メンズ、レディース、そんなの関係ない。

クリエーティブ・ビジネス塾45「ノージェンダー」(2015.11.11)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、グッチ
グッチの2015~2016秋冬メンズコレクションが「ノージェンダー」のファッションとして話題を読んでいます。ジェンダー(gender)とは、生物学的な性差ではなく、女らしいとか男っぽいとかの社会的・文化的な性差をいいます。ノージェンダーのファッションとは、レディス、メンズをつまり男女を超えたファッションのことです。ほかにクロスジェンダージェンダーレスなどという言い方もあります。
「ノージェンダー」のファッションとはどんなものか。それはグッチの2015~2016メンズコレクションを見ればすぐに分かります。まず、赤のパンツとジャケット、そこには白を基調にした花柄の刺繍。つぎにシャツ(ブラウス)は透けたレース、さらにニットには、胸に大きなチョウチョのデザインされています(日経夕11/21)。
ファッションジャーナリズムは、フェミニン(feminine=女性らしい)とマスキュリン(masculine=男らしい)の境界をあいまいにしたコレクションと表現しました。ノージェンダーの流れはグッチだけではありません。
「サンローラン」も、花柄のカーディガンやパステルカラーのブルゾンをメンズのショーで発表しました。そして「セオリー」は男女で同じデザインのスーツを提案しました。さらに「ディーゼル」は、男女が同じモチーフのデザインのニットを着て肩を組む広告を掲載しました。
2、LGBT
アップルのCEO(最高経営責任者)ティム・クックがゲイ(同性愛者)であることを告白したのは、2014年10月末のことでした。自らの同性愛的な嗜好を社会的に明らかにすることを「カミングアウト(coming-out=デビューする)」といいます。ティム・クックはカミングアウトのそのわけを、自分の性的指向を受け入れられない人を助け、孤独な人に慰めをもたらし、そして権利の平等を求める人を勇気づけるため、と説明しました(日経201411/25)。性的マイノリティー(少数派)はLGBTと呼ばれます(Lesbian=同性愛の女性、Gay=同性愛・ホモ、Bisexual=異性と同性の両方に性的欲求を持つ同性愛者、Transgender=自分の性に違和感を持つ人)。ノージェンダーはデザイナーの創造性と消費者の志向から説明されますが、もっと大きな背景として生物学的な性差があいまいになってきたことが、あります。
3、おしゃれ
下北沢の焼き鳥「テッちゃん」で立ち飲みをしているときに、ある若者と知り合いになりました。立ち飲みで隣の男性客を話すのはあまり好きではありません。どうせ偉そうに昔話をしたり、薄っぺらな政治批判をするに決まっているから。ただし女性と外国人はこの限りではない。むしろ積極的にコミュニケーションをします。
なぜ異例にも若者と知り合いになったのか。彼がノージェンダーだったからです(それは後で分かったのですが)。はじめ男性か女性か分からずに、話しかけました(まさかハナっから、あなたは男?女?って、聞くわけにもいかないし)。まずお互いのファッションをほめ合いました。「彼」は世界でトップを争うファストファッションの店舗でアートのマネジメントしていました。ぼくは「GAP」のパンツと、今ではもう手に入らない、「トップマン」のニットを着ていました。恥ずかしそうに、このパンツはGAPのレディース、フィットネス用のサイズ「M」なんだ、と打ち明けると、平気ですよ、ぼくもよくレディースを選びますと応じてくれたのでした。彼のシューズが素敵でした。「アディダス」でしたが、とてもアディダスとは思えない白のレザーのスニーカーでした。
「キミはゲイなの?」「チガウ!チガウ!!」「ゲイじゃない!」とお互いに目を合わせて笑いました。
一杯しか飲めないぼくが、さよならを言おうとすると、彼はバッグの中から1枚のドーナツ盤のレコードを出し、ぼくにプレゼントしてくれました。まさかターンテーブルを売り払ったから・・・野暮なことは言えない。ありがとう!と受け取りました。「従来の固定的な性別による役割分担にとらわれず、男女が平等に、自らの能力を生かして自由に行動生活できること」。彼はまさにノージェンダーでした。
1)太いパンツをロールアップする。男女で共有できるようなオーバーコートやワイドパンツがテーマです。
2)夫婦やカップルで洋服を共有するシェアド・ワードローブがおしゃれの常識になります。
3)カーキ・迷彩+ヒール、ロング・スカート+スニーカー+キャップ。スイートミリタリーも狙いです。
以上は、この秋冬の女性向けノージェンダーのアドバイス。ファッションサイトから見つけました。
男でも女でもない魅力を出せるのか。男と女の魅力を兼ね備えることができるのか。十人十色、人それぞれ、インターネット上での人格のように、ノージェンダーであなたは何をアピールしますか。