学校の教師をしていて、韓国からの留学生を預かったことがあります。まず礼儀正しい。さらにマナーがいい。授業中におしゃべりをしている日本人学生を、振り向き様ににらみつけ、黙らせてくれました。
そして以前にソウルで訪れた「韓国国立民族博物館」を思い出します。おびただしい数の青銅器の遺物、銅鐸のコレクション。なんなの、これ！日本なんか小学生以下じゃない？日本よりはるかに厚い韓国の古代史に驚いたものです。相手をリスペクトすれば、仲良くなれるのではないでしょうか。
