THE TED TIMES 2023-27「森達也」 7/19 編集長 大沢達男
ドキュメンタリー映画『iー新聞記者ドキュメントー』(森達也監督)から森達也を検証します。
1、望月衣塑子(もちづきいそこ=東京新聞社会部記者)
映画の主人公は望月衣塑子という新聞記者です。
2018年、時の菅義偉官房長官への記者会見で望月記者の厳しい(しつこい)質問シーンから始まります。
1)「埋め立てに赤土が入っているが、政府はそれを許しているのか」(申し訳ないがどういうことなのか詳しい事は分からない)。官房長官は「法律に則り実行している」と答えます。
でも同じことをなんども望月記者繰り返し質問します。
2)「政府は基地反対派の名簿を作っている。断じて許すことはできない」。望月記者は抗議します。
3)そして辺野古ではなく、宮古の自衛隊基地の話がでてきます。「倉庫(正式にはなんと書いてあったか覚えていません)と設計図にあるが実は弾薬庫ではないか」、「県民を騙している」と抗議します。
②官邸取材と森達也
1)菅官房長官と望月記者のやり取りをビデオにする、森監督は取材したいと申し入れます。なぜ普通のジャーナリストが官房長官の記者会見に参加できないか。講義します。もちろん叶いません。
2)新聞労連の南彰(元朝日)が登場します。しかし南は記者クラブの成り立ちを説明し、森の要望は受け容れられないと答える。
3)森と支持者は「報道の自由を守れ」と官邸前で集会を開きます。
③安倍政権
1)森友学園理事長・籠池泰典夫妻へのインタビューがあります(注:籠池氏夫妻は2023年3月に補助金不正受給詐欺で収監されています)。
2)加計学園獣医学部新設問題にからみ、前川文部科学省事務次官の「風俗通い」に関するインタビューがあります。
3)安倍総理が深く関与している日本会議とは何かが暴露されます。つまり安倍政権は腐敗していると映画は指摘します。
2、森達也
映画はエンディングで突然、パリの街のシーンに、1944年ナチスに開放されたパリ市民の映像に変わります。
つまり現在の安倍政権をナチス・ヒットラー政権と同一視します。
そして森達也監督のナレーションで終わります。
「僕は、憲法9条は守るべきだと思う。原発再稼働には反対です。そして沖縄から基地をなくしたい。僕はリベラルです。」
「一色に染まった正義は暴走し、過ちを犯す。それは歴史が証明している。僕は一人称単数『i(アイ=私)』の主張を大切したい」
(筆者注:映画のタイトル『iー新聞記者ドキュメントー』はそこから来ている)。
3、リベラル
森監督は、リベラルが「帝国主義」と呼ばれ、今の世界では評判がよくないのを論じていません。
グローバルサウスの国々は、人権、民主主義を掲げるリベラルな米国のやり方を拒否しています。リベラリズム帝国主義に反旗を翻しています。
そして森監督が第9条を守るという「日本国憲法」こそ米国が日本に押し付けたリベラル憲法です。
基地は必要です。沖縄だけに基地負担が多いのは誰もが知っています。問題はどうするかです。普天間から辺野古へは、政府の政策です。基地反対派には、具体的なアイディアがありません(立憲民主党も)。
原発再稼働も同じです。エネルギー政策をどうするのですか。再稼働は政府の政策です。再稼働に反対するなら、どうエネルギーを調達するかの提案が必要です。
いま恐ろしいのは、朝日、毎日、東京という「リベラルという正義」の暴走です。